エンジニア魂が光るFFセダン
スバル360で四輪自動車の市販化に成功した富士重工(スバル)が、軽からステップアップして小型乗用車市場への参入を果たしたモデル、それがスバル1000/ff-1/ff-1 1300Gである。
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【画像42枚】見事にff-1へとブラッシュアップを果たした作例とその工程を見る!
その前史としては、1954年に完成を見た試作車P-1(スバル1500)があるが、これは駆動方式やサスペンションの機構的には当時の常識的な内容を具えていたものの、フルモノコック・ボディを実現していた点に技術面での先進性を有していた。さらにこの後も小型乗用車の開発は続いたが、トランスアクスル式FRのA-4(初代ポンティアック・テンペストと同様に、プロペラシャフトを下方へたわませたものだったという)などの試作車を経て、開発陣の興味はFF方式へと移っていったようだ。
もちろんそれは“新しもの好き”というような意味ではなく、スペース効率的な意味で、これからの主流はFFになる、という確信に基づいたものであっただろう。2つの試作車を経て、ついにそれが実を結び市販化が実現したのが、1966年に発売となったスバル1000であった。スバル1000にはFF方式だけでなく、水平対向エンジン、インボード式フロントブレーキなど、数々の技術的な特徴がみられたが、そのいずれもが技術者の自己満足ではなく、前述の通りのスペース効率や、安全性・快適性の向上に不可欠なものだった。
また、当時はFF車には不快な振動(ユニバーサル・ジョイントの不等速性がその原因)がつきものとされ、その克服は困難と思われていたのだが、スバル1000ではダブル・オフセット・ジョイント(東洋ベアリングとの共同開発)という新技術の導入で見事これを解決。以後、世界中のFF車がこぞってこのジョイントを採用したという。さらに、水平対向エンジンを搭載したFF車という同様の特徴を持つアルファロメオのアルフェッタでは、その開発にあたってスバル1000を参考にしたとされるなど、その完成度の高さを示す逸話は少なくない。
こうして世に出たスバル1000だが、1969年には排気量を100ccアップして車名をff-1へと変更、翌1970年にはさらに1300ccへとエンジンを拡大しff-1 1300Gとなった。こうした変更に際してはもちろんエクステリアやインテリアのマイナーチェンジも伴い、徐々に”厚化粧”になっていく様には批判もあったが、設計そのものの合理性などに変わるところはなく、合計6年の長きに渡り販売されたのである。
実車同様に模型もマイナーチェンジ!
さて作例は、旧ヤマダ製1/24スケール・プラモデルのスバル1000をアップデートし、ff-1へと改造したものである。元のキットは2ドア・セダンであるが、作例では4ドアへと変更を行った。また、フロント周りの形状やウィンドウ開口部の大きさなども改められているが、ボディのアウトライン自体はほぼ活かされている。このキットは古い製品ながら、なかなかのプロポーションの持ち主なのだ。
……と、ここまで説明したところで、当サイトでは以前にも同じような作例をご紹介したことを思い出された方もいらっしゃるかもしれない。同様にヤマダ製プラモデルをベースとしたスバル1000 4ドア・セダンである。実は今回のff-1、その時のスバル1000をリメイクしたものなのだ。と言っても、あの作例自体を分解・改造したものではなく、当時残しておいた複製用の型を用いて新たにレジンでパーツを成型、各部を改造して制作したのである。
ベースキットの入手やその複製など、様々な意味で簡単にマネの出来る作例ではないが、フロントグリルの自作など、各部の加工には参考になる部分も少なくないだろう。それらについては制作過程の写真に解説を添えたので、じっくりとお読みいただきたい。また、先のスバル1000の作例については、下の「関連記事」をご参照いただければ幸いだ。
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