先日の佐賀県警察のセドリックなどのパトカー特集に続き、今回は神奈川県警察への取材を敢行した。全国で活躍するパトカーの中には県費で導入されたものも多く存在し、国費モノパトカーの更新サイクルである7~8年を超えて活躍し続ける車両も多いのだ。今回ご紹介する神奈川県警では、2023年現在でもなんと日産クルーパトカーや中期型セドリック、さらにはR33オーテック架装の4ドアスカイラインGT-Rが活躍しているのだ。その詳細に迫った!!
文・写真/有村拓真
R33スカイライン4ドアGT-Rパトカー仕様も現役で活躍!! 神奈川県警白黒パトカーの実力!!!
箱根駅伝の交通規制に先立って、R33GT-R4ドアパトカーが走行。このようなシーンで見かける機会があるのだ
最後の1台 神奈川県警察本部自動車警ら隊で活躍する日産クルー
日産クルーは1995年にデビューした。タクシー用途を主として開発されたモデルだ。総排気量約2,000cc、エンジンはRB20Eを搭載している。タクシー用途として製造された車両なので、後部座席左側のドアは乗降しやすいように大きく造られており、結果的に被疑者を車内へ乗せやすい(?)利点も。パトカーとしては1996年頃に国費で配備された昇降機がないタイプのMT仕様、後年、昇降付きでAT仕様のタイプも国費で配備されたが、一部の県には交通取締仕様も存在し、レーダーを載せた仕様のほか、滋賀県警には覆面タイプ(反転灯付)まで存在した。当時、対するトヨタは150系クラウンパトカーが国費で導入され、警ら用(昇降機付)の初期はMT車が、後年にはAT車が導入されたが、交通仕様はパトカー覆面ともにMT仕様のみが導入されていた。
2023年現在でも現役のクルー。他県では絶滅したということだが、神奈川県警では第一線でしっかり稼働している。地域総務課地域指導室、通称『チームはやぶさ』に所属する
今回取材した車両はAT仕様車で2001年登録、県費で導入された。同車が活躍している部署は職質のプロ集団である地域総務課地域指導室、通称『チームはやぶさ』だ。より高度な職質技術を武器に神奈川県内の治安維持のため日夜奮闘している。
90年代に製造された車両に最新の警察無線などが備わっているのは違和感があるが、コンパクトに装備されている。AT仕様だ
車歴20年超という車両ながら現在も第一線で活躍しており、クラウンと違ってコンパクトなボディを生かした機動性の高さは現場からの評価も上々だという。
レアもの中期型セドリックパトカーは今も現役!!
神奈川県北西部に位置する秦野警察署交通課には県費導入の中期型セドリックが活躍していた。1996年に県費で導入されたパトカーで型式はYPY31、エンジンはVG30とスペックは佐賀県警のセドリックと同様だ。中期型のセドリックパトカーは全国的にも多くなく、珍しい年式のものとなる。パトカーといえばセドックというようなことが言われていたくらいメジャーな車種だったが、古風なフォルムや黒のド鉄ホイルがカッコよさを増している。赤色灯もブーメランタイプではなく、バータイプの散光式警光灯という古いタイプのものが屋根に鎮座している。
秦野警察署に所属していた中期型セドリック。何とも言えないレトロな雰囲気がマニア心を魅了し、撮影に訪れる者も多くいたという。現在は秦野署を離れ、別の部門で現役だ
交通課所属なので、普段は事故対応などで活躍していた。車歴26年というご長寿車だけあって、速度取締には従事していないとのことだが、シートベルト未着用など軽微な交通違反の取り締まりで活躍した実績も。このような業務以外には、管内の祭礼警備やイベントで活躍しているとのことだったが、昨年11月初旬に高齢にもかかわらず異動が決まり、現在は秦野署を離れて他の部門で余生を過ごしているということだ。
車内は無骨な造りだが、警棒などを装備する警察官が乗降するため、シートなどはどうしてもが痛みが生じている。エアバッグもなく、ウィンドーも手回しで開閉する。MT仕様というのも、今となってはむしろ珍しく感じる
25年もの!! R33 GT-R 4ドア交パはイベントで活躍
最後にご紹介するのは第二交通機動隊に所属するR33 GT-Rオーテック仕様だ。1998年に県費で導入された。型式はBCNR33改、エンジンはRB26DETTを搭載している。前面警光灯はかつてメジャーであった覆面パトカー用に装着するのが一般的な、オートカバータイプのものが備わっている。ナンバープレートも同車に限っては異動せずそのまま活躍しているため、「相模88」と今時珍しい2ケタナンバーで運用され続けている。
神奈川県警二交機の顔ともいえるR33GT-R4ドアパトカー。現在では見ることすら珍しくなったオートカバーがフロントグリルに鎮座する。配備から25年を経た今も現役で、交通安全イベントなどで活躍する。400番台のコールサインは交通機動隊所属を意味する
管内には自動車専用道路なども有しているため、高速走行時に有利なバグガードという文字通り虫をはじめとする飛散物からフロントガラスのダメージを軽減する透明の板が備わっている。この装備は2000年代初頭に配備されていた170系クラウンや三菱ギャランVR-4などに装備されていたが、以後は外部突起物などの法改正に伴い装着されなくなった。
今なお第一線で活躍しているため、無線機もしっかり装備されている。車内もしっかり手入れが行き届いており、キレイな車内空間だ。乗車定員は4名となる
同車は普段、交通安全運動の啓発イベントなどで県内各地に展開している。他にも年始の恒例行事となる箱根駅伝でも規制状況確認等でルートを走行するなど、その勇姿を見たことのある方も多いのではないだろうか。
発売当時、R32と違って人気がないと言われていたR33だが、近年のブームで同車の人気が上がっており、プレミア価格が付いているものも。海外でも人気を博しているが、オーテック仕様の4ドア車はさらにレアで取引されているようだ。この4ドアGT-Rは埼玉県警に覆面仕様が2台存在した。
GT-RといえばかつてR32もパトカーとして国費で配備され、全国各地でその勇姿を見ることができた。国費仕様はフェンダーミラー仕様だったが、神奈川など一部は県費でも採用され、ドアミラー仕様が存在したことや、覆面パトカー仕様(パトカーを改造したとも言われている)も存在し、神奈川県警察はGT-Rパトカー天国とまで当時言われていた。現在では車種自体の価格が大幅に上昇したため、国や県の予算で買うことは難しくなったが、栃木県警のように寄贈という手もあるので、パトカーとして活躍してほしい車種があれば、寄贈してみてはいかがだろうか。
栃木県警にはR35GT-Rのパトカーが存在する。これは寄贈によって導入されたものだ
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みんなのコメント
レアな警察車両だと、それ以上になるかもな
マッドマックスのオープニングの時みたいに
次は俺の番だ俺の番だといいながら
小競り合いするんでしょうな