この記事をまとめると
■日産が2000年に世界初の型式指定を取得した電気自動車「ハイパーミニ」を販売していた
本人は「鳴かず飛ばず」もその後に与えた影響は多大! 偉大なる「人身御供」なクルマ5台
■市販車初のリチウムイオン電池やランフラットタイヤ、アルミフレームなどを採用
■動かすには専用の充電器などが必要なので、現在走っている個体はかなり貴重と思われる
電気の日産は20年以上前から始まっていた
「ミニ」と聞いてクルマ好きが真っ先に脳裏に思い浮かべるのは、英国生まれの名車であるミニか、もしくは発表するやいなや大きな話題となった三菱の新型軽、デリカミニに代表される、何かの車種の小型版だろう。
しかし、今回ご紹介するミニは、日産が1997年に発表し、2000年に販売を開始した「ハイパーミニ」というモデルである。
このハイパーミニは、いまでこそリーフやアリア、サクラといった電気自動車を多くリリースする日産が電気自動車専用車として発表した車種であり、日産自動車が世界で初めて型式指定を取得した電気自動車かつ、初の自社生産の軽自動車でもあったのだ。
ハイパーミニは見て分かるように既存の車種をベースにしたものではなく、電気自動車として設計、開発されたもので、24kW/130N・mを発生させるネオジム磁石同期モーターをリヤに搭載。
バッテリーは自動車用のリチウムイオンバッテリーを世界で初めて市販車として採用(採用自体は前年に登場したプレーリーEVが初)したほか、アルミ押し出し材によるスペースフレーム構造を持ったシャシーや前後異形のランフラットタイヤなど、先進の技術をふんだんに採用し、10・15モードでの航続距離は115km以上と、シティコミューターとしてはいまでも十分通用するスペックを誇っていた。
また、エアコンにはヒートポンプ式のものを採用し、専用リモコンで外部からタイマー制御もできるなど、コネクティッドサービスが始まる前にもかかわらず、現在の車両に搭載されている機能を持ち合わせていたのも特筆すべき点と言えるだろう。
※画像はスケッチ
さらに当時、すでに横浜市や海老名市と共同でEVカーシェアリングの社会実験も実施するなど、20年以上前にすでに時代を先取りしていたのはさすがとしか言いようがない。
そんなハイパーミニではあるが、非接触電力伝送により金属端子がないインダクティブ充電器を採用しているため、専用充電器が必要となることや、登場から20年以上が経過したこともあって、現役で稼働している個体を見かけることはほぼないというのが残念なところ。
ただ、日産のヘリテージコレクションには当然の如く収蔵されているため、歴史的車種のひとつとしてイベントなどで目にするチャンスはあることだろう。
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