現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 『ザウバー・メルセデスC9(1989年)』完全復活したシルバーアローで37年ぶりにル・マン制覇【忘れがたき銘車たち】

ここから本文です

『ザウバー・メルセデスC9(1989年)』完全復活したシルバーアローで37年ぶりにル・マン制覇【忘れがたき銘車たち】

掲載 8
『ザウバー・メルセデスC9(1989年)』完全復活したシルバーアローで37年ぶりにル・マン制覇【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、1989年のル・マン24時間レースを制したグループCカーの『ザウバー・メルセデスC9』です。

* * * * * *

『ジャガーXJR-9(1988年)』ポルシェのル・マン連覇記録を止め、悲願を達成した殊勲車【忘れがたき銘車たち】

 前回の連載で1988年のル・マン24時間レースにおいて、ポルシェの連覇を阻止し、ジャガーにとって31年ぶりのル・マン優勝を果たしたグループCカー『ジャガーXJR-9』を紹介した。

 そしてその翌年、1989年もポルシェではなく、新たなグループCカーがル・マン制覇を果たしている。そのマシンが『ザウバー・メルセデスC9』だった。

 そもそも『C9』は、1987年に世界スポーツプロトタイプカー選手権(WSPC)に前作、『C8』の後継車として初投入されたマシンだった。

 この『C9』はカーボンモノコックを採用するジャガーとは対照的にアルミモノコックを持つ車両で、このモノコックに風洞実験を重ねて、『C8』よりもダウンフォースを増したボディとメルセデス・ベンツの5.0リッターV8ターボエンジンを組み合わせ、特にこの強力なエンジンを武器にスポーツカーレースを戦っていた。

 デビューイヤーこそトラブルに苦しめられたが、メルセデスが1955年に起きたル・マンでの大惨事以来、33年ぶりにスポーツカーレースへの正式復帰を表明した1988年には(エンジン供給自体は1985年より行っていた)、WSPCで11戦中9戦でポールポジションを獲得。ジャガーを凌ぐ速さを見せるまでに進化していた。

 しかし、ル・マンではアクシデントによって予選をもって撤退。これでル・マンでの勝利のみならず、WSPCにおいてもジャガーに次ぐ5勝をマークするが、タイトルを逃してしまっていた。

 そして1989年。この年、『C9』は発表時こそ前年の黒を基調としたカラーだったものの、鈴鹿サーキットで開催された同年のWSPC開幕戦でボディカラーをオールシルバーへとブランニュー。1950年代以来の“シルバーアロー”を復活させた。

 これに加えて1989年仕様の『C9』は搭載する5.0リッターV8ターボエンジンをそれまでのSOHCからDOHCへと変更。周囲を驚かせたボディカラーのみならず、ポテンシャルもしっかりと増してきていた。

 この改良も実ったか、この年の『C9』はWSPCにおいて最終的に8戦中7勝という圧倒的な強さを発揮し、タイトルを手にする。

 さらにこの年、WSPCのシリーズ戦からは外れていた“本命”のル・マンでは、まず予選でジャガー勢を大きく引き離すタイムをマークしてトップ2を独占する。決勝でも健闘したヨーストレーシングの『ポルシェ962C』やジャガーを退けて、1-2フィニッシュを達成。メルセデスにとって1952年以来37年ぶりのル・マン制覇を成したのだった。

 だが、グループCカー時代にメルセデスがザウバーとともにル・マンを制したのはこの1989年のみ。ル・マンでマツダとバトルを繰り広げ敗北した1991年をもって、メルセデスはスポーツカーレースから一時撤退することになる。そしてメルセデスが再びル・マンでの勝利を目指すのは、1998年のことだった。

