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進化の名に偽りなし ランボルギーニ・ウラカン・エボに試乗 自然吸気V10 640ps

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進化の名に偽りなし ランボルギーニ・ウラカン・エボに試乗 自然吸気V10 640ps

ウラカンの本物のエボリューション

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)5万とあるクルマのモデル名の中でも、ウラカン「エボ」という命名にはとても納得ができる。ランボルギーニがスーパーカーJr.へ与えた進化の中身は非常に幅広く、単なるフェイスリフトという範囲を超えているように思う。ウラカンへと与えられた、本物のエボリューションだといっていい。

【画像】ランボルギー・ニウラカン・エボ 全80枚

進化前のウラカンも間違いなく素晴らしいスーパーカーだった。だがその魅力は自然吸気のV型10気筒エンジンという個性と激しさが中心的で、サーキットでも一般道でも、バレエダンサーのような柔軟性に富んだ軽やかな身のこなし、という側面での感動は薄かった。

今回施されたエボリューションによりその身体能力は高められ、ウラカン自体の水準が、素晴らしく直感的で能力を引き出されたウラカン・ペルフォマンテへとぐっと近づいた印象だ。その進化の出発点が、サーキット走行にも焦点が向けられた、エンジンの軽量化からということも期待どおり。

ペルフォマンテと同様に、ウラカン・エボに搭載されるのは5.2Lの自然吸気V型10気筒エンジンだが、そこにチタン製吸気バルブと新しい軽量なエグゾーストシステムを導入。最高出力は640ps/8000rpm、最大トルクは61.1kg-m/6500rpmをマークする。エンジン制御プログラムも書き換えられ、0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は王代を軽く超える325km/hに届く。

クルマ全体を司る新しい頭脳「LDVI」

加えて後輪操舵とトルクベクタリング、マグネティック・ダンパー、ダイナミック・ステアリング、トラクションコントロール・システムも大幅に刷新されている。エクステリアデザインにも手直しが入り、よりアグレッシブな佇まいになっただけでなく、空力的にも効率が向上している。

これらのふんだんなアップデードの中にあって、最も重要な進化といえるのが、クルマ全体を司る新しい頭脳の採用。ランボルギーニ・ダイナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)と呼ばれるコンピュータで、先出のクルマの様々なシステムから伝送される膨大な情報を統合的に判断し、瞬時に処理し、必要な制御をリアルタイムに導き出す。

理屈的には、その瞬間瞬間の状況や環境の変化に対応することが可能で、ウラカン・エボは常に最適なクルマとして調整されることになる。加えてドライバーの操作やタイヤが接する路面状態から、次に取るべき処理内容を予測することも可能だという。

映画マトリックスの主人公、ネオは、頭脳へと直接コネクトし、トレーニングプログラムをアップロードすることで戦闘能力を高めていたが、「LDVI」も同様にウラカンの身体をより強靭で俊敏で柔軟性のあるクルマへとアップデートした印象だ。前回バーレーンのサーキットで試乗した際は、その片鱗をかすめ見た程度だったが、シャープでクイックで、喜びに満ち溢れたクルマであることは感じ取ることができた。今度は英国の、バリエーションに富んだ道路網に向き合う時となる。

一体感の強い刺激的なドライビング

ウラカン・エボは、日常的な生活で数キロ程度の距離を走っているだけでは、マクラーレン720Sのように親しみやすいクルマではない。そもそも視界が極めて悪い。想像以上に傾斜したフロントガラスと低い車高は、まるでポストの隙間から見渡しているようだし、午後になって日が傾いてくると、ダッシュボードの反射がフロントガラスに映り込む。前方の道路の安全性を確認するだけでもひと仕事だ。倒れかかったAピラーはコーナリング中の視界を遮るし、後方視界も限定的。720Sの完成度の高さに改めて気付かされる。

最も穏やかなドライビングモード、ストラーダを選択していても、民主化されたスーパーカーのマクラーレン並みの乗り心地にはならない。シートも硬く、数時間運転していなくても、体が痛くなってくる。デュアルクラッチATも充分に良好な変速マナーを身に着けているとはいえ、720Sほど磨き込まれてはいない。だが、静かに開けた視界の良い道路に巡り会い、スポーツモードに切り替えれば、そんなことは気にならなくなる。

単にドライビングが刺激的なだけでなく、コミュニケーション力も豊かで一体感も強い。ステアリングを切り増していく毎に、フロントタイヤのレスポンスは鋭くなり、グリップレベルの余力も絵に描いたように伝わってくるから、ペースを速める自信が湧いてくる。720Sほど写実的ではないにしろ、充分なスキルと勇気があれば、限界近くまで攻め立てた走りを楽しむことができる。もっとも、一般道では法律を冒すことになるわけだが。

ここまで能力が高いと、もどかしさを感じるものだが、慣れるほどにコーナリングスピードを高めていけることに気付く発見は感動でしかない。エンジンの極めてリニアなレスポンスのおかげで、コーナリング中にスロットルを操作し、一糸乱れぬバランスを崩してテールスライドを楽しむことも難しくない。

コルサモードを選択すると、クルマ全体がさらにシャープになり、ウラカンはさらに機敏に反応するようになるが、一般道ではダンパーの設定はいささか硬すぎる。とはいえ、その刺激に陰りが出るわけではないけれど。

正真正銘のスーパーカー

最大トルクの発生回転数が6500rpmに設定された情熱的なエンジンも、ターボチャージャーが席巻する今のご時世では痛快極まりない。回転数が増すほどに獰猛性に拍車がかかり、それにつれてクレッシェンドしていくサウンドトラックは、果てしないほどにドラマチック。

デュアルクラッチATは、マニュアル操作でもエンジンの回転数の変化に充分ついていけるほど瞬間的に変速をこなすから、気がつけば殆どの時間がマニュアルモードだった、ということもあるだろう。ただし余り楽しみすぎると、恐ろしい燃費だけでなく、軽い難聴になるのではないかと心配になってくる。だが取り巻く環境を見るほどに、最後の純粋な自然吸気V型10気筒となる可能性は充分に考えられる。レブリミットまでしっかり回して、限られた命を楽しまなくてはもったいない。

ランボルギーニ・ウラカンは刺激的で陶酔的で、感動するほどに機敏なスーパーカーだ。心拍数を速め、アドレナリンが溢れてくる感覚には中毒性がある。一方で、ライバルモデルとなってくるマクラーレン720Sは、より包括的なパッケージで勝っている。視界も優れ運転しやすいし、洗練され、一体感も秀逸。ステアリングホイールやブレーキペダルへ伝わってくるフィーリングも、マクラーレンの方が一枚上手ではある。

だが、マクラーレンはランボルギーニほどの個性を備えていない。ウラカン・エボこそ正真正銘のスーパーカーと呼ぶにふさわしく、一生ともにしたいと思えるエンジンには、愛すべき野生が宿っている。マクラーレン720Sの方が日常的に親しみやすく、サーキット走行でもより速いタイムで周回できるかもしれない。だとしても、わたしが夜見る夢に出てくるのは、ランボルギーニだと思う。

ランボルギーニ・ウラカン・エボのスペック

価格:20万6552ポンド(2685万円)
全長:4520mm
全幅:1933mm
全高:1165mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:7.2km/L(WLTP)
CO2排出量:322g/km(WLTP)
乾燥重量:1422kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:61.1kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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