最新500も往年モデルと同様に2気筒を設定。走りは個性たっぷり、深い味わい
いまやコンパクトカーは、軽自動車を含め直列3気筒が主流である。環境性能向上のためのダウンサイジングを進めるうえで、最も効率に優れるのがこのレイアウトなのだろう。
だが、フィアットは、さらにその先に踏み込んでいる。875ccの直列2気筒ターボ、ツインエアを開発。500とパンダに搭載した。エコとパワーの高次元マッチングを目指したフィアットの手腕は見事だ。
フィアット500がグレード展開を刷新。合わせて機能装備の拡充も実施
実は、フィアットにとって2気筒はツインエアが初ではない。1957年にデビューした1st・500も2気筒だった。ツインエアは効率を突き詰めただけでなく、ヘリテージに配慮したユニットでもある。
走りは独特の味わい。加速時の明確な鼓動は、電動化が進む現在の自動車シーンの中で、とにかく刺激的だ。2気筒ならではのピックアップとパンチは心地いい。
好き嫌いは分かれそうだが、あえて2気筒という個性を選んだフィアットの姿勢に拍手を送る。最高出力は85㎰に留まるものの、最大トルクは145Nmと太いので、パフォーマンスはなかなか強力である。
イタリア車らしさではフェラーリと並ぶ存在。乗ると元気になる!
イタリア車の最高峰といえば、フェラーリを思い浮かべる。だがフィアット500ツインエアはまったく対照的な方向で、イタリア車らしさを満喫させてくれる。フェラーリのV8や12気筒とは違う意味で、エンジンの面白さが堪能できる。官能と性能が両立している点は両者に共通だ。
デュアロジックと呼ばれる2ペダルの5速トランスミッションは、デビュー当初に比べると発進や変速がスムーズになった。小排気量の2気筒なので燃費はよく、JC08モードで24km/リッターをマークする。イージードライブでありながら楽しいし、しかもエコランできる希少な存在でもある。
このエンジンを積む500のシャシーがまたツインエアに合っている。路面の感触を伝えつつショックを巧みにいなしてくれる乗り心地は、ライブ感満点。スムーズな道はアップテンポに、荒れた道ではちょっとペースを落として走ろうという気持ちになる。
一方、2300mmという短いホイールベースのおかげで、身のこなしはかなりクイック。ブレーキもダイレクトに利く。ドライビングは素直に楽しい。元気たっぷりだ。
1st・500の面影を濃厚に残すエクステリアやインテリアも、もちろん魅力に数えられる。デザインから走りまで、良き時代の温もりと、現代のクルマならではの使いやすさ、快適性が同居している。このキャラクターは、今後さらに存在感を強めていきそうだ。
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みんなのコメント
高速道路も得意科目です。
決して速くはないけど、満足感のある加速をします。
欲を言うなら、最新電動の500にあるような、小さな後席用ドアがあると良いのだけれど。