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【MotoGP】マルケス1043日ぶり優勝、みんなが考えているよりも重大な意味アリかも?

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【MotoGP】マルケス1043日ぶり優勝、みんなが考えているよりも重大な意味アリかも?

 モーターランド・アラゴンで開催されたMotoGP第12戦アラゴンGPでは、マルク・マルケス(グレシーニ)が完全な勝利を収めた。約3年ぶりのこの勝ち星だが、そこには単なる優勝以上の意味が発生していると考えられる。

 マルケスが表彰台の頂点に立ったのは、2021年第16戦エミリア・ロマーニャGP以来、実に約3年ぶり。日数にすれば1043日ぶりとなるが、レプソル・ホンダから単なるドゥカティ陣営のインディペンデントチームであるグレシーニへと移籍するという賭けに出たことを考えれば、偉業と言える。

■マルケス、ついに掴んだ3年ぶり勝利に感無量「苦しい時期を支えてくれた人達のことを最初に考えた」

 しかしマルケスが今回優勝したことは、単に自身の復活を告げる以上の意味があると言っていいだろう。

 “勝つこと”……その重要性はレーサーにとって、とんでもなく大きな意味を持つ。ラリー界のレジェンドドライバーであるカルロス・サインツSr.は、自身の息子カルロス・サインツJr.(現フェラーリ)がレッドブルにF1昇格のアピールをしていた際、次のようなアドバイスをしていた。

「私はいつも息子に、勝たなければ選択肢は無いのだから、勝つように努力するんだと話してきた。そして時には、ウエットコンディションでのポールポジションやファステストラップなど、できるだけ注目を集める“メッセージ”を送るべきだともね」

 マルケスの場合、サインツSr.の言うようなメッセージはコース上で着実に積み重ねられてきた。そして今回の勝利で彼の両肩からは、大きな重荷が取り除かれ(「2kg痩せた」とマルケスは冗談めかしているが)、今年の残り8戦ではドゥカティで未勝利ということから生じるプレッシャーや期待などを感じることなく、リラックスして挑むことができる。



「マルクはチャンピオンになるためにブランドを移ったんだ」

 マルケスの親友のひとりは、アラゴンGPのあとAutosport/motorsport.comにそう語っている。

「ただ楽しむというだけで、(2020年に怪我した右腕の治療で)4回もの手術を受け、ホンダとの数百万ユーロもの契約を破棄することはない。今、彼はまた勝てると理解している。そのことは、彼の自信にとって非常に重要になってくるだろう」

 アラゴンGPでマルケスの強さは圧倒的なものがあった。予選までのセッションを全てトップタイムで終え、さらに0.8秒以上の差をつけてのポールポジション獲得し、スプリントを独走優勝。さらに決勝レースでもそれは変らなかった。

 マルケスがこのレースウィークでトップとならなかったのは、路面がダンプコンディションとなった決勝日朝のウォームアップだけだ。マルケスはこのセッションでアウトラップを回ったのみで、タイムすら記録していない。

「その件は、こちらからすると非常に重要なことなんだ」

 マルケスの側近筋は、ウォームアップへのアプローチについてそう語った。

「ハーフウェットのコースで行なわれていたウォームアップに参加しないことを決めた事実こそが、彼はレースに向けてどれほど明快だったかを表しているんだ」

■MotoGPパドックの主導権掌握ふたたび?


 マルケスのアラゴンGPの走りは、彼の意向の表明として解釈のできるものだ。マルケスはドゥカティの型落ちマシンで、進歩した2024年型マシンへ対抗し勝利できた唯一のライダーとして際立った存在になっている。

 2023年型のバイクを使用することは、マルケスが差を承知の上で受け入れてきたことだ。マシンの差や欠点などを優勝に届いていなかったことの言い訳にはしようとしなかった。だからこそ、GP24に劣るGP23で勝利したことは、マルケスがドゥカティとのより強い繋がりを築き上げていく中で、大きな意味を持っている。

 マルケスはかつて、MotoGPパドックの王であり、HRCにとってのエンブレムのような存在だった。レースウィーク初日のセーフティコミッションでも主導的な発言をよくしていたが、今はあまり出席していない。だが、自らの意見が以前のように価値あるものと受け取られるようになったところで、また出席するつもりなのだ。

 ドゥカティ陣営に移籍して以来、マルケスは2024年を再建の年だと語ってきた。多くはこの発言を、再び競争の場で彼が再びチャンスを得ることなのだと解釈していたはずだ。だが、マルケスはホンダ時代終盤に失ったかもしれないスピードを取り戻すことだけではなく、グリッドの基準に戻り、多くの意味で自らの領域のボスになることを望んでいる。

 2025年にマルケスはドゥカティのファクトリーチームの赤いツナギを纏う。陣営外への再移籍すら匂わせて、ライバルのホルヘ・マルティンに傾きかけていたドゥカティに事実上判断を撤回させて得たこのシートは、2019年以来の王座へ返り咲くために不可欠だとしていた、もうひとつのマルケスの目標だった。

 ピットボックスはフランチェスコ・バニャイヤとシェアすることになるが、既に現チャンピオンとの戦いは始まっている。コース上ではなく、その外で、小さく、目に見えない方法や隠された言葉という形でだ。

 マルケスはドゥカティのファクトリーチーム加入にあたって、長年サポートされてきたレッドブルとの関係も手放さなければならなかった。ドゥカティはライバル飲料メーカーのモンスターエナジーとグローバルパートナーになっているからだ。

 モンスターエナジーはマルケスにレッドブルと同等の契約を提示したと言われているが、マルケスはこれを断ったという。この時代、エナジードリンクメーカーにしか払えないようなスポンサーフィーを断ることも、マルケスにとっての主張に他ならないだろう。

 では、次に一体何が起こるのだろうか? まずは残り8戦でのマルケスの戦いぶりに注目だ。

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みんなのコメント

4件
  • rkj********
    ドゥカティの昨年型GP23で勝ったライダーは今回のマルクが初めて。GP24の仕上がりが良く、昨年勝ってたベッツェッキやディジャが下位に沈んでいている事から覆せない差がGP23とGP24の間にはある。
    そんな中勝てるマルケスはやはりすごい。
    ジジが惚れ込んでいるのもあってワークスのシートを獲得できたわけだね。
  • Nobody
    マルケスにとって今の若いライダーは、バニャイアでさえ眼中にないと思うね。自己の追求、それ以外ないと断言できる(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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