ガソリン価格の高騰が続いている。2023年8月末には、全国平均で1リットルあたり185.6円にもなり、1990年以降で最高値を更新。政府による補助金の縮小や原油価格が再び上昇傾向となったことなどが理由のようで、一時は「いよいよ1リットルあたり200円台に突入か」と思われたが、岸田総理大臣が補助金を段階的に拡充する方針を表明したことで、とりあえずは回避されるもようだ。
ただ、その拡充される補助金も「年内は継続」とされていることから、最悪年明けにも打ち切られる可能性があり、そうなるとまた「1リットルあたり200円」がみえてくる可能性がある。もうここまでガソリン代が上がってしまうと、多少車両購入費用が高くても、BEVのほうがトータルで得なのではないのか… ということで、BEVとガソリン車をコスト面で徹底比較してみた。
ガソリン代200円/L時代に突入間近…ここまで来たらBEVのほうが得…なのか?
文:吉川賢一
写真:NISSAN、Adobe Stock
補助金を加味しても、サクラはデイズより63万円以上高い
今回は、日産の軽BEV「サクラ」と、同社の軽自動車「デイズ」で比較しようと思う。できる限り近しい条件で比較するため、同一メーカーかつ、ボディサイズが近い2台を選んだ。
まずは車両価格だ。サクラは、ベースグレードのXが255万円、プロパイロットや純正ナビなどが付く上級グレードのGが304万円だ。デイズはというと、エントリーグレードのSが133万円、上級グレードのハイウェイスターGプロパイロットエディションが177万円(ターボ付き車は約8万円プラス、4WD車は約13万円プラス)。ここでは、サクラGと、それと近しいグレードのデイズハイウェイスターGターボプロパイロットエディション2WDを比較する。
純粋な車両金額の差は128万円。あと少しで、デイズのエントリーグレードがもう1台買えてしまうほどの差だ。ただし、今年2023年度でいえば、軽BEVのCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)が上限55万円ある。地方自治体によっては、さらに補助金がでることもあり、たとえば東京都では、10万円の上乗せ補助金が受けられる(2023年9月時点)。東京在住の方であれば、サクラとデイズの車両価格の差は63万円ということになる。
2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下COTY)大賞に選出されたサクラ/eKクロス EV。K CAR オブ・ザ・イヤー、RJCカー・オブ・ザ・イヤー、日本自動車殿堂カー・オブ・ザ・イヤーの大賞も受賞した
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初期費用と税金はサクラのほうが約4万円安いが、自宅充電設備に10万円ほどかかる
続いて税金含む初期費用を比較してみよう。購入時に課税される環境性能割は0円(非課税)、自動車重量税も0円(100%免税)となる。これがデイズの場合は、環境性能割(2%)が30,000円、自動車重量税9,900円。自賠責保険料(24,010円)や軽自動車税(種別割)0円(9月登録で考えた)、登録諸費用(5万円程度)は同様だが、リサイクル料金がサクラで7250円、デイズで6280円と多少異なる。
合計すると、購入時の初期費用・税金はサクラが約8万円、デイズで約12万円、ということになり、BEVのほうがやはり有利となる。ただし、サクラを購入し、自宅に充電器を設置する場合は、別途約10万円は必要となることは考慮する必要がある。
ハイト軽ワゴンのデイズ。エントリーグレードのSが税込133万円、上級グレードのハイウェイスターGプロパイロットエディションが177万円という、お手頃な軽自動車だ
エネルギー代は、自宅充電ならサクラはデイズの約半分のコスト
続いて、走行に必要なエネルギー代を考えてみよう。サクラのカタログ電費は124Wh/km、デイズの燃費は21.5km/L。電気代は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年7月に改訂した新電力料金目安単価である31円/kWh、ガソリン代は、2023年9月上旬時点の全国レギュラーガソリン平均金額180円/Lとして、年間1万キロ走行を前提に、1年間にかかるエネルギー費用を試算すると、サクラは38,440円(1ヵ月あたり3,203円)、デイズは83,720円(1ヵ月あたり6,977円)かかることになる。
・サクラの1万キロ走行あたりのエネルギー費用 124×10000×31/1000=38,440円 (Wh/km×km×円/kWh=円)
・デイズの1万キロ走行あたりのエネルギー費用 10000/21.5×180=83,720円 (km/(km/L)×円/L=円)
サクラの場合は、電気料金の安い夜間に充電を行うことで、電気代38,440円を半分近くにまで圧縮できる可能性はある。デイズの場合は、ガソリン単価の安いガソリンスタンドを探し出したとしても、せいぜい10円/L~20円/Lの差であり、自宅で充電できるならば、エネルギー費用に関しては、サクラのほうに大きくメリットがあるといえる。
急速充電を利用すると、BEVの維持費はぐっと高くなる
しかし、自宅に充電設備を設けられる人ばかりではない。自宅で充電できないとなると、公共の充電設備を利用することになるが、公共の急速充電器を利用するとなると、月会費4000円~5000円ほどを支払って、自動車メーカー等が発行する充電認証カードをもらう必要があり、月額費に加えて、充電量に応じた電気代を支払う必要がある。以前は、BEV普及推進の一環として、日産が月会費2000円で充電し放題というサービス(ZESP2カード)を提供していたが、現在は充電したぶんを支払うZESP3カードへと移行してしまった。
筆者も先日、BEVを借りてガソリンスタンドの急速充電器でビジター(非会員)として急速充電したのだが、20分間の急速充電で100kmぶん回復したが、料金は1000円もかかった。これはガソリン車よりもコスパが悪い(充電認証カードがあれば、この3分の1程度で済んだであろうが)。
急速充電のみによるBEV運用は、自身のBEV使用状況に適した、リーズナブルな充電認証カードを見つけられるかがポイント(PHOTO:Adobe Stock_ joel_420)
いまのレベルであれば、ガソリン車のほうが経済的
充電認証カードのサービスの内容はさまざまあり、急速充電のみによるBEV運用は、契約会社の選定が非常に重要なポイント。ただそれでも、月4000~5000円程の充電認証カードを契約せざるを得ないとなると、年間6万円ほどかかるわけで、上記で計算した年間1万キロ走行の場合のエネルギー費用では、月額費だけで、デイズに大きく迫るコストとなってしまう。
今回はサクラで計算したが、サクラの124Wh/km(数字小だと消費電力小なので良)に対し、リーフは155~161Wh/km、アリアB6は166Wh/km、テスラモデル3は127~149Wh/km、モデルYは140~150Wh/km、bZ4X/ソルテラは126~148Wh/km、VW ID.4は132~139Wh/kmといった具合に、クルマによって電費性能は大きく違う。アクセルを踏めばパワフルに走るBEVになるほど、電気はかかることになり、経済性はさらに落ちる。
結論としては、サクラのように電費のよいBEVで、かつ自宅で充電するのであれば、ガソリン車よりも(エネルギー代に関しては)経済的といえそうだが、電費の悪いBEVかつ急速充電に頼った運用をする場合には、(BEVへの補助金や税金面での優遇措置、ガソリン代がいまのレベルだとすると)ガソリン車のほうが経済的といえそうだ。
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みんなのコメント
これだけでもEV買う価値あります。