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現代の小ベンツはピリリと辛い? メルセデス・ベンツ A250 4マティック セダン試乗記

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現代の小ベンツはピリリと辛い? メルセデス・ベンツ A250 4マティック セダン試乗記

メルセデス・ベンツ「Aクラス」、初のセダンである。予約注文は2019年7月から始まっており、まずはもっとも高性能な「A250 4MATIC」から納車が始まった。1.4リッターで136psの「A180」と、そのAMGライン装着車であるA180スタイルはもう少しあとに入ってくる。

メルセデスとしては、初の前輪駆動アーキテクチャーを用いたフォーマル・セダンである。すでに「CLAクラス」があるではないか、と筆者なんぞは思うけれど、CLAは4ドア・クーペ&シューティング・ブレークという別ジャンルということのようである。

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【主要諸元】全長×全幅×全高:4560mm×1800mm×1430mm、ホイールベース:2730mm、車両重量:1580kg、乗車定員:5名、エンジン:1991cc直列4気筒DOHCターボ(224ps/5500rpm、350Nm/1800~4000rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:225/45R18、価格:485万円(OP含まず)。Sho Tamuraセダン市場は縮小傾向にあるけれど、無視はできない。「Cクラス」が大きくなっていることもある。現行Cクラスは全長4686mm、全幅1810mmというサイズである。全長こそ1980~90年代のEクラス(W124)の4740mmよりわずかに短いものの、2840mmのホイールベースは、W124の2800mmを超えている。

その点、新しいAクラス・セダンは全長×全幅×全高=4560×1800×1430mm、ホイールベースは2730mmで、全長はトヨタの現行「カローラ セダン」(4495mm)と「マークX」(4770mm)の中間ぐらい。もしも、いまもあれば「コロナ」ぐらいのサイズ、と申しあげていいかもしれない、ってコロナはとっくにないのですけど。

ボディサイズは全長×全幅×全高:4560mm×1800mm×1430mm。駆動方式はFWD(前輪駆動)と4WD。Sho Tamuraちなみに、元祖子ベンツの「190(W201)」は全長4420mm、全幅1680mm、ホイールベース2665mmで、Aクラス セダンはもとより、現行カローラよりも小さかった。たまに見かけると、あのサイズはよかったと思うけれど、衝突安全基準その他により、現代ではもはや不可能なのかもしれない。

新型Aクラス・セダンで肝心なのは、CLAと同サイズながら、CLAより主にリアのオーバーハングが切り詰められている分、130mmほど全長が短い点だ。その分トランク容量はCLAの460リッターに対して、Aクラス セダンは420リッターと若干小さくなっている。細かい話だけれど、いま勝ち残っているメーカー、とりわけメルセデス・ベンツは、モデル数を増やし、ニッチな需要に対して丁寧に応えようとしているので、おのずと話が細かくなるわけである。

ラゲッジルームの通常時容量は430リッター。Sho Tamuraラゲッジルームのフロア下は小物入れになっている。Sho Tamuraリアシートのバックレストは40:20:40の分割可倒式。Sho Tamura内装は基本的に現行Aクラスを踏襲している。計器盤のデザインは大きな長方形のディスプレイと、「ジェット・エンジンのタービンを想わせる」とメーカーが表現する5つの円形エア・アウトレットが印象的だ。

とりわけシルバーに輝くエア・アウトレットは、私的にはアール・ヌーヴォーとか「エイリアン」のH・R・ギーガーの世界観とかみたいで、突出して装飾的に見える。

インテリア・デザインはAクラスハッチバックとおなじ。純正ナビゲーションは18万7000円のオプション。Sho Tamuraパノラミックスライディングルーフは16万6000円のオプション。Sho Tamura高効率型のエンジン試乗車は「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」という20万8000円のオプションのクラシックレッド/ブラックの本革シートが装着されており、かなり派手である。外装も26万円のAMGラインなる前後とサイドのスポイラーが付いている。ヤング、あるいはヤング・アト・ハートな仕立てである。

AMGレザーエクスクルーシブパッケージ(20万8000円)装着車のシート表皮は本革。フロントシートは電動調整式。Sho Tamuraリアシートはセンターアームレスト付き(カップホルダー内蔵)。Sho Tamura乗り心地は硬めだ。平滑な路面では、うっとりするようなスムーズさを見せる反面、凸凹路面ではコツコツくる。コンフォート・モードにしても、サスペンション・ストロークが短いみたいな硬さがある。

