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マジメになった2代目【新型スズキ ハスラー試乗記】

掲載 更新 8
マジメになった2代目【新型スズキ ハスラー試乗記】

登場したとたん、「コレは売れる!」と、誰もが思い、実際に売れたクルマがスズキ「ハスラー」である。ワゴンとSUVを合体させた“軽のクロスオーバー”というコンセプトが時流に乗ったこともあるけれど、直接的には“ファニーな顔して使えるヤツ”だったのが、ヒットした大きな理由だろう。

クルマが持つ趣味性と実用度のバランスが絶妙で、そのうえ豊富なアクセサリー類がユーザーのワクワク度を増幅させた。ハスラーを中心に、アフターパーツの生態系がアッという間に形成されたのだ。2014年に販売開始されたハスラーは、いまや「ワゴンR」、「スペーシア」とならぶ、スズキ車スリートップの1台である。

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【主要諸元(HYBRID X 2WD)】全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1680mm、ホイールベース2460mm、車両重量820kg、乗車定員5名、エンジン657cc直列3気筒DOHC(49ps/6500rpm、58Nm/5000rpm)、トランスミッションCVT、駆動方式FWD、タイヤサイズ165/60R15、価格151万8000円(OP含まず)。そんな“遊べる軽!”がフルモデルチェンジを受けた。新型ハスラーは、スズキ自慢の軽量・高剛性プラットフォーム「HEARTECT」を採用し……と、聴くと、「アレ!? いままでは違ったんだっけ?」と、とまどう人も多いでしょう。それだけ(いまや旧型となった)ハスラーのスタイルが色褪せていないということだ。

2代目ハスラーは、ホイールベースが35mm延びてワゴンR/スペーシアと同寸の2460mmになり、車高は従来にくらべ15mm高い1680mmに。全長、全幅が決まっている軽自動車の規格値をさらに目一杯使うため、ボディサイドやリアゲートの形状が平面にならされて直立に近くなり、全体に直線基調のスクエアな2BOXスタイルになった。

フロントシートはウォークスルー機構付き。ニューハスラーは、後輪が後ろに移動した結果、後席が広くなった。その分、荷室の奥行きが減っている計算になるかもしれないが、ルーフエンドの位置を規制値ギリギリまで後ろにズラして、つまりテールゲートをより立てて容量を稼いだのにくわえ、後席を左右別々に大きくスライドさせてキャビンとラゲッジルームの広さを案配できるので、実質的なマイナスはないという。

それより、リアシートの背もたれ背面にスライド用ストラップを設けて、荷室側からシート位置を変更出来るようになったのが便利だ。汚れたり濡れたりしたモノを気兼ねなく載せられる、ラゲッジフロアと背もたれ背面に樹脂を使った“防汚仕様”は引き継がれた。

リアシートはスライド&リクライニング機構付き。助手席シートバック背面はテーブル付き。ラゲッジルームの開口幅は最大1095mm、座面長は最大1140mm。ラゲッジアンダーボックスは取り外し可能。使い勝手に優れたインテリアさっそく新しいハスラーのリアシートに座って1番うしろまでスライドさせてみると、笑っちゃうくらい広い。足元前方に空間が余るし、頭まわりにも余裕がある。

モデルチェンジを受けたハスラーは、リアドア後ろの太いCピラーに窓が設けられた「6ライト」になったのも新しくて、シートを最後部に移動させると、クオーターガラスが顔の横に来るのがうれしい。明るい。ひょいと手を伸ばせば荷室にもアクセスできるカジュアルな後席である。

ボディカラーを11色も用意したのが新型ハスラーの自慢で、ことに6パターンから選べる2トーン仕様は、ルーフとクオーターガラス・ピラーをわざわざおなじ色にした、凝ったペイントを採る。

2色使いは内装でも反復され、シートやドアの内張りにアクセントカラーが使われ、ダッシュボードにはおなじくアクセントカラーで縁取りされた大きなリングが3つ並ぶ。真ん中の輪のなかにある9インチHDディスプレイは、大きくて色鮮やかで、オーナーの人にとってわかりやすく嬉しいデバイスじゃないでしょうか。

