アライヘルメットから2021年のニューモデル「アストロGX」が発売された。実際に着用テストを行なった感想をお伝えする。
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
アライヘルメット「アストロGX」インプレ・解説(太田安治)
ツーリングユースを前提に開発されたフルフェイスヘルメット
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走行速度域が低い市街地走行や開放感に浸りたいツーリングではオープンフェイスヘルメットを使うライダーが多い。オープンフェイスタイプは視界の広さや被り脱ぎしやすさ、軽さが生む疲れにくさなど多くの利点を持っているが、アクシデントに遭った際の保護性能に関してはフルフェイスタイプに劣るのも事実。そこでフルフェイスの安全性と、日常での使いやすさ、快適性のバランスを取って開発されたのがアライの新製品「アストロGX」だ。
路面からの衝撃をかわすために丸く滑らかな曲面で構成された帽体は、通常のグラスファイバーよりも30%高い強度を誇るスーパーファイバー素材を採用。アライ製品だけに、過酷な検査内容と厳しい基準で知られるスネル規格品だ。
見てすぐ判る新機構がフロントロゴダクト。額のAraiロゴ部分に2つの通気口があり、ライダーの頭が起きている状態でも走行風を効率よく取り入れる。上部のGフローダクト、チンバー部のXGシャッターと併せて低速走行時からベンチレーション効果を発揮するから、暑い時期の渋滞路における換気性能はトップレベル。
同じく新機構のGTスポイラーはRX-7X用のレーシングスポイラーをベースとし、高速走行時の乱気流を抑えてツーリングでの疲労を軽減。既存のフルフェイスとは次元の異なる快適性を備えている。
被り心地の優しさ、風切り音の低減などで普段使いでの快適性をアップ
「ツーリングユース重視」の設計を最初に感じるのは被り脱ぎのしやすさだ。
僕が常用しているRX-7Xはアゴ紐を左右方向に引っ張って帽体の裾を広げるようにして被り脱ぎしているが、GXはスッとスムーズに頭が入り、脱ぐときに耳が引っ掛かることもない。リリースによると帽体の裾部分を前後左右に5mmづつ広げてあるとのこと。僅か5mmだが、その違いは歴然としている。
被り心地はRX-7Xよりも優しくソフトに頭を包むタイプ。頬の圧迫感もなく、被ったままの会話も楽だ。さすがにRX-7Xのようなカッチリしたホールド性ではないが、高速道路の速度域ならこちらのほうが快適。120km/h走行でもブレやリフトをまったく感じなかったのはGTスポイラーの威力だろう。
加えて快適性に貢献しているのが新型ベンチレーター。特に前頭部にスーパーファイバーベルトを配し、強度を保ちながらアライ初の前頭部ベンチレーションシステムとなるフロントロゴダクトと口元のXGシャッターは40km/h程度から風の通りを実感できる。さらにシールド上部のブローベンチレーション、帽体上部のGフローダクトも開くと頭頂部の熱気がスカ~ッと抜けていくほど。
そしてもうひとつの大きな特徴が、サイドリブ部にフラットな面を設けてインカムを装着しやすくしていること。すべてのインカムユーザーがこの設計の恩恵を受けられる。
レース対応モデルのような派手さはないが、街乗りからツーリングまでに完全対応した仕上がりには感心させられる。アライらしい安全性への拘りと、現実的なシーンでの使いやすさが高次元でバランスした新世代のフルフェイスヘルメットだ。
アライヘルメット「アストロGX」各部解説
[ アルバム : 【写真7枚】アライヘルメット「アストロGX」 はオリジナルサイトでご覧ください ]
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
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