低速でのコツコツ感はハンコックの225/45R18サイズのタイヤのせいもあるだろう。もちろん、メルセデスはあえてそうしているわけである。そうでないと、老人のクルマ、ということに再びなりかねない。往年の190のような、しなやかな乗り心地ではない。45扁平タイヤに象徴される、ヤング、あるいはヤング・アト・ハート向きの乗り心地である。

WLTCモード燃費は12.9km/L。Sho Tamura搭載するエンジンは1991cc直列4気筒DOHCターボ(224ps/5500rpm、350Nm/1800~4000rpm)。Sho Tamura1991ccの直列4気筒直噴ターボ・エンジンは高効率型で、フツーにドライブしていると、ガソリンを爆発させているというよりは空気で走っているみたいな感がある。アクセル・オフしても、燃費を稼ぐためにエンジン・ブレーキはほとんど効かず、一瞬、永遠に走り続けるかと思うほどである。残念ながら、徐々に速度は落ちていくのだけれど。

山椒は小粒でピリリと辛いエンジンは控えめで、乗り心地はやや硬めという、ちょっとチグハグなクルマだ……と、思ったけれど、箱根まで走りに行ったら、そうではないことに気づいた。

メルセデス・ベンツは都内をウロウロしているだけではモッタイナイ。ちょっと重めのステアリングもワインディング・ロードではちょうどいい。正確でよく曲がる。4000~5000rpmあたりで4気筒ターボは、AMGのV8にも似た、だけど、その半分ぐらいの、成長期の若々しさを感じさせるようなサウンドを発する。

ホイールベースは2730mm。Sho Tamura18インチのアルミホイールは、AMGライン装着車(26万円)専用デザイン。Sho Tamura4MATICは普段はほぼ100%前輪駆動で走っているタイプで、状況に応じて後輪にトルクを配分する。快晴で、乾いた路面の箱根の山道でどれほど後輪にトルクが供給されていたかは不明ながら、前後に最適にトルク配分されているおかげなのだろう、全開にしてもいわゆるオン・ザ・レール感覚で曲がっていく。

コーナリング中、コンフォート・モードでも、深々とロールしたりはしない。スポーツ・モードにすれば、なおさらロールしない。ロール感はあるから、まったくしないわけではないにしても、スポーティに感じる。実際、7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)をスポーツ・モードにするとブレーキング時に自動でブリッピングしてダウンシフトしてくれて、ますます気分が上がる。ブリッピングはイイ。乗り心地の硬さは飛ばすほどに気にならなくなる。

トランスミッションはデュアルクラッチタイプの7AT。Sho Tamuraメーターパネルはフルデジタル。Sho Tamura走行モード切り替えスウィッチはセンターコンソールにある。Sho Tamuraこのクルマ、普段は昼あんどん、じつは凄腕の必殺仕置人、藤田まこと演じる中村主水といったところでしょうか。いや、メルセデス・ベンツは昼間もメルセデス・ベンツだから、中村主水とは違いますね。価格は485万円。そうすると、ひとつ上のCクラスの1番安いモデル、463万円のC180(受注生産)の存在が気になってくる。下のクラスの一番高いモデルと上のクラスの一番安いモデルの価格が重なるメルセデス・ベンツのつねである。

A250 4MATICセダンにあって、C180にないもの。それは、天下の宝刀4MATICだ。雪の日なんぞは大いに安心。俺にはおまえというつええ味方があったんだぁ。

と、書いて終わろうと思ったら、試乗車は前述したAMGラインほかにくわえて、25万円の「レーダーセーフティパッケージ」やら18万7000円の「ナビゲーションパッケージ」、そして20万8000円の「アドバンスドパッケージ」(360°カメラシステムやヘッドアップディスプレイなど)と、オプションてんこもりになっていて、総額は619万9000円のクルマなのでした。なんとC200 4MATICの614万円を超えている!

A250 4MATICセダンの最大の魅力は、お値段ではない。C200 4MATICでは絶対に望めないもの、……山椒は小粒でピリリと辛い、というほどには小さくも辛くもないけれど、その小粒さがもたらす街中での扱いやすさにある。Cクラスでは大きすぎるとお嘆きの読者諸兄、本欄担当のイナガキ氏も、「ぶつける気がまったくしない」と、話していました。

文・今尾直樹 写真・田村翔

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