春だというのに今買える新車のオープンカーはたった2台。価格帯は違うけど…高性能グレードの3つの共通装備に納得

新車で買える国産オープンはたったの2モデルのみ！
多様性という言葉を目にする機会の多い今日この頃ですが、国産オープンカーというカテゴリーにおいては選択肢が非常に少なくなっています。まして、2022年3月でホンダS660が生産終了となってしまいました。

具体的には、新車で手に入れることができるのは、マツダ・ロードスター／ロードスターRFとダイハツ・コペン（トヨタ版のGRもあり）の2モデルだけとなっているのです。

ロードスターは全幅1735mmの3ナンバーボディ、コペンは言うまでもなく軽自動車ですから車格は異なります。駆動方式もロードスターはFR、コペンはFFですから走り味については大きく違うという印象を持たれるかもしれません。

また、価格帯は1.5Lエンジン＋ソフトトップのロードスターは262万円～335万円、コペンは189万円～243万円と重なっていません。予算次第ではコペンしか選択肢がないという状況になることもあるでしょう。

スポーティ仕様の専用装備は意外なほど共通だった
しかし、この2台には意外な共通点があることはご存知でしょうか。それぞれ走りにこだわった上級グレードの装備を見ていくと、その共通性に気付きます。

まずはコペンから見ていきましょう。

コペンはローブ、エクスプレイ、セロ、そしてGRスポーツと4タイプを用意、内外装を差別化することでラインナップを充実させています。

ローブ、エクスプレイ、セロには走りを磨いたスポーティ仕様として「S」のつくグレードが用意されていますが、その専用装備となっているのが、ビルシュタイン製ショックアブソーバー、レカロのスポーツシート、モモの本革ステアリングホイールです。さらに5MT車にはオプションでスーパーLSDを装着することも可能です（GRスポーツには標準装備）。

では、ロードスターのスポーティグレードではどうなっているのでしょうか。6速MTしか用意しない伝統のスポーツグレード「RS」の仕様を見ていくと、やはりビルシュタイン製ダンパー、レカロシート、トルクセンシング型スーパーLSDが備わっていることが確認できます。

ショックアブソーバーとダンパーという表記の違いはメーカーのこだわりによるもので、サスペンションにおいて減衰を担うハードウェアとしての機能は同じものです。

つまり、コペンもロードスターも走り重視のグレードではビルシュタインの脚を与えられ、レカロシートが乗員を支え、スーパーLSDがトラクションを向上させるという点では共通しているのです。

身近なオープンを比較検討して買えるのはいまのうちかも
もっともLSDはスポーツドライビングに必須というわけではありません。ライトウェイトスポーツカーとしての本質を追求したというロードスターの特別仕様車「990S」はLSD非装着のいわゆるオープンデフとなっています。実際、990Sに乗ったときにオープンデフだからといって明確な不満を覚えることは個人的にはありませんでした。

それはコペンでも同様で、オープンデフだからといって駆動が抜けてしまうような印象はありません。逆に、LSD装着車でもハンドリングにクセが生まれないのはスーパーLSDの特徴です。とはいえ、LSDが備わっているという認識が、スポーツカー気分を盛り上げてくれるのも、また事実です。

いずれにしても、コペンとロードスターという国産オープンカーには走りを向上させるアプローチとして同じようなスペシャルアイテムを選んでいるという部分があるのでした。

一方、ホイールは前述したロードスター990Sがレイズのアルミホイールを標準装着しているのに対して、コペンGRスポーツはBBSのアルミホイールを選んでいます。どちらのホイールも鍛造性で、軽くて高剛性となっていますから選択したブランドは異なっていても、方向性は共通しているというべきかもしれません。

いずれにしても、自動車業界の変革に伴って、身近な価格帯のオープンカーを新車で買える時代がいつまでも続くとは限りません。こうして比較して迷えるうちに購入を検討しておくことをおすすめします。

文：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）
写真：
1枚目：マツダ ロードスター RS
2枚目：マツダ ロードスター 990S
3枚目：ダイハツ コペン
4～5枚目：コペン GRスポーツ

Comments

Lexus LC500 Convertibleは？

LC500も買えるんじゃないん？