自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。今回は1989年4-5号の「マツダ ファミリア」を振り返る。
◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇
中古車に付加価値を!? 日産セフィーロSSという名の「商品化中古車」とは【80年代の限定車・特別仕様車研究 旧車雑誌オールドタイマーより】
ASTINAとは“磨きをかける”というフランス語を語源とする造語だ。いままでの4ドアセダンや5ドアHBのイメージを超えたところに、独創的な新カテゴリーのクルマを確立する——まったく自由な発想から生まれた4ドア・スポーティクーペ、マツダの新しい野心作、それがアスティナだ。まずは、その鮮烈な姿態から見てもらおう!
■CD=0.31を誇る「4ドアクーペ」
“ハイクオリティ・コンパクトカー”を目指して開発された新型ファミリアは、3タイプのボディがそれぞれ個性を主張。なかでも、斬新なスタイリングを持つ5ドアの「アスティナ」は、とびっきりの個性派だ。
5ドア車というと、実用性や機能を優先するばかりにやぼったくなってしまいがちだが、アスティナは従来の5ドア車とは一線を画し、まさに「4ドアクーペ」と呼べるファッショナブルさを備えている。
全幅1675mm、全高1335mmのワイド&ロー・ボディは、CD=0.31の優れた空力性能を実現。リトラクタブルヘッドライトを持つ低いノーズや力強い太めのCピラー、カラードリヤスポイラーが、スポーティなイメージをさらに高めている。
もちろん、デザイン優先とはいっても、実用性も十分に考慮。ホイールベースの100mm延長、全幅の30mm拡大は、室内長、室内幅のアップという結果を生んでいる。
3ドアHB、セダンと差別化されたインテリアは、スポーティでファッショナブルなイメージ。RX-7を思わせるメータークラスターを持つインパネやドアトリムは、アスティナ専用のデザインで、シートは全車にバケットタイプが採用される。
エンジンは、B5型1カム16バルブ(91馬力/12.4kgm)、B5型DOHC16バルブ(110馬力/12.9kgm)の2つの新開発ユニットに、130馬力/14.0kgmにパワーアップしたB6型DOHC16バルブを加えた強力なラインアップ。ミッションは5速MTのほか、ホールドモード付き電子制御4速のEC-ATが設定される。
サスは伝統の4輪ストラット式。ロングホイールベースを感じさせないキビキビしたハンドリングを生むという、キャンバーコントロール機構(フロント)がアスティナのみに採用される。
若々しいファンな走りのイメージを外観からも感じさせる——3ドアHBだけのディメンションが生むショート&ワイドなボディは、とりわけリヤビューが印象的。ブリスターフェンダーから大きく絞り込まれたリヤエンド、そして太いCピラーへと続く面構成は、NEWファミリア3ドアHBだけが持つ魅力のポイントだ。
■ホイールベースは2450mm
「機動性」と「楽しさ」を追求した3ドアHBのフォルムは、やや重々しい印象の旧型とはうって変わって軽快なイメージが漂う。
大きなRで絞り込んだリヤエンド、短いリヤオーバーハング、台形のグリーンハウス、太めのCピラーからフロントに向かって伸びるキャラクターラインがとくに個性的で、若々しくスポーティな印象を受ける。
ホイールベースは、旧型プラス50mmの2450mm。セダンやアスティナ(+100mm)ほど延長されていないのは、操縦性の面でも軽快感を重視しているため。また、オーバーハングの縮小により車体の慣性モーメントの低減が図られているのは、WRC(世界ラリー選手権)に参戦し、勝利することまで考えた結果。4WDやDOHCターボなど、今後の展開も楽しみだ。
台形のメータークラスターを持つインパネは、セダンと共通のもの。下げられたボンネット高に合わせて、インパネは低く、そしてドアトリムとの連続感のあるデザインとなり、視覚的な開放感が高められている。
エンジンは、アスティナに搭載の3タイプに加え、新開発のB3型1300・1カム16バルブ(76馬力/10.3kgm)もラインアップ。全車16バルブという強力な布陣だ。
バリエーションは、多彩なユーザーニーズに合わせて性格づけを行なった基本4タイプ。1300&1500のクレールはファミリー向け装備充実モデル、1300のみのペパーは女性向けモデル、1500 OHC&DOHCのインタープレーはヤング向けスポーティモデル、1600DOHCのGTは130馬力のパワーを誇る最強モデルとして設定されている。
全車にパワステを標準採用するなど、機能や装備は各タイプとも充実している。とくにGTは、4輪ディスクブレーキ、60タイヤ&アルミホイール、パワーウインドーなどハイグレードな内容。ペパーに標準のパワースライドシートも注目装備だ。
ノッチバック4ドアセダンの正統を守りつつ、スポーティで居住性の高いフォルムを実現する——ハイテクよりも基本の確かさを熟成するNEWファミリアシリーズの、もっとも印象的なモデルが4ドアセダンだ。豪華さを増す一方のこのクラスのライバルたちに、ファミリア第3の個性がいよいよ本格的な戦いを挑むときがやってきた!
■居住性を重視した本格派セダン
ローノーズ・ハイデッキを基調とした端正なフォルムを持つセダンは、ライバルのカローラやサニーをしのぐ2500mmのロングホイールベースを生かし、豊かな居住性を実現。とくに後席は、旧型よりもグーンと広くなっている。
さらに、最新のメルセデスのようにショルダーをカットした形状のトランク部は、短めのリヤオーバーハングにもかかわらず、415L(VDA方式)の大容量を確保。トランクリッドもバンパー上端から開き、実用性は抜群。セダンの本流ともいえる機能性重視のパッケージングといえるだろう。
また、旧型よりもさらに強化されたボディ剛性も、新型ファミリアの大きな特徴。ねじり剛性約40%、曲げ剛性約80%という大幅な剛性アップを、車重の増加を抑えつつ達成している。なお、フラッシュサーフェス化されたボディは、0.33~0.35という優れたCD値をマークする。
エンジン・バリエーションは、1300&1500・1カム16バルブ、1500&1600DOHCに、セダン専用のPN型1700ディーゼル(58馬力/10.7kgm)を加えた計5タイプ。
3ドアHBと同様に性格分けされたグレードは、クレール(1300&1500&1700ディーゼル)、インタープレー(1500OHC&DOHC)、GT(1600DOHC)に加え、セダン独自のサプリーム(1500)を設定。
サプリームは豪華な装備が魅力のモデルで、パワーウインドー&ドアロック、パワースライド機構付きラグジュアリーシート、電動格納式ドアミラーなどの充実した内容を誇っている。
また、スポーティなGTとインタープレーは、3ドアHBと同様にエアダム一体型フロントバンパー、バケットタイプシートを採用し、内外装のスポーティ度をアップ。ホイールストロークの20mmアップなどにより基本性能を高めたサスも、走り重視のセッティングとなる。
〈まとめ=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
ロードスターと同じ1600だったな
サスは動きが良くてハンドリングも最高でした