WRC世界ラリー選手権は8月14日、第8戦ベルギーの競技2日目を迎えた。デイ2のSS9~16が終了した時点では、前日首位に立ったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が総合トップの座を守っている。トヨタ・ヤリスWRCで最高峰WRCクラスに参戦している勝田貴元はSS10でクラッシュを喫し、マシンが大破。リタイアとなった。
初日に続きドライコンディションでの戦いとなった『イープル・ラリー・ベルギー』のデイ2は、サービスパークの南側で4本のステージを各2回走行するかたちで争われた。
トヨタチーム内で表彰台を巡る戦いが継続中。エバンスが僅差の3番手で最終日へ/WRC第8戦
母国ラウンドを迎えているヌービルは前日のSS4終了時点で総合首位に立つと、この日もスピードを維持してポジションをキープした。SS14とSS12、その再走ステージとなるSS16の3ステージでベストタイムをマークし、総合2番手との差を10.1秒に拡げている。
「僕たちはまたしても、コントロール可能でトラブルのない1日を過ごせた。満足でしかないよ」と語ったヌービル。
「パンクや他の問題を避けることができ、さらに何度かファステストタイムを記録した。安定した良いリズムで状況をコントロールし続けると決めていた。マシンのハンドリングは良かったし、母国でのイベントを楽しんだよ」
そのヌービルを追いかける2019年大会の覇者クレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)は、2日目のオープニングステージとなったSS9と、続くSS10でベストタイムを刻み、陣営のダブルエースの一角に対するギャップを3.5秒にまで詰めてプレッシャーをかける。しかし、午後はヌービルのペースに分があり徐々に引き離される展開となった。
ヒュンダイのもうひとりのエース、オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)は総合3番手で競技2日目を迎えたものの、SS9でパンクに見舞われ約3分のタイムロス。これによって総合6番手に順位を下げている。
前日に3番手争いを繰り広げたトヨタ勢では、オープニングのSS9でブリーンに次ぐ2番手タイムを記録したエバンスが、タナクのポジションダウンもあり総合3番手に浮上した。SS11でステージ優勝を飾ったこのウェールズ人ドライバーは、その後も安定したペースを発揮し1日の終わりには首位と42.4秒差の総合3番手を確保。陣営最上位につけた。
チームメイトのカッレ・ロバンペラと、ふたつのステージでベストタイムをマークした王者セバスチャン・オジエは4番手の座をかけて争い、SS15でチャンピオンが逆転するも、デイ2最後のステージとなったSS16で若き“フライング・フィン”が再逆転に成功している。両者の差はわずか1秒、エバンスとロバンペラのギャップは3.3秒だ。
■最終日の舞台はスパ・フランコルシャン・サーキット
レギュラーコドライバー、ダニエル・バリットの代役として起用されたキートン・ウイリアムズとのコンビで今大会に臨んだ勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、SS10の高速コーナーでクラッシュを喫した。彼のクルマは電柱を激突して横転、大破したものの、幸いクルーに怪我はなかった。この事故の影響で一度はステージキャンセルがアナウンスされたが、安全が確保できたことからその後、走行が再開されている。
このひとつ前のステージであるSS9では、ヒュンダイ・2Cコンペティションのピエール・ルイ・ルーベ(ヒュンダイi20クーペWRC)がコースを外れてスタック。脱出不可能に。こちらはデイリタイアとなっている。
前日のリタイアからラリーに復帰したガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)は、何度かの電気系トラブルに見舞われながらも完走を果たし、総合61番手となった。
最高峰クラスのマシンが相次いで姿を消す一方、上位にはラリー2カテゴリーを戦うドライバーが進出し、総合7番手にWRC3クラス首位のセバスチャン・ベドレー(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)が入った。また同2番手のヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が総合8番手につけている。
翌15日(日)に行われる競技最終日のデイ3は、早朝にイープルから約300km離れたスパ・フランコルシャン・サーキットに移動してラリーが行われる。ステージは伝統的なサーキットの一部と、その周辺の道路を組み合わせたものとなり、ふたつのステージを各2回走行。最終SS20“フランコルシャン”は、ステージトップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。4本のSSの合計距離は40.52km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は361.22kmだ。
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