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AIにとって”ウィービング“はクレイジー! 鈴鹿初見参の自律運転車両A2RLがクラッシュした理由

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AIにとって”ウィービング“はクレイジー! 鈴鹿初見参の自律運転車両A2RLがクラッシュした理由

 スーパーフォーミュラの最終ラウンドが行なわれた鈴鹿サーキットでは、アブダビ発の自律運転レーシングシリーズ”A2RL”用車両のデモ走行が行なわれた。2日目の日曜日は、自律運転車両が元F1ドライバーのダニール・クビアトがドライブするマシンと共にコースイン。しかしヘアピンの立ち上がりでリヤのグリップを失ってしまいスピン……コース脇のガードレールにクラッシュしてしまった。

 この理由には、タイヤを温めるのが難しかったという背景がありそうだ。

【ギャラリー】人が……乗ってないだと!? スーパーフォーミュラを使った自律走行レース『A2RL』が鈴鹿でテスト

 自律運転マシンA2RLは、エンジン以外は基本的にスーパーフォーミュラ用マシンSF23のコンポーネントが使用されており、それをAIがコントロールする。今年の4月にはアブダビで初のレースが行なわれ、コース上を4台のマシンが同時に走った。

 それから6ヵ月。人間を乗せない、”無人“の車両が鈴鹿にやってきた。デモランのかなり前から鈴鹿入りしたA2RLは、入念にテスト走行を重ね、世界最高のコースをAIに学ばせていった。そして、1周2分を切るペースで走ることができるようにまでなったと伝えられている。鈴鹿で2分を切ると言えば、スーパーGTのGT300クラスと同等であり、これはまずまずのペースだと言えるだろう。

 スーパーフォーミュラ最終ラウンドの土曜日には、AIマシンが2台揃ってコースインし、大きなトラブルもなく周回を重ねた。無人のスーパーフォーミュラのマシンがコースを走り回る……その見慣れない光景は、サーキットに詰めかけた観客を驚かせた。

 2日目となる日曜日には、AIvs人間と題して、クビアトがドライブするマシンとの同時走行が行なわれた。しかしコースインほどなくしてスピンし、クラッシュ。ここで走行が打ち切られることになった。

 A2RLによれば、このスピンの原因は「リヤタイヤの内圧が低下」したことによるものだという。そして「スタート前にグリッド上長時間停車したことでタイヤの温度が予想以上に低くなったことが加わり、ヘアピンでマシンがスピンした」とも説明されている。

 今回のテスト走行を担当したTIIチームのテクニカルディレクターであるジョバンニ・パウ博士は、現時点でのAIマシンの技術は「まだ初期段階……生まれて、立ち上がって歩き始めた子供」のようなものと表現し、次のように続けた。

「マシンが走っている時に、レーシングラインのグリップを正確に判断するのは、これまでで最も難しい研究プログラムのひとつだ」

「急加速と急ブレーキで、タイヤとブレーキを温めることはできる。今はウィービングを再現できるシステムの開発に取り組んでいる」

 ウィービングとは、スタート前やアタックラップに入る前に、マシンを左右に蛇行するように走らせる動きのこと。これでタイヤに荷重をかけ、それを抜くことでタイヤのゴムを揉むように動かし、発熱させるのだ。タイヤには適切に作動する温度があり、その温度まで温めないと、しっかりと路面をとらえてくれない。

 レーシングドライバーは、この感覚、感触を掴むことができる。しかしAIにとってはこれは至難の技のようで、走行が終わった後のA2RLのマシンが履いているタイヤを見ると、グリップが足りずに路面を滑って削れてしまったように、接地面が荒れているのが見てとれた。

 走行前に行なわれた記者会見でも、パウ博士は次のように語っていた。

「ダニールならば、簡単にウィービングをすることができるでしょう。でも、AIにとってはそれはクレイジーなことなのです」

「AIは、学習することができます。これから時間とお金をかけて投資していけば、かなりいいところまでいけるんじゃないかと思っています」

「人間にだんだん近づいていくし、将来的には、いつか人間に勝つことができるのではないかと思っています」

 2022年の12月頃、A2RLのテストが始まった時には36km/hで走るのが精一杯だったという。しかし現在では、レーシングスピードにかなり近づいてきたとも言える。

 人間のドライビングを再現するまでには、まだまだ道のりは長い。しかし、確実にその差は縮まっている。人間vsAIの本気バトルが見られる日は、確実にやってくる。問題は、それがいつか……ということだ。

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みんなのコメント

2件
  • ili********
    いらねえ😤
  • たぬき
    テスラが一般道で自動運転やってる時代に
    安全なクローズドコースで車を速く走らせる?
    何のためにやってんのコレ?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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