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フェラーリF40やポルシェ959をぶっちぎって伝説に! ポルシェっぽいバカッ速マシンを作るメーカー「ルーフ」って何もの?

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フェラーリF40やポルシェ959をぶっちぎって伝説に! ポルシェっぽいバカッ速マシンを作るメーカー「ルーフ」って何もの?

 この記事をまとめると

■ポルシェチューナーといわれることもある「ルーフ」だがじつは自動車メーカーとして認可されている

「F1ドライバーでも雨では乗りたくない」「日本の公道で300km/h走行」! 伝説のフェラーリF40とは何モノだったのか?

■1987年にロード&トラック誌の最高速チャレンジにて339.6km/hのトップレコードを記録した

■現在もCTRアニバーサリー、SCR、CTR3などのコンプリートカーを生産している

 伝説はCTR「イエローバード」から始まった

 ルーフをポルシェ911ベースにチューニングカーを作るファクトリーと考えているとしたら、それは誤解です。同社はすでにドイツ自動車工業会から自動車メーカーとして認められており、BMW傘下に収まる前のアルピナと似たような立場かもしれません。

 とはいえ、ルーフが作るスペシャリティカーのほとんどは911オマージュというか、見まごうことなくポルシェ911を意識したもの。それでも、ポルシェからなんらクレームらしきものがアナウンスされていないのは、昔から相応の手段ないし対策を講じているのだと思われます(ちなみに、レストモッドで有名なシンガーはそのあたりをとても慎重にケアしています)。

 ルーフの名が一躍メジャーになったのは、CTR、通称イエローバードによるナルド(フィアット所有のテストコース)の最高速チャレンジにほかなりません。1987年ロード&トラック誌が開催した企画で、エントリー車はフェラーリF40やポルシェ959など名だたるスーパーカーたちでした。が、ルーフCTRはトップスピード339.6km/hをマークし、それまでF40が持っていた323km/hをものの見事に蹴散らしたのでした。ちなみに、翌年は6速化してチャレンジした結果342km/hをマークして、これまたトップレコードをたたき出しています。

 これほどまでに凄まじいマシンを作り上げたルーフですが、そもそもはフォルクスワーゲンの修理工場兼ガソリンスタンドという環境からスタートしています。初代創始者のアロイス・ルーフ亡き後を継いだ息子のアロイス・ルーフ(ジュニア)の代になって、初めてポルシェのカスタムに着手したとのこと。

 そんな1980年代初頭、ドイツはスペシャリティカーの一大ブームを迎えていました。主に911を手がけるファクトリーだけでも、DP、ゲンバラ、シュトロゼックなど、群雄割拠といっても過言ではない状態だったかと(ちなみに、クレーマーやヨーストはスペシャリティカーでなく、レーシングカーコンストラクターという立場)。ルーフもそうしたなかにあって、頭ひとつ抜け出すためさまざまな模索を繰り返したと伝えられています。

 で、アロイスが始めたのが911のエンジンチューン。といっても、初期のAMG同様に排気量アップが中心で、さほど手が込んだものとは言えませんでした。それでも、当時としては画期的であり、マーケットでは十分以上の手ごたえが得られたことでしょう。次いで、ルーフはターボチューンに着手。これには時間をかけた(手を焼いた)ようで、開発車両(そのオリーブドラブの車体色から後にNATOというペットネームが与えられました)はかなり酷使されたコンディションだったこと、さまざまなメディアで伝えられていました。

 ポルシェ911の形はしているが中身はまったくの別物

 このNATOをプロトタイプとしたモデルはルーフ初のタービン付きスペシャリティカー、BTRとしてデビュー。車名はグループBターボ・ルーフの略で、930ターボをベースに、排気量アップ、タービンの大型化、そして控えめなエアロパーツの追加がなされています。

 次いで、BTRで蓄積されたノウハウをもとに、ツインターボを搭載したモデルが前述のCTR、グループCターボ・ルーフということに。

 また、当時のルーフをさらにイメージアップさせていたのが、テストドライバーのステファン・ローザといえるでしょう。ニュルブルクリンクでフルカウンターがあてられたCTRの激走シーンや、旧富士スピードウェイでのドリフト走行ビデオなどで目にした方もいらっしゃるかと。その収録をリアルにこの目で見ていた筆者ですが、とにかく過激というより、一流レーシングドライバーと同じくきわめてスムースだったこと、いまだに忘れられません。彼のドライビングアピールなくしては、さすがのCTRといえどもあれほどのインパクトは発揮できなかったこと間違いありません。

 さて、ルーフは911のモデルチェンジに伴って自社のスペシャリティカーもどんどん進化してきました。現状のラインアップだけを見てもCTRアニバーサリー、SCRといったトップモデルをはじめ、CTRの3代目にあたるCTR3はついにミッドシップモデルとなり、RCTやターボ・フローリオといった独自モデル、はたまたロデオ・コンセプトなる4輪駆動のクロスオーバーモデルのプロポーザルまで(本家ポルシェよりいち早く)リリースしています。日本でも正規輸入代理店が早くからあるので、国内でも予想よりはるかに多いルーフが走っているのです(前述のNATOも国内に!)。

 ルーフのクルマづくりはひとことで言えば「精緻で完璧なフィニッシング」といったところでしょうか。だいたいチューニングカーだろうと、スペシャリティカーだろうと、オリジナルより仕上げがいいというのはごくまれなこと。つい先日までは切った貼ったの手作り感あふれるモデルもゴロゴロしていました。

 一方のルーフは、CTRで用いられたアルミボディや、前後のFRP製エアロバンパー、はたまた専用アルミホイールに至るまで、誰もが認める高品質! チリが合わないとか、バランスがでないなんてこと一度たりとも聞いたことがありません。また、NAだろうとターボだろうと、しっかりカタログデータどおりのパフォーマンスを発揮するというのもルーフの美点といえるでしょう。世界各国、それぞれ仕向けが違うにも関わらず、同一のパフォーマンスを持たせることがいかに困難か、想像すらおよびません。

 たしかに、CTRが最高速をマークしたあとで、真偽のほどは別として、「あれはバイザッハがゴミ箱に捨てたアイディアを買ったのだ」とか、「(燃料噴射デバイスの)モトロニックのチューニングはルーフ社内では不可能」などと陰口が聞こえたこともありました。が、ルーフはいまやカーボンモノコックシャシー、プッシュロッドサスペンション、4リッターのNAで510馬力を発揮するエンジンまで作っているメーカーです。ポルシェがやらなかったことにも果敢なまでにチャレンジして、ことごとく成功を収めている事実はそうした雑音を消し去るには十分すぎること。

 ポルシェの形こそしていても、中身はれっきとしたルーフという唯一無二のスペシャリティカーなのです。

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