フロントシートは全グレードヒーター機構付き。助手席座面下には取り外し可能なプラスチック製のバケツ付き。車内各部に小物入れなどが豊富に設けられているのは、スズキ車の常。バックレストを前後に大きく倒せる助手席の下には、伝統に従って(!?)バケツがおさめられている。

バケツを取り出すと、床にはコンパクトなリチウムイオンバッテリーが置かれている。2代目ハスラーは、ピュアガソリンモデルが廃され、全車がいわゆるマイルドハイブリッド仕様になった。減速時のエネルギーを一時的に電気として蓄え、加速時にアシスト用モーターに供給する……シンプルだけれど効果的なシステムだ。モーターの出力は、旧型の1.6kWから、NAモデルで1.9kW、ターボで2.3kWに引き上げられた。

気になるエンジン音搭載するエンジンは、658cc直列3気筒(最高出力49ps/最大トルク58Nm)と、657cc直列3気筒ターボ(最高出力64ps/98Nm)の2種類。前者は、スリーブ部を再設計して、従来にくらべさらなるロングストローク化を果たした力作。シリンダーごとに2本のインジェクターで燃料を吹いて筒内の混合気を均質化させ、また排ガスを冷却して再度燃焼に使うクールドEGRを採用、圧縮比を11.5から12.0にアップするなどして、エンジン単体での燃費効率を8%ほど向上させたという。

NA仕様のエンジンは657cc直列3気筒DOHC(49ps/6500rpm、58Nm/5000rpm)。NA(自然吸気)、ターボとも、MTはなくなった。どちらのエンジンにもCVTが組み合わされる。CVTはこれまた新開発で、軽量化を実現。従来備えていた高/低2段階の副変速機を捨てて、全体で約7kgも重量を削った。さすがは人気モデル。新型ハスラーは、パワートレイン一新である。

グレードは、上級版「ハイブリッドX」とベーシックな「ハイブリッドG」に大別され、それぞれNAとターボ、FWD(前輪駆動)と4WDをラインナップする。価格は、NAが128万0400円~169万6200円、ターボが145万9700円~179万0800円となる。ワゴンRとスペーシアの中間あたりの価格設定だ。

最小回転半径は4.6m。エネルギーフローはインフォテインメント用モニターにも表示される。2代目ハスラーは、環状骨格構造を採り、構造用接着剤で結合部周辺の隙間を埋めることでボディ剛性をアップ。面積が大きくなった天井からのノイズを抑えるため、特殊なシーリング材(高減衰マルチックシーラー)で構造材とルーフを密着させたり、フロアに一体型カーペットを敷いたりといった防音・吸音の配慮を施した。そんな予備知識を得てハイブリッドX(FF)のステアリングホイールを握ると、だがしかし、車内には思いのほかエンジン音が入ってくる。

新型は、HEARTECTプラットフォームの採用で土台は軽くなっているけれど、上屋の天地が増し、各種安全装備を充実させるなどしたため、旧型比で大人ひとり分ほど重くなっている。

NA仕様のWLTCモード燃費はFWDが25.0km/L、4WDが23.4km/L。360°カメラは純正ナビとセットオプション。燃費の悪化を最小限にするためか、スロットルペダルを踏むとCVTが早めに効率の良い回転数まで3気筒をまわすため、実際以上にエンジン音が耳につく。街なかを40km/h前後で走ると、ストップ&ゴーで加速するたびに、それほど余裕があるわけではないNAユニットの頑張りが実感される。

素人考えではあるが、マイルドハイブリッド用モーターの出力をターボ車並に増やしてやれば、発進・加速のエンジン回転上昇をもうすこし穏やかにできると思うが、どうだろう。

好印象なターボ普通車からのダウンサイジング派や、ハスラーをアクティブなギアとして存分に活用したい人にはターボ+4WDモデルがオススメだ。ハスラーの4WDシステムはビスカスカプリングを用いたパッシブタイプ。前輪が滑り始めると後輪にも駆動力を送るいわゆる“生活ヨンク”である。左右の差動制限は、スリップしたタイヤにブレーキをかけて、実現している。スズキではこれを「グリップコントロール」と呼び、スタック脱出用にわざわざ作動スイッチが設けられる。

