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時代に愛されなかったが記憶には鮮烈に残った!! クルマ界を彩った薄幸スポーツカーたち

掲載 更新 39
時代に愛されなかったが記憶には鮮烈に残った!! クルマ界を彩った薄幸スポーツカーたち

 スポーツカーが売れないと言われて久しい。先日もNSXが2022年に生産終了するという悲報が…。

 とはいえ、GT-R、スープラ、フェアレディZなど、アイコン的な存在として君臨するクルマもある。そのいっぽう、華々しいデビューをしたにもかかわらず、あっさりと姿を消してしまったクルマも数多い。今回は、そんな残念な結果に終わってしまった不遇なスポーツカーたちを思い起こしてみたい。

ランクル史に輝く傑作 部品復刻へ「40」の功績と根強い魅力

文/藤原鉄二、写真/スバル、トヨタ、ホンダ、マツダ、FavCars.com

【画像ギャラリー】走りは気持ち良かったのに…不遇のスポーツカーたちをもっと見る

コスパの高いライトウェイトスポーツだったが…「トヨタ・MR-S」(1999年~2007年)

ミドシップレイアウトではあったものの、荷重は若干リア寄りだった。ミドシップのわりにはピーキーさが少ない、御しやすさが魅力だった

 1999年10月、MR2の後継モデルとして世に送り出されたのが「MR-S」。本格的ライトウェイトスポーツとして、期待を一身に背負ってのデビューとなった。

 発売直後の販売台数は好調だったものの、次第に低迷。途中、シーケンシャルマニュアルトランスミッション搭載車や、装備を充実させたVエディションなども販売されたものの、テコ入れは叶わず、2007年7月末に生産終了となってしまった。最終的な総生産台数は7万7840台と、想定を下回る販売台数に終わった。

 低迷の原因は一体何だったのか? おそらく第一にあげられるのは搭載エンジンだろう。ミドシップレイアウトはMR2のスタイルを継承したものの、1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンとサイズダウン。また、NAのMR2の最高出力が200ps/7000rpmだったのに対し、MR-Sは140ps/6400rpm、ターボエンジンは設定なし。

 ただし、徹底した軽量化によりパワーダウンは相殺されるかと思われたが、MR2の後継として期待感を持っていた人には若干の物足りなさを感じさせてしまったのは事実だろう。

 ロングホイールベースかつ、極端とも言えるショートオーバーハングというスタイリングも一部では不評で、時には、「チョロQ」と揶揄されることも…。ただし、そのおかげで加速性能と運動性能は向上。ライトウェイトスポーツカー然としたクルマに仕上げられていた。

 手頃な価格も魅力で、標準グレードの車両本体価格は188万円。先代のMR2と比較して非常にリーズナブルな価格設定だった。

 中古車市場では、100万円前後のものが多く出回っている。セカンドカーとしてピュアスポーツに乗りたいという人はMR-Sを、という選択肢もありかもしれない。

Sシリーズの栄光を背負いきれなかった!?「ホンダ・S2000」(1999年~2009年)

S800以来、29年ぶりとなったFRレイアウトの2シーターオープンスポーツ。専用パーツをふんだんに取り入れるなど、気合いの入ったモデルだった

 S500、S600、S800と、ホンダが誇る歴代のピュアスポーツ「S」の血統を受け継ぎ誕生したのがS2000。ホンダ創立50周年記念として華々しいデビューを飾ったクルマだ。

 ホンダがFR車を発売するのは実に29年ぶりということで大きな注目を集めた。多くの部分が専用パーツにより設計されるなど、ホンダの気合いの入れようもハンパなかった!

 フロントミッドシップに配置された直列4気筒DOHC VTECエンジンは、250psを発生。2リッターのNA車としては非常にパワフルだった。さらに、燃料タンクとスペアタイヤなどを後輪車軸の前に配置。重量物を重心近くに集中させることでヨー慣性モーメントを低減させ、50:50の前後重量配分を実現するなど、これぞピュアスポーツという、魅力満点のクルマに仕上げられていた。

 理想の前後重量配分によって、パワーをフルに生かせる走り、コーナリング時の卓越した安定性を獲得した…はずだったが、限界点の高さが裏目に出て、車体を御しきれないドライバーも。S2000はドライビングの難しいクルマというイメージが定着してしまった。

 結局、総販売台数は10年間で2万台と大低迷し、2009年9月に生産終了に。これでホンダのラインナップからFR車が再び消滅してしまった。しかし現在、中古車市場では800万円超という破格の価格のものもザラに見られるという超人気車となっているのはなんとも皮肉な話だ…。

CR-Xの再来という謳い文句が仇となった!?「ホンダ・CR-Z」(2010年~2017年)

既存のハイブリッドに物足りなさを感じている人にとって、CR-Zは合格点だったはずだったが…

 このクルマを本格的なスポーツカーと呼んでいいのかと疑問に思う人もいるかもしれない。しかし、往年のCR-Xファンにとっては、「世界初の量産ハイブリッドスポーツカー」、「CR-Xの再来」など、華々しい謳い文句とともにデビューしたCR-Zに大きな期待を抱かずにはいられなかった。さらに、2代目CR-X、いわゆる“サイバー・スポーツ”を彷彿とさせるスタイリングもその期待感に拍車をかけた。

