国産コンパクトカーの代表的な車種と言えば、トヨタアクア、日産ノート、ホンダフィットが3強を形成している。
実際過去の年間新車販売台数を見ると、2015年はアクアが約21.5万台、フィットが約11.9万台、そしてノートが約9.8万台だった。しかし、2016年になると順位こそ変わらないものの、フィットの約10.5万台に対して、ノートは前年比104.5%で約10.2万台と肉薄。続く2017年にはアクア、フィットの販売台数が対前年比ダウンとなる中、ノートは135.6%のプラスで、約13.9万台と国産コンパクトカーの中でトップとなった。
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そして2018年、ノートは13.6万台で軽自動車、輸入車を除いた登録車で悲願のトップとなったのだ。
なぜ、これまでアクアとフィットに次ぐ、第3の存在だったノートが新車販売台数トップに登り詰めたのか。それは2016年11月のマイナーチェンジで追加されたシリーズハイブリッド、e-POWERの効果によるものだ。ここでは、2018年新車販売台数トップとなったノートの中古車事情について紹介する。
文:萩原文博 写真:日産
■2016年11月に追加された「あの仕様」が大ヒット
2代目となる現行型ノートは2012年9月から販売開始し、間もなく7年を迎えるロングセラーモデルだ。
先代モデルは1.5Lや1.6L直4エンジンを搭載していたが、現行モデルではエンジンの排気量をダウンサイングして、1.2L直3エンジンが主力となった。排気量ダウンによるパワー不足を補うため、直噴ミラーサイクルエンジンや高効率スーパーチャージャーなどを採用するものの、アクアやフィットに設定されたハイブリッドには燃費性能や走行性能で見劣る部分があり、セールス的に厳しく国産コンパクト第3の存在に甘んじていた。
そのノートが一躍注目されるようになったのが、e-POWERと呼ばれるシリーズハイブリッドを搭載してからだ。
現行型ノートが登場したのは2012年8月(販売開始は9月)。丸7年が経過することになり、(毎年のように仕様向上を繰り返しているものの)かなり古いモデルとなる。それでも2018年にはトップセールスに輝いた
e-POWERは電気自動車リーフで培った電動化技術を転用したもので、搭載する1.2Lエンジンで発電し、モーターを駆動させ走行するというもの。ガソリン車とは異なる発進時からの鋭い加速性能そして、2WD車で37.2km/L、4WD車で28.8km/L(いずれもJC08モード)という優れた燃費性能を発揮する。この電気自動車的なe-POWERが高い支持を受けて、ノートはベストセラーカーへと躍進したのだった。
登場から約7年が経過した現行型ノートだが、現在中古車は約4100台流通している。
これをe-POWER登場前後で分けると2012年~2016年の登場前が約2180台。そして登場後の2016年以降は約1920台と、e-POWERが登場してからは新車販売台数の増加に比例して中古車の流通台数も増えていることがよくわかる。
しかも、(e-POWERが登場したマイナーチェンジが2016年11月なので)e-POWERの中古車の初期モデルが最初の車検サイクルを迎えて、中古車相場が落ちるタイミングを迎えているのだ。
2016年11月に、シリーズハイブリッド仕様「e-POWER」を追加。途端にヒットモデルとなり、日産車としては史上初めて年間販売台数1位(登録車)に輝いた
■価格だけが気になるならノートでなくても
まずはノートの中古車全体の平均価格の推移を見てみると、3カ月前が約110万円で、今月が106万円と順調に値落ちしている。流通台数は約4000台で推移していたのが、今月になって約4100台へと増加している。全体的に中古車の流通台数の増加に伴い、価格が下がっており、狙い目といえる。
絶対的な価格の安さを求めるのならば、年式の進んだノートを購入すればいい。
しかしそれならば、ノートにこだわる必要はない。もっと流通台数の多いフィットやアクアを選択肢に入れたほうが得策だ。中古車でもノートにこだわる理由があるとすれば、それはやはり大ヒットの要因となったe-POWERだという方が多いだろう。
したがって今回はe-POWERが登場した以降の中古車に絞って話を進めていきたい。
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■ある時期を境に相場価格が一変
全体的には値落ち傾向だったノートだが、e-POWERが登場した初期モデルとなる2016~2017年式に絞って見ると、様相が一変する。
中古車の平均走行距離が延びているにも関わらず、3カ月前の平均価格が147万円で、今月が146万円とほぼ横這いとなっている。
この年式でグレード別に値動きを見てみると、最も流通台数が多いのが、約44%を占めるe-POWER Xで平均価格は約146万から約143万円とわずか3万円の値落ち。
続いて多いのがe-POWERの最上級モデルメダリストで、こちらの平均価格は約163万から約161万円と2万円の値落ちに留まっている。
そして3番目に多いのが約62台でガソリン車の1.2X。3カ月前の平均価格である約103万円から今月は約94万円と約9万円の値落ち。この価格帯で短期間のうちに約9万円の値落ちは非常に大きいといえる。
さらにいえば、4番目にはカスタマイズカーのe-POWER NISMOがランクインしていることからも、現在ノートの売れ筋はe-POWERであることがハッキリと表れている。
■100万円でe-POWERが買える!!
では、中古車でノートを購入する場合、普通のガソリン車とe-POWERどちらが狙い目なのだろうか。
平均価格で50万円近い差があったが、中古車の価格帯で見てみるとe-POWER Xは約89万~約193万円、そして1.2Xは約43万~約189万円となっている。
諸費用を含めた乗り出し価格を安く抑えたいという人にはガソリン車の1.2Xだが、予算100万円ぐらいという人はe-POWER が狙えるようになっているのだ。新車時価格200万円超えのe-POWER Xが100万円で手に入るのならばバリュー感は高い。
今後、車検のタイミング(2016年11月のデビュー直後に購入した場合、初回車検は2019年11月頃)が近づけば、現在よりe-POWER
の相場も下がると考えられるので、より狙いやすくなるだろう。
価格的にはオーソドックスなガソリン車が魅力だが、加速性能や静粛性、そして優れた燃費性能、先進性を考えると、ノートの中古車はe-POWER を狙ったほうが購入後の満足度は高くなる。
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