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小さなクルマが起こした奇跡 ホンダ・シビックの50年を振り返る 前編 誕生からディーゼル導入まで

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小さなクルマが起こした奇跡 ホンダ・シビックの50年を振り返る 前編 誕生からディーゼル導入まで

世界中の人々と歩んだ50年

ホンダ・シビックは、50年にわたり世界の道路を走り続けてきた。1972年のデビュー以来、世界中で2400万台が製造・販売されている。

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T型フォードやフォルクスワーゲン・ビートルなどの長寿車とは異なり、50年の間に多くの変化があった。現在のシビックは、半世紀前に登場したシビックとほとんど見分けがつかないほどだ。

米国では2021年に第10位、ピックアップやSUVを除けば第2位の販売台数を記録している。ホンダを真のグローバル企業に押し上げた功労者とも言えるだろう。

ここでは、日本、いや世界で最も有名で人気のある小さなクルマの物語を紹介しよう。

ホンダ1300の失敗

初代シビックのコンセプトは、その前身とも言えるホンダ1300を見ると理解しやすい。1969年に発売された1300は、創業者である本田宗一郎(1906~1991年)が空冷エンジンにこだわった、それまでで最大のホンダ車である。

個性的なモデルであるが、残念ながら1300の売れ行きは芳しくなかった。そこでホンダの技術者たちは、これまでとはまったく違うものが必要であることに気づいた。

シビックの誕生

技術者たちは、本田会長の承認を得て、1300とは全く異なるシビックを完成させた。新開発の1.2L直列4気筒水冷エンジンを搭載し、2ボックスのファストバックスタイルのボディ、前輪駆動、全輪独立懸架サスペンションなど、1972年当時の最新技術を駆使したモデルであった。

1300は日本と一部の地域でしか販売されていなかったが、経済的な小型車への需要が急速に高まったこともあり、シビックは欧州や北米など世界各地で発売され、すぐに人気を得た。1975年末には、世界販売台数が20万台を突破している。

改良

初代シビックは7年にわたる生産期間の間、何度か改良が施された。スタイリングに手が加えられたほか、セダンやバンなどボディタイプが追加され、エンジンも1.5Lに拡大。スポーツモデルの「RS」も登場している。

車名の「シビック(CIVIC)」は、「市民の」という意味を持つ。世界各地の人々のためのベーシックカーになるという、ホンダの願いが込められたネーミングだ。

2代目にモデルチェンジ

2代目シビックは1979年に登場。多くの点で初代に似ていたが、この10年間の自動車デザインの変化を反映して、より大きく、より角張ったスタイリングとなっている。

同時に、ホンダは3ボックスの4ドア・セダンを開発し、これは姉妹車の「バラード」として知られるようになった。英国では、よく似たモデルがトライアンフ・アクレイム(ホンダとの技術提携)として販売され、賛否両論を呼んだ。

3代目

2代目の発売からわずか4年後、ホンダは3代目シビックを発表した。先代とはまったく異なるデザインで、シャープなスタイルのハッチバックと落ち着いた雰囲気のセダンの2種類を展開した。

また、2つの派生モデルも登場している。バラードスポーツCRXは、シビックのメカニズムにスポーティなクーペボディを組み合わせたもの。シャトル(ワゴン、ワゴバンとも)は背の高い5ドアのワゴンで、前輪駆動と四輪駆動が用意された。

4代目(VTEC搭載)

1987年にデビューした4代目シビック。大型化し、足回りも改良され、セダンとハッチバック、CRX、シャトルが引き続き投入された。

4代目は、ホンダの可変バルブタイミング機構「VTEC」を採用した初めてのシビックでもある。同じエンジンでも、走らせ方によってパワーと経済性を両立させることができる優れものだ。

5代目

4年の歳月を経て、1991年に5代目が発表された。スタイリングは先代を引き継ぎつつ、エッジが削れて丸みを帯びた印象となり、エアロダイナミクスを重視していることがわかる。

