■もはや絶滅危惧種というべき3ドアクーペを振り返る
1980年代から1990年代にかけて、国内の高性能スポーティモデルといえば2ドアや3ドアクーペが主流でした。
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しかし、使い勝手の悪さから人気が低迷したことや、排気ガス規制の強化のためスポーティモデルそのものが2000年代になると一気に姿を消してしまいます。
そこで、かつて若者を中心に高い人気を誇った3ドアクーペのスポーティモデルを、駆動方式別に3車種ピックアップして紹介します。
●日産「180SX」【FR車】
バブル景気真っ只中の1988年に登場した日産5代目「シルビア」は、優れたデザインと走りで、発売と同時に絶大な人気を誇りました。
翌1989年にはハッチバック版の姉妹車「180SX」を市場に投入。こちらも後輪駆動のスポーティモデルとして人気を博します。
シルビアが固定式ヘッドライトだったのに対し、180SXはリトラクタブルヘッドライトを採用したことで、シャシを共有するものの全体のフォルムは完全に別のクルマに仕立てられていました。
発売当初に搭載されたエンジンは、最高出力175馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒ターボで、後に205馬力の2リッターターボと140馬力の2リッター自然吸気に換装。
そして1993年に、シルビアは6代目へとフルモデルチェンジしますが、180SXは独立した車種としてフルモデルチェンジすることなく継続して販売され、その後、1999年の7代目シルビアの登場まで約10年間にわたり、180SXは改良が加えられながら販売されました。
●ホンダ「インテグラ タイプR」【FF車】
ホンダは1992年に「NSX」の高性能モデルとして「NSXタイプR」を発売。サーキット走行も想定して開発されたため、乗り心地など普段使いの快適性を度外視したストイックなモデルとして話題となります。
そして1995年には、3代目「インテグラ」に、NSXに続いて第2弾となるタイプRが追加。3ドアクーペと4ドアセダンがラインナップされ、FFピュアスポーツとして人気を博しました。
インテグラ タイプRはエンジン内部に大きく手が入れられ、最高出力200馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒VTECを搭載し、初期のモデルは手作業によるポート加工も施されるなど、特別に仕立てられています。
また、ボディ各部の部品の材料置換や、快適装備などを廃止することによって約26kgもの軽量化を実現し、足まわりではスプリングや各ブッシュを強化し、シャシも剛性アップされ走行性能と旋回性能を向上しています。
外装には専用の前後スポイラーと赤地の「H」エンブレムが装着され、内装もレカロ製シートやMOMO製ステアリング、チタン製シフトノブなどを採用してスポーティに演出。
その後、マイナーチェンジで性能向上がおこなわれ、2001年には2代目インテグラ タイプRがデビューします。
しかし、インテグラは2006年に生産終了となり、この代をもってホンダのラインナップから姿を消しました。
■ラリーで鍛えられた3ドアクーペとは!?
●トヨタ「セリカ GT-FOUR」【4WD車】
1970年に発売されたトヨタ初代「セリカ」は、滑らかで優美なデザインの2ドアクーペで、高性能なDOHCエンジンを搭載するなど、若者から高い人気を誇りました。
その後もセリカはスポーティカーとして代を重ね、1985年には駆動方式がFFとなった3ドアハッチバックの4代目が登場。
リトラクタブルヘッドライトと、トヨタが「流面系」と呼称した、角を削り取ったような丸みを帯びたボディラインが特徴です。
そして1986年には、最高出力185馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDシステムを搭載した「セリカ GT-FOUR」を発売します。
1988年のシーズンから世界ラリー選手権にセリカ GT-FOURを投入し、1990年シーズンに常勝だったランチア「デルタ」を破り、日本車初のドライバーズチャンピオンを獲得するなど、高性能さをアピール。
ラリーで活躍したセリカはハイパワーなフルタイム4WD車というイメージが定着し、5代目と6代目とGT-FOURがラインナップされました。
※ ※ ※
かつては各メーカーから販売されていた3ドアクーペですが、いまではトヨタ「スープラ」や日産「フェアレディZ」など、高価なハイエンドモデルのみとなってしまいました。
ミニバンやSUVが普及し、トール系軽自動車の販売が好調な現在、3ドアクーペの復活は難しいでしょう。
インテグラ タイプRなど、すでに中古車価格が高騰してしまっており、今後はさらに希少になっていくことが想定されるので、本当に欲しいという人は、中古車情報を注意深くウォッチしておく必要があると思います。
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