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欧州の人気コンパクトカーにスポーツモデル登場──VW ポロ Rラインの実力を試す

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欧州の人気コンパクトカーにスポーツモデル登場──VW ポロ Rラインの実力を試す

2018年3月に日本に上陸した6代目の新型ポロに新グレードの「TSI R-Line(以下、Rライン)」が追加された。

Rラインとは、2002年に登場した「ゴルフR32」を皮切りにはじまったフォルクスワーゲンのスポーツシリーズのこと。「R」はRacingに由来するもので、フォルクスワーゲンは2010年にスポーツモデルを手掛ける「Volkswagen R GmbH」を設立し、WRC(世界ラリー選手権)をはじめレースの場で得た技術を市販車にフィードバックしてきた。モデル構成としては現行のゴルフRなどの究極の性能を求めた「R」と、そのエッセンスを散りばめた「Rライン」がある。

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新型ポロは発売開始からおよそ9カ月で、約1万台が販売されたという。兄貴分のゴルフに続くVWの人気モデルだ。これまでのグレード構成は、もっともスポーティな2リッター ターボエンジン+6速DSGのGTI、そして1リッター3気筒ターボエンジン+7速DSGを組み合わせたベースモデルのTSI(装備レベルによって、ハイライン、コンフォートライン、トレンドラインの3つの仕様がある)の大きく2つだった。

「TSI Rライン」はその間を埋めるモデルだ。注目なのは新開発の1.5リッター ターボエンジン「1.5 TSI Evo」だ。これはゴルフにはじまり、新型ポロにも採用する横置きエンジン用モジュラープラットフォーム「MQB」にあわせて、1リッター3気筒エンジンの進化版として開発されたもの。年内の発表が噂される8代目ゴルフなどへの展開も予想され、これまであった1.2リッターや1.4リッターに代わって、今後のVWの中核を担うエンジンだ。

「1.5 TSI Evo」はベースエンジンの95ps/175Nmに対して、150ps/250Nmと大幅なパワーアップを実現(ちなみにGTIは200ps/320Nm)。それでいながらも、エンジン負荷の低いシーンでは4気筒のうち半分の2気筒を止めて燃費向上を図るACT(アクティブシリンダーマネジメント)を搭載するなどしてJC08モード燃費はリッター17.8kmと、ベースエンジンのリッター19.1kmに迫る。

エクステリアは、Rライン専用の前後バンパーや黒のサイドスカートやリアスポイラー、17インチアルミホイールにツインエグゾーストパイプなど、いかにもスポーティなもの。インテリアはボディ色にオプションカラーの写真のリーフブルーもしくはエナジェネティックオレンジメタリックを選ぶと、ダッシュパッドとセンターコンソールがボディ同色に、シートにも同色のラインが配される。もしほかのボディ色を選ぶとグレーになる。シート表皮はファブリック素材で、適度なホールド感もあって座り心地がよい。

アクセルペダルにそっと足を載せて、転がりだしたその瞬間に感じる抵抗の少なさはゴルフにも共通するポロの美点だ。「1.5 TSI Evo」は250Nmの最大トルクをわずか1500回転で発揮するので力強く軽快に走る。乾式の7速DSGは、低速域でもギクシャクするようなこともなく、アクセルペダルに力を込めれば小気味よくシフトアップしていく。

Rラインを標榜するだけあって、乗り心地はベースモデルに比べるとスポーティな味付けだ。タイヤには17インチのコンチネンタル製スポーツコンタクトを装着していたが、それがより一層乗り味を引き締まったものにしている。専用のスポーツサスペンションを標準装備しており、ショックアブソーバーのダンピング特性をノーマルとスポーツの2段階に切り替えることが可能だったが、思いのほか特性の違いを感じることができなかった。

ただしボディ剛性は高いし、高速道路の目地段差を乗り越えた際のショックもビシっと収まるので減衰特性は悪くない。たとえコンパクトなクルマであっても高い速度域でこそ、本領を発揮するのはドイツ車の常だ。走行距離1170kmの、まだ慣らしもままならない新車だったので、あたりがつけばもう少ししなやかになるだろう。

さらに、その性能を試すシーンはなかったがGTI譲りの電子制御式ディファレンシャルロック“XDS”を標準装備しており、スポーツドライビング時にはさらにその真価を発揮することになるはずだ。

TSIハイライン+αの絶妙な価格設定

ADAS(先進運転支援システム)は装備の充実したTSIハイラインに準じたもので、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールなどを標準装備している。

高価なオプションといえば、コネクト機能を備えた純正ナビ(Discover Proパッケージ:22万6800円)だが、ナビはスマートフォンで代用すればいいと割り切れるなら、デジタルメータークラスターとスマートフォンの無線充電が可能なテクノロジーパッケージ(7万200円)と、安価に設定されたオプションカラー(3万2400円)を選ぶという手がいいかもしれない。

車両本体価格は、TSIハイラインが267万9000円、TSI Rラインが298万円。その差は約30万円となかなかに絶妙かつ悩ましい設定だ。

でも、やはりGTIほどの性能は必要ないけれど、自らステアリングを握って、ドライブする楽しみを享受したい人は、迷わずRラインを選べばいいと思う。ボクならそうする。

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