2023 AUTOBACS SUPER GT第7戦『AUTOPOLIS GT 450km RACE』の決勝レースが大分県のオートポリス(1周4,674m×97周)で10月15日(日)に行われた。昨シーズンまで300kmレースで行われれていたが今年は450kmレースに変更された。各チームの戦略に注目だ。
今までよりレース距離が伸びたことで、過去のデータもない上に、気温も路面温度もこれまで以上に低く未知数のレースであった。特に「ピックアップ」に影響されるのがこのサーキットで、いつも各チーム頭を悩ませている。
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戦略を立てる上でキーポイントとなるのが、「ピックアップ」と言われるタイヤカスだ。このサーキットを攻略するには、周を重ねるごとに路面に飛び散るタイヤカスがタイヤにこびり付き、それがなかなか取れないことでタイヤのグリップ力を失い、ペースが落ちるということを考慮しなければならない。クルマのパワーをフルに路面に伝えなければスピードが出ないためラップタイムに影響する。
GT500:路面温度が低い
GT500はポールポジションからスタートした#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺 / 大津弘樹)が2位の#19 WedsSport ADVAN GR Supraをいきなり引き離しに掛かる。この路面温度にマッチしないのか、ペースの上がらない#19 WedsSport ADVAN GR Supraを3番手スタートの#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraがパスして2位に躍り出る。その後、#19 WedsSport ADVAN GR Supraは続々とライバル勢に先行を許してしまう。
一方、今シーズン限りで引退を表明している#38 ZENT CERUMO GR Supraの立川は、いぶし銀の走りでライバル勢を次々に抜き去り見事2位まで浮上する。
19周目に入り、トップを快走していた#16ARTA MUGEN NSX-GT、更に#38 ZENT CERUMO GR Supra、#17 Astemo NSX-GTが最初のピットインを行なった。その後、続々と各チームピットインを行なったが、12番手スタートの#36 au TOM'S GR Supraはピットインのタイミングを延ばす作戦で、34周目に最初のピットイン。40周目には7位までにポジションを上げることに成功していた。
レースも約半分を過ぎた50周目には#38 ZENT CERUMO GR Supraが2度目のピットインをすると上位勢が続々とピットインを行うが、最初のピットインを延ばした#36 au TOM'S GR Supraは65周目にピットインを行い5番手でコースに復帰。
その後67周目には3位を走行していた#3 Niterra MOTUL Zが#38 ZENT CERUMO GR Supraをパスして2番手に浮上すると、トップの#16 ARTA MUGEN NSX-GTを追いかける。
4位だった#36 au TOM'S GR Supraも70周目に#38 ZENT CERUMO GR Supraをパスし3番手に浮上。その後のペースも良く、77周目には2番手の#3 Niterra MOTUL Zをパスする事に成功し、遂にトップの#16 ARTA MUGEN NSX-GTに迫る。
そして87周目の第2ヘアピンで#16 ARTA MUGEN NSX-GTのパスに成功しトップに躍り出た。そのままリードを広げながら見事11台抜きのパフォーマンスを披露しトップチェッカーを受けた。
最終戦を残し、この時点でのドライバーランキングは優勝を飾った#36 au TOM'S GR Supra坪井/宮田が69ポイントでランキングトップとなり、2位となった#16 ARTA MUGEN NSX-GT福住/大津組が53ポイントでランキング3位。3位となった#3Niterra MOTUL Z千代/高星組の62ポイントとなりランキング2位となった。これによって、11月にモビリティリゾートもてぎで開催される最終戦では、このレースで表彰台に立ったこの3組がGT500クラスのタイトルを争う事となった。
GT500ポイント圏内リザルト 1位 #36 au TOM'S GR Supra 坪井 翔 宮田 莉朋 2位 #16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺 / 大津 弘樹 3位 #3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正 / 高星 明誠 4位 #38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路 / 石浦 宏明 5位 #1MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴 / ベルトラン・バゲット 6位 #17 Astemo NSX-GT 塚越 広大 /松下 信治 7位 #37Deloitte TOM'S GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 笹原 右京 / ジュリアーノアレジ 8位 #14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也 山下 健太 9位 #100STANLEY NSX-GT 牧野 任祐 / 木村 偉織 10位 #23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生 ロニー・クインタレッリ
GT300:タイトル争いは2チームに絞られた
GT300は、ポールポジションからスタートの#2 muta Racing GR86 GTがペースが良くリードを広げていく。その後方で混戦だった2番手争いのNo.31 apr LC500h GTが5周目に早々ピットインをしてタイヤ交換を行うが、その2番手争いから抜け出す事に成功した#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTがトップを走っていた#2 muta Racing GR86 GTをオーバーテイク。
13周目にドライバーランキング2位の#18 UPGARAGE NSX GT3が後続車両との接触が原因でコースアウトするというアクシデントが発生。ポイント圏内から脱落してしまった。
その後、トップを快走する#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTは31周を終えて最初のピットイン。なんと、タイヤにきついこのサーキットで初回のピットインでタイヤ交換しないでピットアウトした。その後14周だけ走って2回目のピットイン。残り45周程を走り切る作戦をとった。
2回目のピットインを57周目に行なってタイヤが新鮮な#2 muta Racing GR86 GTの方がペースが速くトップとの差が徐々に詰まっていく。その後方では#31apr LC500h GT と#61SUBARU BRZ R&D SPORTの2台の3番手争いにも注目が集まってきた。
トップ争いは、#52埼玉トヨペットGB GR Supra GTと#2 muta Racing GR86 GTが激しいバトルを繰り返してファイナルラップまでもつれる。が、#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが後続を抑え切りチェッカーを受けた。2位との差はわずか0.612秒 #2muta Racing GR86 GTが2位となる。
3位は、#31 apr LC500h GTが後続の#61SUBARU BRZ R&D SPORTを抑え切った。これで#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTは第6戦SUGOに続き2連勝を飾る。優勝した吉田/川合組はドライバーランキングトップで2位に20ポイントもの差をつけて最終戦に臨むことになった。
2位となった#2 muta Racing GR86 GT堤/平良組はがライバーランキングで2位に浮上したことで、最終戦でのタイトル争いはこの上位2台に絞られる形となった。しかし#2muta Racing GR86 GT堤/平良組がチャンピオンになるには、予選トップと決勝の優勝が条件となる。
GT300ポイント圏内リザルト 1位 #52 埼玉トヨペット Green Brave 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰 / 野中 誠太 2位 #2 muta Racing GR86 GT 堤 優威 / 平良 響 / 加藤 寛規 3位 #31 apr LC500h GT 嵯峨 宏紀 / 小高 一斗 / 根本 悠生 4位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人 / 山内 英輝 5位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R NISSAN GT-R NISMO GT3 J.P.デ・オリベイラ / 名取 鉄平 6位 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝 片岡 龍也 7位 #88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史 / 元嶋 佑弥 8位 #7 Studie BMW M4 荒 聖治 / ブルーノ・スペングラー 9位 #11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎 / 石川 京侍 / 塩津 佑介 10位 #10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信 / 大草 りき
最終戦のSUPER GT第8戦は11/4-5に栃木県のモビリティーリゾートもてぎにて300kmレースとして開催される。誰も予想できない波乱が続くこのSUPER GT、各クラスのチャンピオンは果たして誰の手に!?
今シーズン早くも次が最終戦レース 是非とも生でこの壮絶なバトルを観に来て欲しい。
Photo/Text:Hisao Sakakibara
【筆者の紹介】Hisao sakakibaraモータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。
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