スバリストたちが最強として挙げることの多い5台をセレクト
歴代最強のWRXはどれか? スバリストなら三日三晩かけて激論してもなお結論が出せない、人によって意見が大きくわかれる大テーマである。
【スバリストが選ぶライバル】歴代最強の三菱ランサーエボリューションはこれだ!
たとえばニュルブルクリンクを走らせればS207が最強で揺るぎない一方、ミニサーキットや氷上コースなどの速度域が低いステージでは、歴代最軽量の初代GC8型がいまだに最新モデルよりも速かったりするので話は難しい。
ここでは、おそらくこのうちのいずれかを最強と推す意見が多数派であると思われるモデルをベスト5として挙げてみた。
第5位:初代WRX Type RA STi Ver.III
まず5位には初代GC8型から「Ver.III」のType RAを選出した。普通に考えるとGC8の最強モデルは22Bを第一に挙げたくなるところだが、WRカーのワークスレプリカとして誕生した22Bは同時にプレミアムカー色が強く、乗ってみると意外と普通。22Bは「もっとも偉大なWRX」ではあるが最強となると少し違うとの判断から選考外とした。Ver.IIIはエンジンがマスター4に変わって280馬力に到達したアプライドD型で、新井敏弘選手をして「出力特性がピーキーで扱いにくい反面、乗りこなした時の戦闘力は最強」と言わしめ、全日本ラリーでチャンピオンを獲得。歴代WRXで唯一の2ドアクーペの派生モデルも追加されるなど、最強のGC8として称えたい。
第4位:S202 STi Version
2代目GDB型は衝突安全性の向上と引き換えに車重が激増し、競技車両RAでも実戦における戦闘力が低下するという大問題に直面した。これに深刻な危機感を抱いた当時の開発陣はアプライドB型で早くも大改良を実施。
ルーフパネルやトランクリッド、各ガラスの薄板化などで90kgもの軽量化を実現。さらに車高ダウンやサスペンションジオメトリーの変更など、2年目とは思えない大改良を施したスペックCを導入した。
これをベースにチタンマフラーや超軽量ブレーキローターなどで、さらにバネ下やシャシー下部の重量を軽減し、320馬力の高性能エンジンを搭載したのがS202だ。パワーウェイトレシオはいまだ歴代WRX最強の4.15kg/PSを誇っている。
トップ3は戦闘力の高いモデル揃い!
第3位:2代目WRX STI spec C TYPE RA-R
2代目GD系WRXの最終型に設定された限定車。GDBは重量増とともに駆動系のハイテク化が進んだ宿敵ランエボとの勝負に苦戦するという大問題に直面したり、フロントマスクが不評で2度もフェイスリフトを実施するなど苦難続き。その鬱憤を晴らすかのように、最後になってトンでもない入魂モデルを送り出した。ブレーキにはWRX初のブレンボ製専用モノブロック対向6ポッドキャリパーや18インチ32mm厚の2ピースグループドディスクローターで武装。操縦性は実戦での戦闘力を重視した玄人向けのセッティングで、乗りこなすにはテールスライドコントロールのスキルが求められたなど、「危険な香りが漂う最後のWRX」とも言われる。
第2位:R205
S203以降のSTIコンプリートカーはプレミアム路線を強め、3代目GRB/GVB型のSTI車は「甘美な乗り味」をさらに徹底追及。その一方で、WRCからの撤退や宿敵ランエボが進化を止めたこともあり、戦闘力の向上は頭打ちとなってしまった感が否めないが、R205には「本気でニュルの頂点を目指す」レースマシンのオーラが漂う。暖気前では車検に通らない可能性が高いとされるほど勇ましい爆音サウンドは実に戦闘的であった。乗り味面でのプレミアム感ではS207以上であり、カーボンルーフを採用したことなどが再評価されるS206や、GVB最終型に設定されたWRX STI tS TYPE RAも悩ましい名車ながら、R205はラリーで勝つために採用したハッチバックボディ最強のWRXとして称えたい。
第1位:S207 NBR CHALLENGE PACKAGE
カーナビと諸経費込みで700万円にも達する価格や、スバル車史上初の抽選販売で即時完売したなど、未来永劫にわたって語り継がれるであろう伝説の数々を残した。ニュルブルクリンク24時間レースの優勝記念モデルということで、競技向け車両として生み出されたわけではないが、その乗り味は極めて戦闘的。いかにもレーシングカー的なソリッド感に満ちている。何気ない日常の中でもニュル優勝マシンのナンバー付き車であることを実感しながら悦に浸れるのは、高倍率の抽選に当選したオーナーの特権だ。発売されて1年以上過ぎてもなお、新車販売価格以上の高値で流通していることも含め、2017年1月現在での歴代WRX STI最強とさせていただく。
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