日本カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いたFFクーペ
FLYING KIDSのCM曲「セクシーフレンド・シックスティーナイン」と、「この運動神経は、ただ者じゃない」というキャッチコピーが鮮烈だった、三菱FTO。
【ニッポンの名車】FFスポーツの革命児! ホンダ・インテグラ タイプR(DC2)
1994年にデビューし、2000年に販売終了となったFFのスポーツクーペ。ベースはミラージュなのだが、1994-1995日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
スタイリングは、クーペフィアットに似た日本車離れしたデザインで、和製クーペフィアットなどと呼ぶ人もいた。しかし、じつはクーペフィアットも生産開始は1994年だったのだ。
この個性的なボディに、ホンダのVTECと同じような可変バルブタイミング・リフト機構=MIVECを採用した2リッターV型6気筒の自然吸気(NA)エンジン・6A12型(200馬力)を搭載(直列6気筒の1.8リッターモデルもあった)。
また、国産車で初めてのスポーツモード(マニュアルモード)付きのATとなる、INVECS-II(4速ATでデビューし、マイナーチェンジで5速化)を採用。技術的にはポルシェのティプトロニックが元祖だが、本家のポルシェのティプトロニックよりも、FTOのほうが高回転まで許容し、正確で使いやすいスポーツATだったのは特筆できる(MT車の設定もある)。
エンジンの吹き上がり、とくに中間加速がよく、V型6気筒エンジンのエキゾーストも乾いたいい音でなかなか魅力的だった。
そしてV型6気筒エンジンのFF車のわりに、ハンドリングはよく、「この運動神経は、ただ者じゃない」というキャッチコピーは伊達ではない。その要因は、ボディ剛性の高さとディメンションにある。
FTOは三菱にとって2代目で初代はギャランクーペFTO
じつは、このFTOは三菱にとって2代目のFTOで、1971年にデビューしたギャランクーペFTOが初代。この初代FTOのウリは「黄金分割」。
当時のレーシングカーなどでは、ホイールベースとトレッドの比率が、0.618になるのが理想の黄金比と言われ、初代FTOはこの値を0.58とかなり黄金比に近づけた、とカタログで謳っていた。
2代目FTOのプロポーションも、0.595とさらに理想の0.618に近づけている。もっとも、近年のホイールベース/トレッド比は、上記の「前後トレッドの平均値÷ホイールベース」ではなく、「ホイールベース÷前後トレッドの平均値」で求めるのが一般的。
2代目FTOのこの値は、1.68なので、同年代のライバルS14シルビアの1.71や、EGシビックの1.75と比べると、FTOの方が操縦性、機動性優位のディメンションだったことがよくわかる。
モータースポーツでは、JGTC (全日本GT選手権)に1998年、1999年の2年間参戦。初年度に総合年間ランキング5位を獲得している。エンジンは4G36ターボに換装。左右の重量バランスを向上させるために、左ハンドルに。なんとFFのまま参戦し、最高位は2位。
デビューから2年間で、約2万7000台が売れたが、その後伸び悩み、最終的な総販売台数は、3万8028台……。いまではめっきり見かけなくなったが、隠れた名車と言えるかもしれない。
【三菱FTO写真ギャラリー】
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