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「ジュリア」や「ミニ」など旧車同士の駆け引きが白熱!「サイドウェイ・トロフィー」参戦レポ

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「ジュリア」や「ミニ」など旧車同士の駆け引きが白熱!「サイドウェイ・トロフィー」参戦レポ

クラシック4輪&2輪を愛する人々がレースを楽しむ一日

 11月28日(日)に千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催されたヒストリックカーの祭典「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」。すでにイベントの概要リポートと、1968年式「アルファロメオ1600ジュリア・スプリント・ヴェローチェ」を手に入れた筆者(奥村)がレース参加の準備をする様子をお届けしてきた。

温故知新というには本気すぎる! 4輪、2輪、そして3輪も集まる旧車イベント「サイドウェイ・トロフィー」とは

 今回は、イベント当日、スプリントレースと耐久レースにアルファで参戦したリポートと、ほかの2輪&4輪のレースおよび走行会の様子を詳細にレポートする。画像ギャラリーと合わせてたっぷりお楽しみいただきたい。

レジェンドドライバーや、著名なあのデザイナーも参加

 迎えたレース当日の袖ヶ浦フォレストレースウェイ。全国から集まった各クラスの2輪車、4輪車がピットに並ぶ。今回、われわれの1968年式「アルファロメオ1600ジュリア・スプリント・ヴェローチェ」は、サルーンカーのスプリントレース「ティントップ・カップ」、耐久レース「セブリング40Mトロフィー」のふたつのクラスへエントリー。手強いライバルたちも続々とピットに収まる。

 グループA時代に「フォード・シエラ」、「BMW M3」といった黒船マシンを駆って国産勢を散々打ち負かした長坂尚樹選手(写真中央)は、「ジャガーEタイプ」でエントリー。また、「FJ1600」の初代チャンピオンとなった坂本典正選手(写真左)は「ロータス・エラン」で耐久レースに参戦。筆者とコンビで耐久レースに参加する篠田康雄さん(写真右)も元レーシングドライバーであり、このふたりとは数十年ぶりの再会となった。

 世界的に著名な工業デザイナーのケン奥山氏は、いつものパートナー、「ガレーヂ伊太利屋」のメカニック・斎藤大輔さんと「オースティン・ヒーレー・スプライト」で耐久レースに。さらに「ジネッタG12」で、「RACメモリアル・ラン」へとエントリー。

 そして、カラム親子のバグパイプの演奏を合図に、大会本部にエントラントたちが集合。「走るオーガナイザー」金子 温氏の開会宣言で、「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」の1日が始まったのだった。

スプリントの予選は8位、あせらず楽しむスタンスで

 この日のプログラムは、まずは2輪車の慣熟走行からとなる。エンジンのオイルの燃える匂い、サウンド、スピード……モーターサイクルは五感を目いっぱいに刺激してきて、いよいよ始まるモーターレーシングの気分を盛り上げてくれる。

 それに続いて4輪車も慣熟走行の時間となる。ここ袖ヶ浦フォレストレースウェイは比較的新しくできたコースであり、筆者の耐久レースのパートナー・篠田さんが現役時代にはなかった。この慣熟走行は、篠田さんの初めてのコースの確認を兼ねている。

 初めてのコースでラインに戸惑ったという篠田さんだが、走行は当然だが安定して不安な要素はまったくない。さすが、昔取った杵柄! 引退して40年近くが経過しているが、レーシングスピリッツは体に染み込んでいる。

 スプリントレースの「ティントップ・カップ」は筆者がドライブして、予選開始である。15台が出走するこのクラス。同じ「アルファロメオ1600GTV」が3台がエントリー。しかも、みんな同様に「GTA」ルックになっている。また他車のエンジンは2000ccに換装されており、わがマシンもオリジナルの1600ccから1750ccへとアップデートされている。

 15台が予選アタックに出走したうち、われわれの順位は8位。エンジンの調子も悪くなく、ストレスなく走れたが、以前の走行時に出したベストタイムから2秒も落ちている。まあ、勝っても賞金がでるわけでもなく、壊したら自腹で修理のアマチュアレースだ。耐久レースと2本に出場していることでもあるし、それぞれの決勝レースも無理なく楽しむことにしよう。

 2輪も4輪も、それぞれの決勝レースは午後からのスケジュール。その合間には「RACメモリアル・ラン」、「カフェレーサー・トリビュート・ラン」という2輪と4輪それぞれの走行会を挟む。レース用の車両以外にも、普段乗りのナンバー付き車両でレーシングコースの走行を楽しむエントラントも多い。

耐久レースはハンディキャップの設定でゲーム性が高い

 いよいよ決勝レースが始まる。まずは耐久レース「セブリング40Mトロフィー」から。スタートは「変則ル・マン式」と呼ばれる方法で、コースの内側に整列したマシンには、第1ドライバーがエンジンを停止した状態で待つ。そこへスタートの合図とともに反対側の第2ドライバーがダッシュして駆け寄り、窓越しにタッチする。タッチしたら第1ドライバーがエンジンをスタートして、第1コーナーまで全開で走行するのである。40分間の耐久レースの始まりだ。

 われわれのチームの第1ドライバーは筆者。混乱するアウト側を避け、イン側から一気にポジションを上げる。第1コーナーを抜けたときには5番手だ。だがしかし、第4コーナーを駆け上がり第5コーナー手前でスピン。反対を向いて皆さんとご挨拶(笑)。一気に最下位だ。ひとり旅が始まったが、排気量の少ないマシンに追いついて「競争」ができた。

