昔のクルマは楽しかった……なんてノスタルジーに浸っている場合ではない! クルマを走らせる愉しさ、人馬一体の魅力は時空を超えて脈々と受け継がれている(ハズ)。
本企画では、日本の「人馬一体」の代名詞たるマツダ ロードスターを全モデルお借りして、人馬一体の魅力と、なぜロードスターが四代にも渡り人馬一体の悦びを持ち続けているのかを考える!
「最高」対「最新」 新旧GT-RとNSX乗り比べ スポーツカーは何を得て何を失ったのか
※本稿は2021年7月のものです
文/鈴木直也 写真/ベストカー編集部 撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2021年8月10日号
【画像ギャラリー】全モデル揃い踏み!!! 初代から現行型までのロードスターをギャラリーでチェック!
■初代NA型から最新ND型への進化とは?
初代ロードスターがデビューした1989年は、のちに「日本車のヴィンテージイヤー」と称されるほど数多くの名車がデビューしている。おなじみR32GT-RやZ32、初代セルシオなど、それこそ枚挙にいとまがない。
そのなかで、オリジナルのコンセプトを忠実に守りながら現在まで生き残っているのは、たぶんロードスターだけ。そこがこのクルマの素晴らしいところであり、同時にまた不思議なところでもある。
4世代のロードスター揃い踏み。基本的にはNA型以来の正常進化で、現在の4代目ND型はまさにNA型への原点回帰を実感させられる
クルマに限らず商品全般にいえることだが、時代が変わればニーズが変わる。
どんなにヒットした商品でも世代を重ねるごとに変化してゆくのが当たり前。むしろ、それが正しい進化のあり方であり、ビジネスとして望ましい姿だ。
ロードスターも、NB→NCとモデルチェンジを重ねるたびに次世代モデルをどうするかというテーマで侃侃諤諤の議論を重ねたはずだが、最終的には「人馬一体」という最初のコンセプトを守りながらハード面をリファインするという結論に落ち着いている。
何故そうなったか、あるいは何故そんなことができたのかといえば、ロードスターが体現している「ライトウェイトスポーツ」というコンセプトに、時が流れても決して風化しないエヴァーグリーンな魅力があったから。ボクはそう思っている。
連綿と受け継がれるロードスターの系譜。今乗っても初代NA型ロードスターの軽快なフットワークはドライビングが楽しくなる。決して古くない!
第2次大戦後の英国で生まれた「ライトウェイトスポーツ」というカテゴリーは、量産車をベースとする庶民のスポーツカー。
軽量化と引き換えに屋根やドアなど快適装備を捨て去り、軽さを走りの武器にすることからその名がつけられた。
つまり、軽さを武器としたクルマとの一体感こそがライトウェイトスポーツの真髄で、パワーはむしろ「足りないことを楽しむ」くらいで充分。
それはスポーツという言葉本来の定義(自分の身体だけを使った運動)に限りなく近く、だからこそいつ乗っても楽しいし、いつまで経っても飽きないのだ。
ロードスターが変わらず持ち続ける人馬一体の愉しさ。その根底にあるのはライトウェイトスポーツの精神ではないかと鈴木直也氏は考えた
もちろん、マツダとて最初のNA型からこういったコンセプトが固まっていたわけではない(たぶん)。
初代NAの愛すべきキャラクターはほとんど偶然の産物だと思うし、NB型は当たり障りのない正常進化を行なった結果である。
また、3代目となるNC型はスポーツカーが陥りがちなパフォーマンス向上の誘惑に抗しきれず、最も重要な「ライトウェイト」というキャラを見失いかけたりもした。
しかし、それでもロードスターは「人馬一体」という基本理念を踏み外さなかった。
現行ND型の開発チームが、あえてエンジン排気量を下げ、軽量化に徹してロードスターの原点に戻るという決断ができたのは、四半世紀にわたる歴史で培った「ロードスターのユーザーは馬力ではなく軽さを求めている」という確信があったから。
このコンセプトを応援し続けたファンの後押しがあればこそ、ND型は今のカタチで世に出たのだ。
NAロードスターがデビューした1989年の時点では、ライトウェイトスポーツというジャンルは英国車の専売特許みたいなものだったが、いまやそれはロードスターのためにある言葉。
これこそマツダが30年かけて築き上げたスポーツカーの金字塔だ。
縦置き直列4気筒というエンジンレイアウトは共通。1.6L→1.8L→2Lと拡大し、最新のND型では1.5Lへとダウンサイズした
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みんなのコメント
マツダの第7世代商品群の大コケによる経営悪化と社会情勢の変化によりロードスターを続けられる状況ではないからね。
日本で2.0の幌結局出ないのか