この記事をまとめると
■フェラーリF40の中古車価格がバブル期を超えたという
「F1ドライバーでも雨では乗りたくない」「日本の公道で300km/h走行」! 伝説のフェラーリF40とは何モノだったのか?
■ネットで検索するとF40はすべて価格「応談」となっている
■そこで中古フェラーリ専門店の代表にF40の価格について聞いた
いまF40はコンディションのいいノーマル車で3億円に!
フェラーリF40。赤い狂獣とも呼ばれる伝説の名車だ。日本での定価は4500万円(税別)だったが、バブル期に最高2億6000万円を付け、バブルの象徴というイメージもある。
そのF40の価格が、最近、バブル期を超えたという!!
ネットで検索しても、F40はすべて価格「応談」だが、いったいいくらなのか。中古フェラーリ専門店『コーナーストーンズ』の榎本修代表に聞いた。
榎本:「コンディションのいいノーマル車で3億円、いじくりもので2億円という感じです」
私:「い、いつのまにバブル期超えしたの!?」
榎本:「今年に入ってからです。昨年までは上限で2億円くらいだったんですけど」
思えば、R35GT-Rが5000万円になったのだから、F40が3億円になっても不思議はない。しかし、10年前は4000万円で買えたことを思うと、やはり「信じられない」という思いが沸く。
榎本:「そういう、『何年前はいくらで買えたのに』とか、『あんとき買っときゃよかった』という人は、そこまでの人なんですよウフフ~。そういう人は、どれだけ値下がりしても買いません」
確かに、安いときに買った人は、今後も下がり続けるかもしれないという損得勘定抜きで買っている。かく言う私も30年前、1163万2800円で初めてフェラーリ(初期型348tb)を買った時は、「もっと下がるかも」などとは微塵も思わず、「うおお、買える値段まで下がった!」と思って飛びついた。348はそこからさらにグングン下がったが……。
榎本:「F40を買う人は、4000万円の時でも3億円の今でも、どんな時期でもあっさり買います。そこにはナニワ節も根性もありません」
今F40を買う人は、「今が相場の天井かもしれない」などとは思わないからこそ買えるわけだ。それ以前に、お金持ちじゃないと買えないが。
榎本:「いえ、いくらお金があっても、F40はタマがありません。当店も、国際盗難車でなければ積極的に仕入れていますが、国内に残っているF40は国際盗難車の割合が高いので、注意が必要です」
F40を所有するとF50が輝いて見えるようになる……?
国際盗難車とは、海外で盗まれ、日本に持ち込まれたクルマのこと。日本では、「善意の第三者」、つまり盗難車だと知らずに買った人の権利が民法で保護されているので、多くの国際盗難車が流入したという経緯がある。海外では、事情にかかわらず盗品は所有者に返さなくてはならないので、日本はある意味盗難車天国。たとえば本国イタリアでは、フェラーリは「あっという間に盗まれる」と言われるが、その多くが日本に流れたらしい。
しかし今世紀に入ってから、国際盗難車に対するフェラーリ本社の国際手配が強化され、部品の入手が困難に。盗難車は輸出不能なので国際相場とも連動しない。ゆえに、基本的には誰も手を出さなくなっている。
日本にはバブル期、多くのF40が流入したが、その後景気の長期低迷によって流失に転じ、リーマンショック後は内外経済格差の拡大によって大量に流失した。つまり、国際盗難車の濃度が高まったわけだ。F40を買えない我々には、まったく関係ない話だが……。
榎本:「もうひとつの注意点は、F40を手に入れると、F50が欲しくなることです」
私:「えっ!? いや俺は、F50より断然F40だけど」
榎本:「そう思っていても、いざF40のオーナーになると、F50が輝いて見えるようになるんですよ。F40はV8ターボを積んだ改造車みたいなものですけど、F50はF1直系のV12エンジンを積んでます。シャシーもモノが違いますから」
私:「そ、そうなのかなぁ。で、F50はおいくらマンエンですか?」
榎本:「5億円から6億円くらいです」
ガーン!
ここからは独り言だが、いろいろ考えると、フェラーリなら、私が現在所有する328が宇宙一コスパが高いのではないか……。我が328GTSは、2年前、1180万円で購入したもの。現在はもうちょっと値上がりしているみたいだが、「ちょっと」に過ぎない。328はパワーが適度で公道でも楽しめるし、信頼性は抜群(本当)、カッコもF40からエアロパーツを外したようなもので、小柄で猛烈に美しい。何もかもが最高だ。
榎本:「同感ですよ清水さんウフフフフ~! デザイン的にも価格的にも、328がベストだと思います。なにしろF40の20分の1とかで買えますし、美しいですし、気軽に乗れるんですから!」
そりゃもう億超えのクルマなんて、怖くて乗れたもんじゃない。少なくとも我ら大衆には。
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