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普段使いならGRカローラ!! GRヤリスと同じエンジンなのに……乗ると全然違うワケ

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普段使いならGRカローラ!! GRヤリスと同じエンジンなのに……乗ると全然違うワケ

 同一のパワーユニットを搭載するGRヤリスとGRカローラ。もちろん両車ともトヨタのスポーツモデルなのだが、試乗するとあまりにもキャラクターが違いすぎた!! パワーユニットの特性を軸に両車を解剖していく。

※本稿は2023年2月のものです
文/松田秀士、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年3月26日号

普段使いならGRカローラ!! GRヤリスと同じエンジンなのに……乗ると全然違うワケ

■GRヤリス VS GRカローラ

トヨタ GRヤリス(左)とトヨタ GRカローラ(右)。同じ1.6L、直3DOHCターボを搭載する

●GRヤリス主要諸元
・全長:3995mm
・全幅:1805mm
・全高:1455mm
・ホイールベース:2560mm
・車重:1280kg
・WLTCモード燃費:13.6km/L
・396万~456万円(4WD)

●GRカローラ主要諸元
・全長:4410
・全幅:1850
・全高:1480mm
・ホイールベース2640mm
・車重:1470kg
・WLTCモード燃費12.4km/L
・525万円

●同じ点
・エンジンの高回転域のフィーリング
・優れたGR-FOURシステム(4WD)

●違う点
・サスペンションの初期の動きの硬軟
・GRカローラのほうがパワフルだが重い

■まずはそれぞれの「生まれた理由」から考える

乗り心地はGRカローラのほうが快適で、室内騒音も若干静か

 どうしてこの2台ができたのだろう? と考える。ヤリスはヴィッツの後継車。アグレッシブな顔つきが好評で大人気。カローラはヤリスが登場するよりも前にテコ入れして、ボクがベタ褒めしたカローラスポーツも追加され、今も及第点の売れ行き。ここまで突き詰めたモデルを作らなくても……。

 ただGRヤリスはWRCのホモロゲーションモデルという立派な理由がある。とするとGRカローラのなぜ? が気になるのである。

 ところが走り始めるとGRカローラのクルマとしての完成度と多様性にちょっと欲しくなってしまう。GRカローラは当時の社長だった豊田章男氏の「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」という思いから誕生したと聞く。

 確かに虜になったカローラ、TE27型レビンはセリカに搭載されていた1.6L、直4DOHC(2T-G)エンジンを移植。オーバーフェンダー姿もワクワクさせてくれた。

 GRカローラはTE27ほどのインパクトはないが、GRモデルらしいスポーツ姿にどこか大人びたフィニッシュ。オーディオも奢られている。走り出すとスポーツモデルらしいツッパリ感のある足。ただし時間が経ち慣れてくると、乗り心地は悪くない。初期の足の動きが絶妙であることがわかる。

■常に「ギンギン」のGRヤリス&時折「安らぎ」も交えるGRカローラ

GRヤリスはショートホイールベース+ワイドトレッドというコンペティションらしい走り味を堪能できる

 GRヤリスはWRCのホモロゲモデルというに相応しい、カローラに比べるとサスが路面を叩いて走るかのよう。走り慣れるとこちらも初期に小さいながらしっかりとした足の動きがある。でなきゃ飛び跳ねてるし。それとボディの剛性感がスゴイ。

 カローラは5ドアであることに起因するカッチリとした剛性感だが、ヤリスは鳥籠のように鉄筋を張り巡らしたような剛性感。レーシングカーにありがちな堅剛さだ。

 自律神経の交感神経(アグレッシブ)がいつも優位に立って走るのがGRヤリスで、交感神経と副交感神経(やすらぎ)が交流電流のように常に入れ替わりながら走るのがGRカローラだと感じる。

 なのでボク個人的にはGRカローラの乗り味のほうが好き。年齢のせいもあるが、欧州スポーツモデルに共通するエッセンスを感じる。

■同じパワーユニットだが車重が大違い!

エンジンは同じ1.6L、直3DOHCターボで同じだが、スペックはGRヤリスが272ps/37.7kgmに対しGRカローラは304ps/37.7kgm

 メカニカル面についても触れておこう。

 この2台は同じ4WDシステムを持つ。電子制御による多板クラッチを用いたアクティブトルクスプリット4WDでリアにはトルセンLSDを装備する。コクピットのスイッチ操作で前後駆動配分を前60:後40の前寄り、前30:後70の後ろ寄り、前50:後50のフラットに変更することができる。

 このモード変更によるハンドリングの違いを今回の試乗で判別はできなかったが、GRカローラのホイールベース2640mmに対してGRヤリスは2560mmと短く、コーナリングでの動きは明らかにアジリティがあり押さえつけてドライブする感じ。GRカローラは直進性も高く、ちょっと乗せられている感じだ。

 さて最後にエンジン。両モデルとも同じ1.6L、直3DOHCインタークーラーターボだが、GRヤリスが272ps/37.7kgmのスペックに対しGRカローラは304ps/37.7kgmとGRカローラのほうがパワフル。

 ただし重量差が190kgもあり、一般路での加速性能はGRヤリスのほうが若干速く感じた。振動感が少なく耳障りなノイズがないのがGRカローラのほうで、やはりこれも好みは分かれるだろう。

■判定

・快適性と使い勝手を重視するならGRカローラ
・軽快感とスパルタンさを求めるならGRヤリス

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