 1.5リッター直列4気筒SOHC i-VTECエンジンとIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせたパワートレインは、最高出力124ps、最大トルク17.7kg-mを発生。2.0リッターガソリンエンジン並みの加速性能と低回転域のトルクを発揮した。

 さらに、市街地、高速道路、ワインディングといった走行状況やドライビングスタイルに合わせて「SPORTS」「NORMAL」「ECON」という3つの走行モードを選択できるというホンダ初の3モードドライブシステムを採用するなど、走りを楽しむための工夫も施されていた。

 と、ピュアスポーツとしては上出来と言えるクルマであったものの、「CR-Xの再来」と言われると、少々物足りなさを感じてしまうというのが正直なところだった。残念ながら、セールスも伸び悩んだ。

 2012年9月のビッグマイナーチェンジでは、i-VTECエンジンを高回転・高出力型に刷新、リチウムイオンバッテリーを搭載することでバッテリー電圧やモーター出力を向上させる、力強い加速を瞬時に実現できる新開発の「PLUS SPORTシステム」を搭載するなど、ドライバビリティの向上などが図られた。

 しかし、同年4月に発売されたトヨタ86という強力なライバルに押され、浮上ならず…。一代限りで生産終了という憂き目に遭うこととなった。

スタイリングにばかり注目が集まって…「スバル・アルシオーネSVX」(1991年~1997年)

走行性能を追求したグランドツアラーとして誕生したアルシオーネSVX。高速クルージング時の走行安定性は抜群だった

 スペシャルティクーペというジャンルにカテゴライズされるアルシオーネSVXをスポーツカーとするかには賛否両論あるかもしれないが、高出力エンジン、低車高、空力性能など、スポーツカーの要素で必要とされる要素を満たすに十分な性能を持つクルマだった。

 3.3リッターの水平対向6気筒DOHCのパワーユニットは最高出力240ps、最大トルク31.5kgmを発生する強心臓。低回転域から高回転域までスムーズな加速フィールを感じることができた。

 駆動方式はフルタイム4WD、システムはVTD-4WD(不等&可変トルク配分電子制御式4WD)や4WSを採用することで、スポーティな走りと高い走行安定性を両立させることに成功。

 そして見逃せないのは、Cd値が0.29という高い空力性能。これにより、高速走行時の安定走行を可能とした。

 しかし、アルシオーネSVXがデビューした当時、最も注目を集めたのは、走行性能よりもイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによって作り上げられたエクステリアデザイン。だが、その独特のスタイリングは期待に反してさほど受け入れられず、国内販売台数は6000台に届かず…。約6年で姿を消すことになった。

エコフレンドリーな時代の流れに泣かされた!?「マツダ・RX-8」(2003年~2013年)

大人4人が乗れる4ドアスポーツとして華々しいデビューを飾った。高回転型エンジンはレーシングカーのような加速フィールをもたらした

 惜しまれつつ2002年に姿を消したRX-7や、ユーノス・コスモの実質的な後継モデルとして登場したRX-8への期待感は高かった。

 話題となったのは、「大人4人が乗れる4ドアスポーツ」という基本コンセプトを実現するべく採用された、「フリースタイルドア」。センターピラーをなくすことで前後ドアが観音開きになるという斬新なものだった。これにより、スポーツカーとしてのスタイリングと後席への乗降性の両立を可能とした。

 RX-7消滅の原因となった自動車排出ガス規制をクリアすべく新設計された自然吸気ロータリーエンジン「RENESIS」にも注目が集まった。従来のロータリーエンジンと比較して燃費が向上するとともに、最高出力は標準モデルが210ps、TYPE-Eが215ps、TYPE-Sが250psと、RX-7の最終型であるFD3Sと遜色のないレベルだった。

 トランスミッションも4速ATの他に、5MT/6MTも用意され、スポーツ走行を満喫したい人にとっては文句なし!

 しかし、出だしこそ好調だったものの徐々に販売台数は低迷。その大きな原因は、カタログ燃費が9.0km/L(10.15モード)という燃費の悪さだろう。燃費は向上したとはいえ、同クラスのレシプロエンジン車と比較するとやはり分が悪かった。

 2008年3月のマイナーチェンジでは、エンジンの改良やサスペンションジオメトリーの変更が進められ、さらに、専用19インチタイヤ、ビルシュタインのダンパー、レカロシートリアスポイラーが標準装備され、内外装ともにスポーティ感が増した「タイプRS」が追加されるなど、テコ入れが図られた。

 しかし、欧州での排ガス規制ユーロ5への適合が困難になったことから、2010年5月に欧州での販売が終了に。そして、最終的には2012年6月に国内での生産も終了となってしまった。これ以降、ロータリーエンジン搭載車は生産されていない。最後まで環境対策という難題に泣かされたクルマだった。

 今回ここでとりあげたクルマたちは現役当時はイマイチの人気だったものだが、現在、中古車市場では人気となっている。今のクルマに物足りなさを感じているなら、中古車をチェックしてみることをおすすめしたい。

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みんなのコメント

39件
  • 悔やむ必要などない。記事にもあるように時代が合わなかっただけで、どのクルマも技術屋の魂を込めた一台には違いない。
  • S2000オーナーは所有していた期間は多幸感で夢心地だったと思いますよ。
    FDからの乗り換えでしたが、どちらも乗り味にはシビレました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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