こんな記事も読まれています

円急落、38年ぶり一時160円台後半、自動車株は全面安[新聞ウォッチ]
円急落、38年ぶり一時160円台後半、自動車株は全面安[新聞ウォッチ]
レスポンス
夏のカーエアコンで燃費が悪化! 「25度設定」が良い理由は? 押すと燃費が悪くなる“意外なスイッチ”とは?
夏のカーエアコンで燃費が悪化! 「25度設定」が良い理由は? 押すと燃費が悪くなる“意外なスイッチ”とは?
くるまのニュース
バイクのウインカーの謎! クルマみたいに自動で戻らないのはなぜ?
バイクのウインカーの謎! クルマみたいに自動で戻らないのはなぜ?
バイクのニュース
BYD『シール』、欧州ではEVモード80kmの電動SUV設定 9月発売
BYD『シール』、欧州ではEVモード80kmの電動SUV設定 9月発売
レスポンス
日々の暮らしに笑顔をもたらすニューモデル!ホンダ、三代目「フリード」を「エアー」と「クロスター」の2シリーズ構成で発売
日々の暮らしに笑顔をもたらすニューモデル!ホンダ、三代目「フリード」を「エアー」と「クロスター」の2シリーズ構成で発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
フェルスタッペン、2025年のレッドブル残留を明言「すでに来年のマシン開発にも取り組んでいる」
フェルスタッペン、2025年のレッドブル残留を明言「すでに来年のマシン開発にも取り組んでいる」
motorsport.com 日本版
ヤマハとJAF、電動ゴルフカートで「移動支援」と「地域活性化」へ 広がる低速モビリティの輪
ヤマハとJAF、電動ゴルフカートで「移動支援」と「地域活性化」へ 広がる低速モビリティの輪
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「池田直渡の着眼大局セミナー」第4回 ティアフォーにおける自動運転事業と開発の現場
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「池田直渡の着眼大局セミナー」第4回 ティアフォーにおける自動運転事業と開発の現場
レスポンス
日本を代表するハーレー・エンジニアと所ジョージさん 2人の深い関係を示す1台のカスタムバイク
日本を代表するハーレー・エンジニアと所ジョージさん 2人の深い関係を示す1台のカスタムバイク
バイクのニュース
5速MT搭載! 三菱が新型「軽トラック」を発表! ワイルドな「角張りボディ」採用した商用モデル「新型ミニキャブ」に反響続々!
5速MT搭載! 三菱が新型「軽トラック」を発表! ワイルドな「角張りボディ」採用した商用モデル「新型ミニキャブ」に反響続々!
くるまのニュース
【人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA】過去最高の389社が出展して開催 7月17-19日
【人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA】過去最高の389社が出展して開催 7月17-19日
レスポンス
BYDの日本導入モデル第3弾で、“e-スポーツセダン”を謳う「シール(SEAL)」が発売
BYDの日本導入モデル第3弾で、“e-スポーツセダン”を謳う「シール(SEAL)」が発売
カー・アンド・ドライバー
ホンダ、新型フリード発売 8年ぶりフルモデルチェンジ 6グレード展開で価格は250~343万円
ホンダ、新型フリード発売 8年ぶりフルモデルチェンジ 6グレード展開で価格は250~343万円
日刊自動車新聞
スバルBRZを含め人気モデルがどんどん市場から消えていく・・・ スバルBRZの特別仕様車「ファイナルエディション」登場!
スバルBRZを含め人気モデルがどんどん市場から消えていく・・・ スバルBRZの特別仕様車「ファイナルエディション」登場!
AutoBild Japan
F1参戦250戦目。RBダニエル・リカルド、F1オーストリアGPに特別ヘルメットで挑む「状況を好転させたい」
F1参戦250戦目。RBダニエル・リカルド、F1オーストリアGPに特別ヘルメットで挑む「状況を好転させたい」
motorsport.com 日本版
福岡の大動脈「八木山バイパス」有料化へ秒読み!? 4車線化工事がNEXCOへ移管 2024年度中に「普通車280円」徴収開始へ
福岡の大動脈「八木山バイパス」有料化へ秒読み!? 4車線化工事がNEXCOへ移管 2024年度中に「普通車280円」徴収開始へ
くるまのニュース
トヨタのサブスク[KINTO]がARを使ったスマホアプリの新サービス開始 ほんとに使えるか実際に試してみた!
トヨタのサブスク[KINTO]がARを使ったスマホアプリの新サービス開始 ほんとに使えるか実際に試してみた!
ベストカーWeb
写真で見るニューモデル ホンダ「フリード」
写真で見るニューモデル ホンダ「フリード」
日刊自動車新聞

みんなのコメント

8件
  • 歴代ルマン優勝車の中で一番じゃないかと思うシンプルで美しい車。
  • 1999年、シルバーアローは空飛ぶクルマとして伝説になるんだよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村