M5を運転しながら、BMWのMと、メルセデス・ベンツのAMGはなぜ乗り味が違うのかを考えた。どちらも、圧倒的な動力性能と、思い通りに走れる喜び、そして絶大な安心を備えた素晴らしい高性能車だ。
結論は、BMWがこだわり続ける前後重量配分だろうということに至った。BMWは、後輪駆動であろうと前輪駆動であろうと、もちろんM5のような4輪駆動であっても、基本的に前後重量配分は50:50であることを求め開発されている。若干の差があっても、他車に比べ極力50:50となるよう設計された意図をうかがうことができる。
「X」がふたたび活性化しはじめた!──新型BMW X5が登場
しかし一般的には、後輪駆動もミドシップも、また当然ながら前輪駆動も、前輪側が重くなる傾向にある。クルマの重さは、発進の際の動き出しや、ハンドルを持つ手で感じられる。その点において、良し悪しの話ではなく、メルセデス・ベンツのAMGは重厚さが伝わり、その中に動力性能の高さを予感させる手ごたえがある。
一方、今回試乗したM5は、驚くほどがっしりとした車体剛性の高さを伝え、頑丈な車体に包み込まれているという安心のなかに、それでも走りの軽快さを先に感じさせるのである。BMWとメルセデス・ベンツでは好みのわかれるところであるが、この差がBMWらしさを実感させ、好みを分けさせる要因ではないだろうか。
そしてまたBMWは、航空機エンジンメーカーとして創業したことから、エンジンに強いこだわりがあると思われてきた。次世代動力の開発においても、同じ水素を燃料に使いながら、メルセデス・ベンツをはじめ他の主要自動車メーカーは燃料電池を考えたが、BMWが取り組んだのは水素エンジンだった。2001年のことである。
最上級の7シリーズ(E38)に搭載するV型12気筒エンジンに水素で走る改良を施し、環境対応に乗り出した。そして、「BMWクリーンエネルギーワールドツアー2001」と銘打ち、世界の道を走った。既存のエンジンを活用することにより市場導入を早め環境対応への適応力を優先した。
同時にまた、燃料電池を排除するのではなく補機用バッテリーに利用し、水素で、走行と電源を賄う実証実験をおこなった。特定の地域での実証実験ではなく、世界を走ることで、地球上のあらゆる環境における実用性の確認もできたはずだ。
そこから導き出された結論が、電気ということであったのだろう。V型12気筒エンジンをもってしても、その出力はガソリンを使う際の半分ほどでしかなかった。それでも大排気量エンジンであれば走行性能に不足は無かったが、あまりにも原価が高すぎた。
電動化へ移行した後も、BMWはその導入に慎重だった。今度はミニを使い、そこにアメリカのベンチャー企業が製造したEV機構を搭載し、再び世界を走ったのである。こうして満を持して量販されたのが、電気自動車(EV)のi3であり、プラグ・イン・ハイブリッドのi8である。リチウムイオンバッテリーを搭載することにより、走行距離は鉛バッテリーの時代より伸びたとはいえ、まだEVの一充電走行距離が約200kmであったことから、発電用エンジンを搭載するレンジエクステンダーもi3には設けた。
i3に試乗して改めて思ったのは、BMWらしい運転感覚のことであった。カーボンファイバーの車体を用いたことにより、重いバッテリーを搭載しながらも車両重量は1260kgでしかない。レンジエクステンダー車でも1.5トン以下である。そして前後重量配分は、発電用エンジンを搭載するレンジエクステンダーはやや後輪寄りだが、EVでは約47:53で50:50に近づけられている。
昨今では日産の「e-Pedal」などでもすっかり馴染みとなったアクセルペダルでの加減速を、当初からi3は採用している。そのワンペダルの操作は、習熟しないと滑らかな減速をしにくい様子があったが、数十分も運転すれば身に着けられる。ペダル踏み替えが無いことにより減速からカーブへ入っていく際の手応えに集中することができ、運転をより積極的に楽しむことができるようになる。なおかつ、前後重要配分の均等性により、動きの手応えは素早くかつ的確だ。
前後重量配分にこだわり続ける姿勢が、運転感覚が単に楽しいというだけでないBMWらしさを際立たせ、なおかつエンジンかモーターかといった論議さえ超越してしまうのである。そこに、BMWが唱える駆けぬける歓びの神髄があるのだ。
この先は電動化へ進むことは間違いない。電動化はコモディティ化(一般商品化)をもたらすと戦々恐々とする自動車メーカーもある。しかし、BMWの強い走りへのこだわりを見る限り、彼らはまったく心配していないだろう。明確な個性を与えているのだから。
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