現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 1965年のル・マン・レーサーを復刻 ビッザリーニ5300 GT リバイバルへ試乗 限定24台

ここから本文です

1965年のル・マン・レーサーを復刻 ビッザリーニ5300 GT リバイバルへ試乗 限定24台

掲載 1
1965年のル・マン・レーサーを復刻 ビッザリーニ5300 GT リバイバルへ試乗 限定24台

フェラーリやランボルギーニの設計に関与

本日ご紹介するのは、1965年に名を刻んだル・マン・レーサーの復刻版。ビッザリーニというブランド名の権利を保有する人たちによって、ほぼオリジナルへ忠実に再現されている。歴史と血統を、正当に受け継いだクルマといえるだろう。

【画像】往年のル・マン・レーサーを復刻 ビッザリーニ5300 GT 現代技術で蘇る名車たち 全110枚

予定されている生産数は24台。オプションなどを含めない状態で、英国価格は165万ポンド(約2億6400万円)とのこと。試乗することができたのは、そのプロトタイプとなる第1号車だ。

クルマに詳しいAUTOCARの読者でも、ビッザリーニという自動車会社には聞き覚えがないかもしれない。過去を遡って調べてみても、得られる情報は限られている。

歴史のどこかの歯車が違っていれば、フェラーリやランボルギーニと並ぶ、イタリアン・エキゾチックになっていた可能性もある。この復刻された5300 GTを知るには、少々その起源を振り返っておいた方が良いだろう。

創業者のジオット・ビッツァリーニ氏は、スポーツカーの世界では外すことができないであろう、重要な人物だった。フェラーリ250 SWBを開発したチーフエンジニアであり、250 GTOの設計を主導した経験を持っていた。

V型12気筒エンジンの技術者として、ランボルギーニにも深く関わった。1963年の350 GTVから2010年のムルシエラゴまで、彼の手掛けたユニットが動力源になっていた。

1965年のル・マンでクラス優勝

1960年代半ば、彼はイタリアの自動車メーカー、イソ社を創業したレンツォ・リボルタ氏と協働で、ゴージャスなグランドツアラーのグリフォA3/Lを設計。レーシング・スポーツカーのA3/Cへと発展させた。

このグリフォA3/Cは、1965年のル・マン24時間レースに参戦。クラス優勝を果たすという、大成功を納めた。

参戦時点では、マシンはイソというブランド名を背負っていた。しかし、程なく2人の関係には亀裂が入り、ビッザリーニは独自にブランドを立ち上げ、5300 GTというモデルへ発展させている。

試乗したビッザリーニ5300 GT リバイバルは、グリフォA3/Cとしてル・マンを戦ったマシンに限りなく近づけてある。製造を担当したのは、英国の技術者集団、RML社だ。公道走行が可能なように型式認証も済ませており、ブランド名も復活することになった。

見事に再現されたル・マン・レーサーへ近づいてみる。その素晴らしさに、なぜ多くの人から忘れられてしまったのか疑問が湧いてくる。

赤く塗られた低いボディのフロント部分、シャシーの中央寄りに5.3Lのシボレー社製V型8気筒エンジンが搭載されている。エンジンルームの前側には、もう1基エンジンが載りそうな空間がある。

1965年当時も、400ps以上の最高出力が得られていた。サスペンションは四輪ともに独立懸架式。フェラーリGTOやシェルビー・デイトナ・コブラより、優れた足まわりだったといっていい。

911 GT3と同等のパワーウエイトレシオ

パワフルで軽量で、重心位置は低い。ボディは滑らかで、いかにも空気をスムーズに流しそうだ。世界中の関心を集めてもおかしくないパッケージングといえた。フェラーリやフォードと同じくらいの事業予算があれば。

ビッザリーニは多くのクルマのデザインを手掛けていたにも関わらず、自身のクルマを成功裏に終わらせることはできなかった。1969年、事業は停止してしまった。

そうだとしても、ビッザリーニ5300 GTはイタリアン・デザインとアメリカン・メカニズムとが融合した、素晴らしいマリアージュにある。大排気量のV8エンジンを搭載していながら、車重は1200kgを切っている。

パワーウエイトレシオは、最新のポルシェ911 GT3に引けを取らない。つまり、非常に速い。

オリジナルへの忠実さにも抜かりはない。公式にFIAのヒストリック・レースのレギュレーションをクリアするために必要なことは、ボディをカーボンファイバー製からグラスファイバー製へ置き換えることくらいだ。技術力の高いRML社なら、可能だろう。

着座位置は低い。背もたれの倒れたシートは、シャシー中央よりだいぶ後ろ側。主要なメーターは、ダッシュボードの助手席側に並んでいる。

シボレー社製のエンジンは、1965年と同じように、4基のウェーバー・キャブレターで息を吸う。いかにもなアメリカンサウンドが、イタリアンな美しいボディを包み込む。ジャニス・ジョプリンがパフォーマンスしているようだ。

最新技術が活かされた製造品質

アクセルペダルを倒すと、猛烈に加速を始める。挙動の予想は若干難しい。ボルグワーナー社製の4速MTは、まだプロトタイプだからか少しぎこちない。しかし、シャシーは見事に機能している。

この時代のパワフルなFRモデルは、盛大にリアタイヤが滑ることが珍しくない。それはそれで楽しいのだが、ビッザリーニ5300 GTはそこまでだらしなくはない。

コーナーへ侵入していくと、アンダーステアが抑え込まれていることに気付く。シャシーの反応はニュートラル。出口に向かって右足へ力を込めると、息を呑むほど強力なトラクションで応えてくれる。

パワフルなエンジンと、最新技術が活かされた素晴らしい製造品質とが折り重なり、ドライバーの欲求を刺激してくる。現代のレーシングカーを数多く手掛けてきたRML社だからこそ、といえる仕上がりだと思う。

現代に蘇ったビッザリーニ社の担当者は、5300 GTはこれから登場するであろうモデルの、1例に過ぎないと話していた。どんなクルマが復活するのか、楽しみでならない。

1960年代の、最も優れたロードカーでありレーシングカーの1台を忠実になぞった、ビッザリーニ5300 GT リバイバル。ブランドのリスタートは、完璧に切られたといえそうだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
くるまのニュース
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
motorsport.com 日本版
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
レスポンス
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索
GTの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村