 今回のレースは久しぶりに走る篠田さんのリハビリでもある(笑)。多めに走ってもらうため、筆者は15分、9周でピットイン。

 マシンの年式や排気量など性能差の大きいレースになるため、ドライバー交代のときには、それぞれ申告によるベストタイムから算出したピットストップ時間を加算することで、ゲーム性を持たせている。ちなみに最速ラップの「ジャガーEタイプ」の場合はピットストップ時間が4分、「オースティン・ヒーレー・スプライト」なら1分30秒といった具合だ。

 われわれのピットストップは1分40秒と短めである。仲間たちが第2ドライバーの篠田さんのシートベルト装着などをサポート。そしてピットストップ時間を消化してから初めてマシンの確認作業ができる。タイヤ空気圧、スタッドボルトの増し締めなどの作業時間を合わせて2分少々のピットストップから、篠田さんがふたたびコースイン。ライバルたちも順次ピットインしドライバーチェンジしていく。

 少しずつタイムアップをしながら13周を周回したところで、40分の走行時間終了を告げるチェッカーフラッグが振られた。

「オースティン・ヒーレー・スプライト」で小排気量ながらも軽量ボディと少ないハンディキャップを生かしたケン奥山&斎藤大輔組が表彰台の真ん中に立った。2位は抜群のパフォーマンスを見せた「ジャガーEタイプ」の安藤琢弥&長坂尚樹組。3位は「ロータス・エラン」の坂本典正&山路康夫組だ。

 同じレースに出場していた関口選手が坂本典正選手を祝福に駆け寄る。じつはこの日、関口さんは坂本選手のレーシング人生を讃えたイラストを用意していた。作者の岡崎さんからイラストは受け取っていたのだが、出走前はお互い忙しく、この日初めての顔合わせに坂本選手は思わず男泣き。

スプリント決勝では健闘して5位に入賞!

 続いては2輪車のレース「ヴィンテージ・ツーリスト・トロフィー」、「サラブレッド・グランプリ&ゴールデン・エラ・トロフィー&プロダクション・ツーリスト・トロフィー」のふたつのレースが開催。出場したマシンをご覧いただこう。

 そして筆者の出番がやってきた。サルーンカーによるスプリントレース「ティントップ・カップ」の決勝だ。グリッドは真ん中付近、8番目からのスタート。

 レッドシグナルの消灯でレーススタートし、タイミングは悪くなかったのだが、少しホイールスピンして第1コーナーへ。「ジャガーMK2」や、2台の「モーリス・ミニ・クーパーS」との追いかけっこだ。単独走行になることもあるが、こうした展開があってこそレース。

 排気量の小さな2台には予選では先行されていたが、ここではうまくパスできた。「ジャガーMK2」がそれらに阻まれたおかげもあり、5位まで順位をあげる。そしてラッキーなことに、4番手を走行していた同じ「ジュリアGTV」の片桐選手がコースオフしているところをパスし、4位まで浮上した!

 しかし、どんどん後方から迫ってくる片桐選手の「GTV」に最終周でパスされ、周回数10周のレースの最終コーナーを立ち上がったところで、チェッカーが振られているのが見える! フルスロットルで追い上げるが、1.4秒遅れて5位でのフィニッシュラインの通過となった。

 写真は、「ティントップ・カップ」を制した「アルファロメオ1300 GTジュニア」(エンジンは2000ccに換装)の佐藤選手、970ccながら堂々2位には「ミニ」の島津選手。3位は「BMW 2002」の隅田選手だ。

激しいバトルとスポーツマンシップに包まれるイベント

 最後のレースはスポーツカーでのスプリントレース「エバーグリーン・カップ」だ。白い「ロータス26R」で常勝の関口好夫選手に、グリーンの「ロータス・エラン」で迫るのが田中宏昌選手。スタート直後からの猛バトルは目が離せない展開で、田中選手のプレッシャーに負けずリードを続ける関口選手。果敢に攻める田中選手は何度かスピンを喫するもコース復帰し、関口選手を追った。

 結果は関口選手の逃げ切り3連勝となった「エバーグリーン・カップ」であったが、1分19秒111というファステストタイムは田中選手が奪取した。コース上での暫定表彰式では、ふたりの清々しい表情が「サイドウェイ・トロフィー」のスポーツマンシップを体現していた。

 表彰式では各クラスの入賞者が讃えられるが、この日もっとも輝いていたオーナーや車両に送られるのが「ベスト・オブ・サイドウェイ・トロフィー」。

 ワンデイイベントのころから参加して楽しんでいる諏訪 登さんと1964年製「フォード・ファルコン」がその栄誉ある賞に輝いた。そしてなんと、このファルコンは、映画「フォードVSフェラーリ」の劇中使用車。ファルコンの製造ラインのシーンで並んでいた個体そのものだという。けっこう傷んでいた足まわりを補修し、今回はグリッドレディを満載し、サーキットタクシーとして走行会の「RACメモリアル・ラン」を走った。

 3回にわたって紹介してきた「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」の楽しみ方。2022年は5月29日と11月27日、いずれも日曜日の開催が決まっている。興味をもった方は、自分にぴったりの楽しみ方で、参加してみることをお勧めしたい。

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