ターボモデルのWLTCモード燃費はFWDが22.6km/L、4WDが20.8km/L。4WDモデルには雪国での走行時、エンジンのアウトプットを抑え、上記のグリップコントロールを併用し、穏やかに走る「スノーモード」が新設された。また急な下り坂を自動で車速をコントロールしながら下るヒルディセントコントロールも装備する。

こうした特殊な使い方をしなくとも、たとえば高速道路での巡航時、4WDはひそかに安定性を増してくれるから、サーフィンに、スキーに、ドライブデートにと、頻繁に遠出する人にヨンクのハスラーはいい。気になる燃費は、ターボモデルのFFが22.6km/リッター、4WDが20.8km/リッター(いずれもWLTCモード/NAモデルは25.0km/リッターと23.4km/リッター)になる。

「スノーモード」などのスウィッチはインパネのシフトレバー横にある。ハイブリッドXターボで走り始めると、パワーソースのトルクが太く、車重が60kg増しているのもあって、グッと落ち着いたドライブフィール。ちなみに、「165/60R15」のタイヤサイズはNAと同じであるが、4WDモデルはリアサスペンションが異なる。FFの半独立式(トーションビーム)ではなく、リジッドのI.T.L.こと3リンク式のままであるが、普通に舗装路を走るかぎり、乗り心地の面でネガは感じられない。Xターボの落ち着きは高速道路に乗ってもそのままで、直進性もいい。あらためてターボモデルに好印象を抱いた。

新型ハスラーは、メーター盤に4.2インチのカラー液晶を使用する。Xターボで100km/h巡航しながらエンジン回転数をチェックしたいが、液晶には大きな速度計が表示され、その右下の小さな窓にエンジン回転を示す縦グラフが控えめに上下する。じっくり注視するわけにいかないので、なかなか数字を読み取れない。そうこうするうちに小窓の表示はフロントカメラが読み取った速度標識に変わってしまった。

先進安全装備も拡充2代目ハスラーは、最廉価版を除き、デュアルカメラを使った安全支援のための「スズキ セーフティサポート」を装備する。衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、標識認識機能といった予防安全機能をセットにしたものである。

くわえて、ターボモデルには、車間距離を取りつつ前車に追従するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や車線を逸脱しそうになると運転者にステアリング操作を促す車線逸脱抑制機能も搭載された。長距離移動時にありがたい。

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)のスウィッチは、ステアリング・ホイールに備わる。インフォメーションディスプレイはカラー表示。試乗を終え、エンジニアにフロントシートがベンチ式からセパレートタイプになった理由をたずねると、「前席左右の間にモノを置きたいという要望が多かったからです」と、もっともな回答。質問者の冴えない表情を見て、「ベンチシートの方がよかったですか?」と、おっしゃるので、「ベンチシートの方がイチャイチャしやすいんじゃないですか?」と、言うと、「そうですね、イチャイチャはベンチシートの方がしやすいですね」と、真面目に応えられたので、お互い、笑ってしまった。

2匹目の大きなドジョウを狙った新型は、デザイン、使い勝手、基本性能、安全装備と、全方位に進化したモデルである。よくできている。ケチをつけるとすると、趣味性と実用度のバランスが大きく後者に傾いた点だろうか。ギアに徹したカッコよさはあるけれど、先代が持っていた愛嬌が失われた気がする。あの独特の脱力感が好きだったんだけどなぁ……という個人的な感傷はさておいて、いうまでもなくハスラーのオーナーはクルマそのものというより、クルマでやりにいくアクティビティで趣味を全開するのだから、これでいいのだろう。

2代目ハスラーのコンセプトは、「もっと遊べる!もっとワクワク!もっとアクティブな軽クロスオーバー」である。新型は、コンセプトをまじめに追求している。

文・青木ヨシユキ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

8件
  • これ「試乗記」じゃないよね

    「試乗記」の部分を取り出すと
    「NAはうるさい」だけ!

    こんなヤツに記事書かせるなよw
  • 見た目はゴツくなってジムニー
    中身は快適ワゴンR

    これを
    スタイリッシュととるか
    ハリボテととるかで
    この車の評価は180度変わりそう
     
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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