11月7日(日)の現地時間午前9時20分すぎ、ホンダのホスピタリティハウスにヘルムート・マルコ(レッドブル モータースポーツアドバイザー)がアレクサンダー・アルボンを連れてやってきた。マルコはアルボンを外に残して、ひとりでなかに入っていった。そして、ホスピタリティハウスの一番奥のテーブルへ向かった。そこに座っていたのは、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)。話し合うテーマが土曜日の予選についてであることは言うまでもなかった。
前日の予選の最後のアタックで、チームメイトのピエール・ガスリーのサポート役を行った角田は、ガスリーにスリップストリームを使用させた後、進路を譲り、インラップに入っていた。セクター2に入ったところで、後方からアタックラップに入っているドライバーが近づいていることを無線で知らされた角田は、進路を譲ろうとしたが、セクター2はコーナーが連続していたため、角田はコース外に出た。
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ところが、コース外はホコリっぽく、角田がコースオフした瞬間、ホコリが舞い、直後に近づいてきたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がターン10で止まりきれずにコースアウト。砂埃はさらに舞い、ペレスの後ろにいたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は「事故が起きたのか」と思い、アクセルを戻した。
結果的にポールポジションを逃したレッドブル陣営は、予選後、角田を名指しして非難した。
予選後、ミックスゾーンで行われたメディアの囲み取材でそのことについて、海外のメディアに尋ねられた角田は、少し困惑し、こう回答していた。
「レッドブルと話し合わなければならないので、少し心配ですが、僕は何も悪いことはしていません」
その後、ミックスゾーンにやってきたペレスは、そのときの状況を次のように説明した。
「ターン11で、前を走っていたユウキが突然コースオフして、最後のアタックが阻まれてしまった。ただ、彼が変な動きをしたというわけではなく、僕が彼に近づきすぎてダウンフォースを失い、ダーティーエア(乱気流)の中でコントロールを失っただけだ」
またフランツ・トスト代表も「我々は無線でユウキにレッドブルが来ると伝え、ユウキは彼らが簡単に通り過ぎることができるようにコースから外れただけだ」と説明した。「(レッドブルがポールポジションを逃したのは)ユウキのせいではない。(なぜペレスがコースアウトしたのか)理解できない」と付け加えた。
数分後、ホンダのホスピタリティハウスから出てきたマルコは、外で待っていた角田のコーチ役を務めるアルボンと二言三言と話し合って、その場を去った。
何を話し合ったのかと尋ねると、マルコはこう答えた。
「昨日の一件はエンジニアに責任があるということを伝えに行った。お前は悪くない、と」
これで予選後にレッドブルと話し合うことを少し心配していた角田だったが、杞憂に終わった。
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