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インディカー第10戦トロント/ルンガーが至難の週末を制し悲願の初優勝。パロウは15番手から13台抜きの2位表彰台

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インディカー第10戦トロント/ルンガーが至難の週末を制し悲願の初優勝。パロウは15番手から13台抜きの2位表彰台

 7月16日にカナダ・トロントの市街地で開催されたアメリカ国外での唯一のレース、ホンダ・インディ・トロント。ポールスタートのクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン)は、あらゆる作戦の錯綜するユニークな展開をくぐり抜け、終盤には他を寄せ付けぬ走りを披露してキャリア初となる勝利を挙げた。

 バンピーさとグリップの低さで名高いコースは、新舗装のされた部分に巨大バンプがあったりと、ドライビングは昨年までより難しくなっていた。

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 そんなストリートコースでの予選は、開始すぐに雨が降り出す展開となり、Q1グループ1はドライからウエットへと変化するコンデションのなか行われた。

 Q1グループ2とQ2になると路面は完全ウエットになり、Q2の途中からはウエットからハーフ・ウェット、さらにはどんどんと乾いて行く状況下での戦いへ。

 変化の激しい難コンディションでの予選において、マシンのセッティング、ウエット路面でのドライビングスキル、出走タイミングの良さという三拍子を揃えたクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン)が、第5戦GMRグランプリ以来キャリア2回目となるポールポジションを獲得した。予選2番手には、Q3での走路妨害をほぼ不問とする不可解な判定も味方につけたスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)がつけた。

 その一方で、チャンピオンシップ首位のアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)は、雨が降りだす前に速いラップタイムをマークできておらず、今シーズン初のQ1敗退を喫し予選15番手となった。プラクティス2で速さを見せていたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)も、3戦連続ポール、トロントでの2年連続ポール獲得を狙っていたはずだが、ウエットの路面にライバルよりも苦戦してスピードを発揮できずに予選14番手となった。

 予選3番手にはパト・オワード(アロウ・マクラーレン)が、4番手にはポイントランキング4位のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)が並んだ。前戦ミド・オハイオでの表彰台獲得でポイントランキング2位に浮上したスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は、予選ファイナルのファイアストン・ファストシックスへの進出を逃しの7番手。ランキング3位のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は予選番手だった。

 決勝レースの行われる日曜日もトロント界隈は雨の予報が出ていたが、ミッド・オハイオに続いて今回も天気予報は外れ、快晴下、蒸し暑いぐらいのコンディション下、全長1.786マイルのコースを85周するレースは全面ドライコンディションで開催された。

 ルンガーは、ソフト寄りのオルタネートタイヤで決勝レースをスタート。序盤には、ハード寄りのプライマリータイヤを装着した2番手マクラフランを引き離す。

 レース中盤には、ロマン・グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)のクラッシュによるフルコースコーションでリードがなくなる事態もありながら、2回目のピットストップをコーション中に行うという作戦も見事に決め、念願のキャリア初優勝まで悠々と走り切った。ソフトでのファーストスティントを早めに切り上げた彼は、ハードでも非常に安定した速さを見せ続け、最終的に2位パロウに11.7秒という大差をつけてゴールした。

 21歳のデンマーク出身ドライバーはデビューから3年目、フルシーズン2年目、通算28戦目で初勝利を飾った。これはデンマーク出身ドライバーによるインディカー・シリーズでの記念すべき初勝利。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングにとっての通算30勝目は、2020年の佐藤琢磨によるインディ500以来の勝利だった。

「今シーズンの開幕前に“初勝利を飾るまで口髭は剃らない”と決めていたんだ。そして今日僕は、ビクトリーレーンで髭を剃り落とすことになった。本当に嬉しい初勝利だよ」

 さらに続けて、「初めての勝利というものは、誰にとっても忘れられないものになる。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングというチーム、そしてホンダに深く感謝をしたい」

「予選はウエットコンディションでの難しい戦いだった。ウエットの路面でフルアタックを行うために、エンジニアにスロットルマップを調整してもらい、そのおかげで思う存分に力を発揮することができたんだ」

「今日のレースでは、追ってくるライバル勢よりも燃費をセーブしなければならない状況だったが、余裕を持って燃料セーブを行い、その上でライバルたちを引き離して行くことができた。この調子で前進を続けて行くよ」とルンガーは初優勝を喜んだ。

 ルンガーが大差をつけることができたのは、終盤に2番手に浮上したパロウが彼よりずっと燃費の面で厳しい状況にあったこと、それにくわえてフロントウィングを破損していてペースを上げ切れなかったためだった。

 エリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク・レーシング)とカイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート)がリスタートで接触してスピン。それを避け切れなかったパロウのマシンはフロントノーズを接触し、右フロントウィングがぶら下がったような状態になっていたのだ。

 それでもパロウは2位を守り通した。そのドライビングは驚異的だった。マシンに少しでも衝撃を与えないように最速のラインを外して走りながら、ライバル勢につけいる隙を与えなかった。3番手を走っていたハータの方が燃費で苦しくなってアタックを諦め、3位フィニッシュに方針転換。パロウはポイントリードを110点から117点へとさらに広げた。

「大変な1日であり、楽しい1日だった。予選を良いタイムをマークできなかった僕らは、15番グリッドからのスタートだったが、マシンが非常に速いということはわかっていた。予選以外ではスピードを見せ続けていたからね」

「決勝レースでは、前半でポジションを大きく上げることができ、その後は2番目に用意していた作戦へと切り替え、徹底的に燃料をセーブする走りを続けた」

「フロントウィングを壊した後は、ハンドリングが右コーナーと左コーナーで違っていたし、バンプを避けて走る必要もあったため、後続に差をつけるのは難しかった。けれど何とかゴールまでポジションを保ち、新しいスポンサーカラーのマシンで表彰台に上れたことは大変嬉しかった」とパロウは語った。

 7番手スタートのディクソンは、ルンガーやパロウと異なるピットタイミングを選んで逆転優勝を狙ったが、結果は4位。ホンダはデトロイト、ロードアメリカ、ミッドオハイオに続く4連勝で今シーズン早くも7勝目で、今週末は1位から4位を独占してみせた。

 ルーキー最上位フィニッシュとなったのは、マーカス・アームストロング(チップ・ガナッシ)の7位。これは彼のキャリアベストリザルトだ。

 そして、ミド・オハイオのプラクティスでクラッシュしレースを欠場していたシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)は、今週末もインディカーのドクターから出場許可が出されなかったため、チームはMSRで昨年IMSAスポーツカーシリーズのチャンピオンとなったトム・ブロンクビストを招聘し、インディカーへデビューさせることにした。

 先週にトロント郊外の常設サーキットで行われたIMSAシリーズ戦で優勝したブロンクイストは、インディカーデビューの予選で出走27台中の20番手となったが、レースはスタート直後のターン1でジャック・ハーベイ(レイホール・レターマン・ラニガン)がライアン・ハンター-レイ(エド・カーペンター・レーシング)にヒット。その外側にいた彼は壁とのサンドウィッチとなり、1周目を走り切ることができずリタイアとなった。

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