ちょっと前にSNSで話題になったクラウンセダンのパトカー。その時は納車前で、まだ県警名が記されておらず、その動向が注目されていた。その後、福島県警に導入されたことが判明。このクラウンセダンのパトカーはハイブリッド仕様ではなくFCEV。警視庁のMIRAIパトカーなどに続く水素自動車パトカーの登場となった。その詳細に迫ろう!!
文/写真:有村拓真
【画像ギャラリー】こりゃカッコいい!! クラウンセダンの新型パトカー配備完了(8枚)
総額約2000万円!! クラウンFCEVパトカーは交通機動隊に配備された
2024年12月25日、クラウンFCEVパトカーが福島県警に導入され、お披露目式典が行われた。
威風堂々たる存在感を放つクラウンセダンパトカー。パトカーの姿に何の違和感も抱かせないのはやはり「クラウン」だからなのだろうか
ところで、気になるクラウンセダンFCEVパトカーの配備先だが、交通機動隊ということで、交通違反の取り締まりに活躍することになる。屋根には「交1」の対空表示や無線アンテナが備わっていた。
前面警光灯は独特の細いフロントグリル内に収まっているが、デザインの関係上、他のパトカーでは見られない細長い3灯の前面警光灯となっている。また、トランクを開けると補助警光灯が2灯備わっていた。トランク容量も広く、ヘルメットをはじめ各種装備品を収納するのにも問題ないという。
前を走る210系アスリートの車幅が1800mmなのに対し、30系クラウンセダンの車幅は1890mmのため幅広な印象となる。狭隘路の走行にはより気を使いそうだ
車内には無線機やサイレンアンプのほか、速度計測用のストップメーターが備わっており、しっかりと第一線で活躍するという装備の数々だ。県内の主要幹線道路などでの取締活動も積極的に行っていくと同時に、啓発活動等でどんどんこのクルマを展示して警察活動への理解を深めたいという。
一般的なガソリン車のパトカーと違うため、隊員への習熟訓練なども行っていくという。水素フル充填の場合、カタログスペックで航続距離820kmの走行が可能となっており、これは東京~大阪間を無充填で走行可能な距離だ。
フロントフードの下には水素と酸素を化学反応させて電気を作り出す燃料電池スタックや制御系ユニットが収まる。旭日章がなければ警察車両とわからない
主に県北が管轄エリアになるということだが、場合によっては福島県の他のエリアでも取締活動を行うという。県内の水素ステーションも順次展開していくということで、さらに水素自動車の活躍の場が増えそうだ。
トランク部分には後部警光灯が2灯備わる。トランクは奥行きもあり様々な装備品を収納できるということだ
ベース車の価格は税込み830万円だが、これに無線機や赤色灯、塗装などの警察車両専用装備品などを含めると、総価格は約2000万円ということだ。国費導入ではないため、県費予算で導入されている。
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福島県の思いを込めたスペシャルパトカー導入の理由
この導入は福島県が主導する「第1回福島県水素モビリティ・ステーション検討ワーキンググループ」による取組みの一環。すでに路線バスや移動販売車、スクールバスなどが県内で活躍しているが、今回、初めてパトカーが導入された。
クラウンFCEVパトカーは、新燃料電池パトカー社会実装モデル事業として実際に運用が開始されることになる。同車のパトカーは全国でも今のところ福島だけだ。
水素充填口リッドにはH2の文字が。そしてバンパー部分には地域交付金事業を受けて導入されことがわかる文字も配置されていた
式典では、内堀雅雄福島県知事をはじめ、森末 治福島県警察本部長やトヨタ自動車のチーフエンジニア、清水竜太郎氏などが参加した。
式典では福島県の内堀知事(中央)をはじめ、トヨタ自動車からはクラウンセダンのチーフエンジニア清水氏(左から2人目)なども参列
内堀知事は「2011年3月11日、私たちは東日本大震災と過酷な原発事故に見舞われた。そんな福島だからこそ、原子力に依存しない社会を作りたい。再生可能エネルギー100パーセントを目指したい。水素エネルギーを作り、貯めて、運んで使うというモデルを福島県から始めたい。水素パトカーを福島の地でお披露目できたことは大変意義深い。この地域をパトロールすることにより、県民の皆様へ水素エネルギーを身近に感じてもらえればと思います」と挨拶した。
また、トヨタ自動車の清水チーフエンジニアは「福島県は水素普及推進県として内外に知られており、県民を守るパトカーとして新たなページに加わったことに喜びと誇りを感じた。県警担当者の方と何度も打ち合わせを行い完成させた。外観デザインも何パターンも考え決定した。空気清浄機能も備えたマイナスエミッションや、給電機能も備わっており、街を守る新たなパトカーとしての活躍に期待している」と挨拶した。東北トヨタ自動車社長から県警本部長へレプリカキーの贈呈が行われたのち、さっそく県内のパトロールへ出発した。
220系クラウンよりもさらにファストバック味のデザインが強調された30系クラウンセダン。タイヤも19インチで存在感抜群だ
他県でも普及するのか、国費の新たなクラウンパトカーとして登場するのか今後の動向に目が離せない。
新たなクラウンパトカーの歴史が始まった。福島県警を皮切りに他県への導入や国費での導入も気になるところだ
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こんなサイズ規制変更したデカいクラウンじゃ仕事になんないでしょ