国内外で衰えを知らないSUV人気。各社からさまざまなパワーユニットを搭載したモデルが発売され、日産からは発電用ターボを採用した新型エクストレイルが登場し人気を集めている。そこでここでは、力強い走りが魅力的なターボを搭載した国産SUVをご紹介! 果たしてベストな国産ターボSUVはどのモデルなのか ?
本文/松田秀士、写真/TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、SUBARU、ベストカー編集部
魅惑のガソリンターボSUV、果たして国産最高モデルはどれだ!?
■ターボ搭載国産SUVに注目! 新型エクストレイルは力強さが大幅にアップ
もう2月のことになってしまうのだが、マツダの米国部門は新型クロスオーバーSUVのCX-50の米国ベース価格を2万6800ドル(約365万円)に設定すると発表した。また、この2.5Lターボエンジン搭載車のスペックも公表。
搭載されるSKYACTIV-G 2.5Tは最大出力256hp、最大トルク44.3kgmを引き出すという。トランスミッションは6速ATを組み合わせ、ターボモデルにはパドルシフトが付く。
もうずいぶんと昔の話だが、フォードの試乗会で米国に行ったときF150(大型ピックアップトラック)のプレゼンテーションでプレゼンターが最後にF150に乗っていれば交通事故に遭っても死にません! と言ったのが印象的だった。「じゃあ相手のクルマはどうなの?」と突っ込みたくなるが、これが当時の米国でSUVへの人気の源だったのかなぁ!? と考えさせられるほど、単純な動機なのかもしれない。
米国で発生したSUV人気が世界へと飛び火したのだが、子供の学校が終わった後のスポーツなどいわゆるクラブ活動が盛んな西海岸などでは、送り迎えするママの安全をガードするにはSUVが最適解だったとも聞いたことがある。見るからにしてゴツイSUVなら襲われにくいとも。
新型エクストレイルは1.5LのVCターボe-POWER搭載で力強さがアップ。電気の力で4輪を総合制御するe-4ORCEによって走りのレベルを大幅に向上
さて、日本でも衰えを知らないSUV人気だが、逃げ足の速さではターボだろう。最近の話題はe-4ORCEとなった新型エクストレイルだが、こちらも発電機にVCターボを採用することでモーター出力を大幅にアップさせているのだ。現時点では走りのレベルではモーター駆動となったエクストレイルがSUVとしての走りを大幅に進化させている。
そのほかに目を向けると、まず筆頭に挙げたいのが新しくなったランクル300だ。いまオーダーをかけても手に入るのはいつになるのか? 今や幻のランクルともいうべきSUV大王、ランクル300だが、その完成度の高さではGRスポーツだろう。あえて18インチタイヤを履き、SUVっぽさを強調するエクステリア。オフロードも含めたオールマイティな走破性が魅力だ。
搭載するV6 3.3Lツインターボのクリーンディーゼルエンジンは309ps/700Nmを発生。GRスポーツはこのディーゼルエンジンのみの設定だが、オンロードでの乗り心地のよさはガソリンエンジンモデルを凌ぐ。
ところで、そのガソリンエンジンだがそのスペックが凄い! こちらは同じV6ツインターボで3.5L。415ps/650Nmと、400psオーバーのパワーを発生するがディーゼルに比べて振動感が少なくとてもスムーズで高級嗜好のエンジンだ。希望的にはこのガソリンモデルのGRスポーツがあってもよいと思う。
■CR-Vやエクリプスクロスのターボモデルも魅力的!
次にぜひとも注目してもらいたいのがホンダCR-Vだ。ホンダのSUVといえば基本モーター走行を行い高速域で効率のいいエンジン駆動を行うe:HEVが定番だが、実はガソリンモデルもラインナップされていて、CR-Vには直4 1.5Lターボ+CVTが搭載されていてそのパワーは190ps/240Nmだ。
突出したパワーがあるわけではないけれども、特に4WDモデルは御嶽山で行われた雪上試乗会で抜群なハンドリングに感心した。
また、車重を生かしたストロークのあるサスペンションのフィーリングがオン/オフロードを選ばずコーナリングもバランスがいい。同じようにヴェゼルにもガソリンエンジン+CVTモデルがラインナップされていて、その燃費のよさとハンドリングに感動するのだが、こちらはターボではないのでここでは省略する。
ひとつだけ暴露すると、ホンダはガソリンエンジンよりもe:HEVに力を入れているので、なかなかコンベンショナルなガソリンエンジンを表立ってアピールしていない。いいものを持っているのに残念である。ただし、CR-Vは現在も開発を重ねて進化させているので要注目である。
さて、こちらもどちらかというとPHEVモデルに注目が集まりがちだが、もともとガソリンターボモデルの人気が高いモデルが三菱のエクリプスクロスだ。そのエンジンは直4の1.5Lターボ+CVTで150ps/240Nm。CR-Vに比べたらアンダーパワーだが最大トルクは同じ。
そして三菱といえばその4WDの制御が高性能なS-AWCだ。ランサーエボリューション時代から鍛えられたON/OFFロードでの4WDハンドリング技術の結晶がエクリプスクロスにも引き継がれている。
■コンパクトモデルもチェック! 果たしてベスト国産ターボSUVは?
ところで、コンパクトSUVにも注目しよう。あるのだ、ターボモデルが。それがトヨタライズ。ハイブリッドモデルが新たに投入されたことでこちらが注目されがちだが、ガソリンターボは4WDのみの設定で直3の1Lターボ+CVTで98ps/140Nm。4WDはこのガソリンターボにのみ設定されている。
ラインナップ中最高トルクの140Nmを2400rpmから発生させるため、4WDでもストレスがない。3気筒ながら低回転域からスムーズにトルクを発生させるので、ON/OFFロードのどちらでも充分な機動力を発揮する。
車重が1040kgと劇的に軽量であることもハンドリングを含めた機動力のよさに繋がるものだ。夏は豪雨、冬は豪雪とここのところ異常気象に苛まれている日本だからライズターボのような最低地上高のあるコンパクトSUVは有要である。
2018年にデビューした現行型フォレスター。1.8L水平対向4気筒DOHC直噴ターボを搭載したスポーツは2020年10月のマイナーチェンジで追加(写真はマイチェン前モデル)
またガソリンターボSUVのなかでなくてはならない存在がフォレスターだ。フォレスターでもe-BOXERなるハイブリッドモデルが一押しとされているようだが、ここは水平対向4気筒1.8LターボのDITを搭載するSPORTに注目したい。
そのパワーは177ps/300Nm。300Nmの最大トルクは1600rpmという低回転域から発生する。トランスミッションはリニアトロニックと呼ばれるチェーン式のCVTだ。粘り強いエンジンということで4WDとの相性も抜群だ。
フォレスターの場合、何よりもエンジンが縦置きであることによる前後荷重配分のよさが魅力。さらに前後の左右ドライブシャフトが等長であることも大きい。フォレスターの魅力はもともとバランスに優れたレイアウトを持っていることだ。もちろんON/OFFロード全般でレベルの高い走りを見ることができる。
さて、結論。冒頭でもふれたが今筆者のなかでベストなターボSUVはエクストレイルだ。エンジンはガソリンターボだが駆動は行わず発電のみ。しかし、ターボ化による発電量のアップが4WDの後輪駆動モーターに余裕を与え、それがハンドリング全般にわたり、新しさを感じさせるのだ。
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