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名門フーガよどこへゆく 現行型の軌跡と今後の見通し

 現在、日産ブランドのFR車は、シーマ、フーガ、そしてスカイラインの3車種だ。どれもモデルが古く、一番新しいスカイラインでも、2014年2月登場と、すでに9年目に突入している。なかでも重症なのがフーガ。現行型であるY51型の発売開始は2009年11月。随分と時が流れてしまった。

 このY51型フーガの2020年の販売台数はわずか821台。トヨタのクラウンは「苦戦している」とはいえ、2020年は22,173台売れていることを考えると、フーガは目を覆いたくなるほど無様な状況である。

「アテンザ」の名を捨てたマツダの旗艦 MAZDA6はどこに向かうのか

 もちろん、12年間何もやってこなかったわけではなく、フーガは今日に至るまで、フェイスリフトや先進安全装備のアップデートなどの小改良は行われてきたが、インテリアデザインなどの基本設計の古さは否めず、定期的にフルモデルチェンジを行っているライバルメーカーとの戦闘力の差は広がるばかりだ。

 日産にとって重要な高級車であるはずの「フーガ」。フーガはこの先どうなってしまうのだろうか。

文:吉川賢一
写真:NISSAN

【画像ギャラリー】フーガを最後に伝統は途絶えてしまうのか…日産伝統のFR車「セドリック/グロリア」の歴代モデルを写真で振り返る

生粋のスポーツセダンだったフーガ

 高級ミドルクラスセダンとして長年活躍してきたセドリック/グロリアのポジションを継ぎ、2004年10月に発売された初代フーガ(Y50型)。その後継型として、2009年11月に発売開始されたのがY51型フーガだ。

2004年10月に発売された初代フーガ セドリック&グロリアの後継車として、そして北米インフィニティMとして、プレミアムFRセダンへと生まれ変わった

 BMW5シリーズを開発目標に掲げ、Lクラス級の巨大なボディを持ちながらも、徹底的にハンドリングにこだわってつくられたクルマだ。日産お得意の後輪操舵システムと、フロントアクティブステアを組み合わせた「4WAS(4輪アクティブステア)」も搭載した「生粋のハイパフォーマンス・スポーツセダン」でもあった(当該グレードは生産中止となってしまったが)。

リアスタイルも美しいY50フーガ。G37ことV36スカイラインと共に、生粋のスポーツセダンとして、2000年代に活躍した

 当初、国内仕様には2.5Lと3.7LのV型6気筒ガソリンエンジンを用意。1年後の2010年11月、3.5Lエンジン+1モーター2クラッチ方式のハイブリッドシステムを搭載したモデルが追加された。

 このハイブリッド仕様のパフォーマンスは、2012年当時、0-400m加速にてポルシェパナメーラのタイムに勝利し、「世界最速の市販ハイブリッド」という名誉を獲得している(タイム13秒9031は当時のギネス世界記録に認定)。ちなみに北米インフィニティには、5.6L V8エンジンを搭載した「M56」という、胸アツなモデルもあった。

まさかの「インフィニティエンブレム」

 記憶に新しい出来事が(といっても6年も前のことだが)、2015年のマイナーチェンジでエクステリアデザインを大幅刷新、そのタイミングでINFINITI(インフィニティ)エンブレムとなったことだ。

 前年にデビューしたV37型スカイラインと合わせてのことだったが、2019年12月の改良により、再び日産エンブレムへと戻された。ごく一部の日産ファンが憧れていた、「インフィニティ」のエンブレムにすることで、販売台数の向上を図ったものと思われるが、そんな日産の思惑はあえなく撃沈、逆に「迷走」と揶揄される出来事となってしまった。

2代目フーガは、2015年のマイナーチェンジでエクステリアデザインを大幅刷新、そのタイミングでINFINITI(インフィニティ)エンブレムとなったが、裏目に出てしまった

 ライフ途中で2度のビッグマイナーチェンジを行いつつ、国内では12年目に突入しているY51フーガだが、北米で販売されているフーガのインフィニティ版「Q70」は、2019年末に、とうとう販売終了となってしまった。Eセグメントの高級セダンが10年もモデルチェンジをせずに並べられていると、ブランド価値に悪影響を及ぼす、との判断からであろう。

どのクルマも定期的にモデルチェンジを行っている中、Y51型フーガだけが、際立って長いことがよく分かる

日産は「苦い思い出」に縛られている

 同じFRプラットフォームを使い、7~8年スパンでモデルチェンジをしていたスカイラインに続いて、フーガも2017年ごろには新型がデビューしていてもおかしくはなかった。なぜ日産は次期型フーガを出さないのか。

今見ても、マッシブでスタイリッシュなセダンではあるが、すでに見飽きられてしまっている

 その一番の理由はやはり、「新車開発の投資に見合う利益が見込めない」と日産が判断していることにあろう。日産には「倒産すれすれ」となった苦い思い出がある(いまもピンチだが)。そのため、「絶対に損をしないビジネスをする」という思いが強い。

 しかも、「売れていない」過去から「売れ高」を予測するので、ポジティブなビジネスモデルなど出てくるはずもなく、細々とでも売れ続けるのならば、そのまま放置しておこう、となるのだ。フーガやエルグランド、マーチなど、主力でないクルマのモデルライフが異様に長いのは、そういうことである。

現行のK13型マーチは2010年の登場と、マーチもフーガと同じく放置されているモデルだ

 日産で開発担当の一人だった筆者は、こうした実情をまさに身をもって経験してきた。「次期型を作りたい」という志を持ったエンジニアは社内に沢山いるし、開発する能力もある。でも、「リスクを背負ってでもチャレンジする勇気」が、日産社内には湧き起らない。それこそが課題だった。

 しかし日産は、昨年5月に「事業構造改革計画/NISSAN NEXT」を発表以降、新型車やその情報を続々と発表している。再び崖っぷちに立たされ、いまは社内の雰囲気も変わっているのであろう。しかし、フーガにとっては「時すでに遅し」という状況だ。

次期型フーガが今のまま「大排気量のマルチシリンダーエンジンの後輪駆動セダン」で登場する可能性はないに等しい

ラグジュアリーEVセダンを目指してはどうか

 セド・グロの系譜を継いだフーガは、「大排気量のマルチシリンダーエンジンを積んで、なおかつ、後輪駆動セダンでないとダメ」、と考える方もいるだろう。

 しかし、どんな素晴らしいクルマをつくったとしても、そもそも「セダン」というボディ様式が世間受けしなくなっている。次期型フーガが今のまま「大排気量のマルチシリンダーエンジンの後輪駆動セダン」で登場する可能性はないに等しい。

 ここはひとつ、フーガには日産が大事に磨いているEV「アリア」をベースにした「ラグジュアリーEVセダン」を目指してほしい。電動技術を駆使して、古典的な後輪駆動のフィーリングのEVを生み出すのだ。

アリアのプラットフォームを使ったラグジュアリーモデルこそが、「フーガ」の後継車こと、フラッグシップカーとしてふさわしいようにも思う

 これとて大ヒットは見込めないが、日産の名門「フーガ」の最後の花道を飾ることくらいは、できるかもしれない。

編集部註/フーガを全グレードEVにするなら、ぜひとも大容量バッテリーを搭載したグレードを設定し、「グランツーリスモアルティマ」と名付けてテスラよりも速くて長距離走行可能なバリバリのスポーツサルーンを作ってほしい。

【画像ギャラリー】フーガを最後に伝統は途絶えてしまうのか…日産伝統のFR車「セドリック/グロリア」の歴代モデルを写真で振り返る

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