フィアットから日本デビューを果たした久々のニューモデルは、ミニバン/MPV(マルチパーパス ビークル)の「ドブロ」だった。まずは都内で短時間ながら試乗できたので、ファーストインプレッションを報告しておこう。
2列5人乗りと3列7人乗りを同時に発売
日本市場では500(チンクエチェント)やパンダといった小型車のイメージが強いフィアットから、ミニバン/MPVの「ドブロ(DOBLO)」が発売された。その車名はスペイン語(正しくは最後の「O」の上にアセントと呼ばれる記号が付く)で「ダブル」の意味もあるが、車名の由来は公表されていない。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
ドブロは同じステランティス グループのシトロエン ベルランゴやプジョー リフターとの共同開発車だ。すでにベルランゴとリフターは日本に導入されており、また2023年初めにはどちらにも3列シートのロングボディが追加設定された。だがドブロは、今回2列5人乗りの「ドブロ」と3列7人乗りの「ドブロ マキシ」を同時に発表。先達の2車種の動きから、同時発表が得策とステランティス ジャパンでは考えたのだろう。
さて、ドブロはプラットフォームやパワートレーン、内外装の基本的なコンポーネンツはベルランゴやリフターと共通だが、フロントセクションはオリジナル。ヘッドランプやグリル、バンパーはもちろん、ボンネットやフェンダーも専用パーツだ。したがって、顔つきは三者三様。姉妹車ではなく共同開発車であることを主張している。
ストームトルーパー?に似た顔つきがユニーク
グリルレス風にブラックバンパーを組み合わせた顔つきは、とくに今回の試乗車ではボディカラーがホワイトだったせいもあり、「スターウォーズ」に登場するストームトルーパーを彷彿とさせる、なかなかユニークなものだ。ボディサイドの幅広モールやホイールもブラックで、シンプルだがギア感を漂わせており、道具的にクルマを使い込むには最適なイメージだ。
インテリアもブラック基調でまとめられ、シンプルかつ機能的。ベルランゴとリフターではステアリングホイールやメーターパネルのデザインが別モノだったが、ドブロのそれはベルランゴのものに近い。スマートフォン対応の8インチタッチスクリーンやアダプティブ クルーズコントロール、レーンキーピングアシストなど安全&快適装備は他の2台と同等のレベルで備わっている。
2列5人乗りと3列7人乗りの違いは、2列目シートから後ろ。全長は365mm、ホイールベースは190mm延長されている。2列目シート使用時のラゲッジスペースは、5人乗りが約597L、7人乗りが約850Lだが、7人乗りは3列目シートを取り外す必要がある(折りたたむだけでも使える)。このあたりは、どういう使い方が主であるかを考えながらチョイスしたいものだ。
乗り味はいたって快適。ロングドライブに行きたくなる
今回の試乗車は、2列5人乗りのドブロ。白くて四角いボディはパッと見で大きく感じるが、全長は4.4mあまりとカローラ セダンより短いし、ロングボディのドブロ マキシでもアルファード/ヴェルファイアより30cm近く短い。全幅は1.85mあるが、アルファード/ヴェルファイアも同じ全幅だし、このクラスのミニバン/MPVを検討している人なら気にならないサイズだろう。
パワートレーンは、プジョーやシトロエンで定評のある1.5Lの直4 ディーゼルターボ。独特のダイヤル式セレクターをDに入れて走り出す。そのフィールは、ベルランゴやリフターと変わらない。ディーゼルらしい、タップリしたトルクを発進時から発揮してくれるが、初期ゲインは抑えられているので唐突に飛び出すような発進をすることはない。
そのままアクセルを踏んでいけば、ディーゼルらしいサウンドを発するがノイジーではなくスムーズに加速していく。今回は都会の一般道のみで短時間の試乗だったが、舗装の継ぎ目やちょっとした不整路面でのいなし方が巧く、乗り味はいたって快適。この手のクルマとしてはハンドリングの追従性も良い。
ステランティス ジャパンの広報によると、3台ともサスペンションはダンパー/スプリングとも別セッティング(パーツの品番も違うらしい)で、ベルランゴがソフトめでリフターがハードめ、ドブロはその中間になっているという。もっとも、このあたりの違いは直接乗り比べてみないと分かりにくいはず。購入を検討している人は実際に試乗してみて、まずは自分に合った乗り味を探してみるといいだろう。
選択肢が増えたラテンのミニバン/MPV
アイドリングストップ機能も備わり、WLTCモード燃費は18.1km/L。ディーゼルならではの高速燃費も良さそうだから、機会があればロングツーリングも試してみたい。高めのドライビングポジションで視界は良く、スクエアなボディは見切りがいいから街中でも持て余すこともないだろう。
2列目はセパレートの3人掛けなので、中央のシートでも座り心地は悪くない。ドブロ マキシの3列目シートには展示車両で座ってみたが、こちらもセパレートタイプでスライド機構も備わり、大人が座ってもヘッドスペースは十分、フットスペースもまずまず。
SUV的なイメージでまとめられたリフターや、ピープルムーバー的なイメージを強調したベルランゴとは違う、新たな個性のドブロ。3台とも全長×全幅とホイールベースは共通だが、ドブロはほかの2台より全高が50~80mm低く、車両重量も20~70kg軽い。しかも、多少の装備の違いはあるが車両価格は11~35万円安い(2列5人乗りでの比較)。
この3モデル×2ボディで6タイプ、さらには2列5人乗りだけだがエンジンはガソリンとディーゼルが選べるルノー カングーと、日本市場でもラテンのミニバン/MPVの選択肢が増えてきた。
日本車のミニバンも悪くないけれど、個性的なミニバン/MPVを選びたいというクルマ好きも少なくない。そんな人たちには、こうして選択肢が増えるのはうれしい限り。使い方やスタイルの好み、乗り味、そして予算などを考慮しながら、最適な1台を選んで欲しい。試乗も忘れずにね!(写真:Webモーターマガジン編集部)
フィアット ドブロ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4405×1850×1800mm
●ホイールベース:2785mm
●車両重量:1560kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1498cc
●最高出力:96kW(130ps)/3750rpm
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:軽油・50L
●WLTCモード燃費:18.1km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格(税込):399万円
[ アルバム : フィアット ドブロ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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