ハッチバックとセダンに加え、タルガトップを持つスポーティーな「CRXデルソル」も生まれている。

6代目

6代目は、20世紀最後のシビックである。2ドア・クーペ、3ドアと5ドアのハッチバック、4ドア・セダン(写真)、さらにローバーから「エアロデッキ」と呼ばれるワゴン(以前はアコードに使われていた名称)が登場するなど、以前よりボディタイプのバリエーションが増えている。

また、この世代で新たに開発されたのがCVT(無段変速機)である。オーソドックスなMTとATも用意された。

初代タイプR

ホンダにおける「タイプR」の名称は、そのモデルの中で最もパワフルな仕様を指すものだ。1997年、シビックに初めて設定されたが、欧米では正規販売されていない。

エンジンは、すでに他のモデルに搭載されていた1.8Lを1.6Lに小排気量化したものである。しかし、VTECにより9000rpmという驚異的な回転数を実現し、180ps以上のパワーを発揮した。

7代目

21世紀最初のシビックは、先代よりも大型化し、それに伴って室内空間が拡大された。ボディタイプはセダン、クーペ、ハッチバックとなり、ワゴンは廃止されている。

この7代目でシビックの累計販売台数は1600万台に達した。その半数近くは北米での販売で、2004年には乗用車で第3位、自動車全体では第7位の人気車種となる。ホンダは当時、シビックが独立したブランドであれば、同地域で13位にランクインするだろうと自負していた。

2代目タイプR

初代タイプRは日本専用車だったが、2代目は世界に進出。生産も国内では行われていない。英国のスウィンドンにあるホンダ工場で生産された3ドアをベースとしていたため、日本では輸入車扱いとなった。

欧州仕様のタイプRは、約200psを発生する2.0L VTECエンジンを搭載していた。日本仕様はさらにパワーアップして215psとなり、ショートギアとリミテッド・スリップ・デフが採用された。

タイプSの登場

ホットハッチは好きだがタイプRは買えない、という人も7代目で「タイプS」を購入することができた。タイプRとは異なる5ドア・ハッチバックで、見た目こそおとなしいが、エンジンはかなりパンチが効いている。

エンジンは2.0Lで、159psという当時としては驚異的なパワーを発揮する。直線加速はそれなりに良かったが、ハンドリングには難ありとの指摘もあった。

初のハイブリッド導入

ホンダは1997年に発売したインサイトで、インテグレーテッド・モーター・アシスト(IMA)というエンジンと電気のハイブリッド・システムを導入した。2001年にはシビックにも採用され、シビック・ハイブリッド(またはIMA)が誕生した。

セダンのフェリオをベースに1.3Lエンジン(フィットでおなじみ)と電気モーターを組み合わせたIMAを搭載。公称燃費は素晴らしいものだったが、それはセンセーショナルなハイギアードによるところが大きい。

標準のシビックが当時の新車価格で150万円程度からだったのに対し、ハイブリッドは200万円強と、やや高価なモデルであった。

ディーゼル搭載モデルも

ホンダはディーゼルエンジンとの関わりを断っていたが、欧州ドライバーの要望で方針を転換せざるを得なくなった。2003年、シビック誕生から31年目にして、ついに初のディーゼルモデルが登場した。

当時、ホンダはディーゼルエンジンを開発中であったが、まだ完成には至っていなかった。代わりに、すでにオペルなどで実績のある1.7Lディーゼルエンジンを、シビックに載せることにしたのだ。これは、いすゞとゼネラルモーターズが共同開発し、ポーランドで製造していたユニットだ。

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みんなのコメント

9件
  • 現行車は大きすぎて、シビックじゃない。
    名前だけ残しても、イメージが違い過ぎてピンとこないな~
  • >現在のシビックは、半世紀前に登場したシビックとほとんど見分けがつかないほどだ。

    そっくり、うりふたつ、見紛う、違いがみえないっていう日本語なんですけどもねえ・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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