日本で販売していない日本車メーカーの海外専売車ば数多いが、トヨタが欧州で販売しているプロエースシティというミドルクラスの商用バン、プロエースシティヴァーソという乗用ミニバンをご存じだろうか?
このプロエースシティは欧州トヨタとグループPSA(プジョーシトロエン)が共同開発したもので、トヨタ版はプロエースシティ、シトロエン版はベルランゴ、プジョー版はパートナー、そして2017年にグループPSA傘下に入ったオペルからもコンボという、4兄弟車がラインナップされている。
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そのうちの一つ、トヨタのプロエースシティの乗用ミニバン、ヴァーソを愛知県名古屋市に本拠を構えるオートリーゼンが2020年9月20日から欧州から並行輸入し、販売を開始したという。
兄弟車のシトロエンベルランゴといえば、2019年10月に先行特別仕様の予約が開始され5時間半で完売し話題となった。その後、レギュラーモデルが2020年8月26日から先行予約が開始され、10月1日に正式発売となった。
そのヒット車、シトロエンベルランゴのトヨタ版といえば期待は高まる。
そこで、プロエースシティ&ヴァーソとはどんなモデルなのか? いくらで買えるのか? モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。
文/岩尾信哉
写真/欧州トヨタ
【画像ギャラリー】ライバルよりどこが凄い? 欧州トヨタのプロエースシティヴァーソを写真で徹底チェック!
2019年4月に発表された新型車
右が商用バンのプロエースシティ、左が乗用ミニバンのプロエースシティヴァーソ
2019年4月に英国バーミンガム商用車ショーで発表され、2019年末からヨーロッパ市場で販売が開始されているトヨタのプロエースシティ。
このプロエースシティは欧州トヨタ(トヨタ・モーター・ヨーロッパ)とグループPSA(プジョー・シトロエン)が共同開発したミドルサイズの商用バン&乗用ミニバンだ。生産はグループPSAが手がけるため、グループPSAからOEM供給モデルということになる。
LCV(Light Commercial Vehicle:小型商用車)として、プジョーブランドではパートナー(乗用はリフター)、シトロエンではベルランゴ、同じグループのオペルでは、コンボと呼ばれ、グループPSAのスペイン・ビーゴ工場で生産されている。
大型商用バンの「プロエース」の弟分であるプロエースシティには、「ヴァーソ」と呼ばれる乗用ミニバン(ワゴン)仕様があり、いくつかの並行輸入業者がすでに取り扱いを開始している。
さっそく、プロエースシティはどんなクルマなのか解説していこう。
プロエースシティは、グループPSAが欧州市場のCカテゴリー(プジョーでは308、シトロエンではスペースツアラーなど)以上のモデル向けに採用しているEMP2(Efficient Modular Platform 2)プラットフォームを基本とし、プロエースとプロエースシティはプラットフォームを共有している。
ちなみに、どちらも2020年から2021年にかけて、欧州の一部地域でEVバージョン「プロエース(シティ)エレクトリック」の販売を開始する予定だ。
欧州生まれのミドルクラスミニバン
トヨタプロエースシティヴァーソ・ロングホイールベース
ヒットモデルとなったシトロエンベルランゴ
プジョーリフター。商用車版の車名はパートナー
2017年にグループPSA傘下に入ったオペルの乗用ミニバン、コンボライフ
ここからは、乗用のミニバンとして日本市場に並行輸入されて販売されているプロエースシティヴァーソに話を絞って進めていこう。
すでに日本市場ではグループPSAジャパンからプジョーはリフター、シトロエンはベルランゴとして2020年10月から販売され(カタログモデル)、将来的には2021年に日本に再上陸するオペル(英国ではヴォクスホール)ブランドのコンボライフとして、欧州の“3兄弟”として出揃うことになる予定。
エクステリアではフロントグリル部分やインストルメントパネルの仕立てなど、インテリアのデザインの細部に変更を加えて、ブランドごとに個性を主張しているが、ボディサイズなどはほぼ共通だ。
奇をてらうことなくトヨタ車らしくうまくまとまっているデザイン
プロエースシティヴァーソ・ロングホイールベースは全長4753×全幅1848×全高1812mm、ホイールベース2975mm
次にプロエースシティヴァーソのボディサイズについて確認しておくと、ショートホイールベース(SWB)とロングホイールベース(LWB)が設定されている。
ボディサイズはSWBが全長4753×全幅1848×全高1810mm。このL1と呼ばれるSWB仕様に比べ、L2とされるLWB仕様は、前者よりも350mm長く、ホイールベースが190mm伸びて、リアオーバーハングが160mm延ばされた、全長4753×全幅1848×全高1812mm。
ちなみに、同じトヨタブランドのミニバンであるノア(ヴォクシー、エスクァイア)、アルファード(ヴェルファイア)、日産NV200バネット、そしてシトロエン版のベルランゴとルノーカングーと比べると次のようになる。
日産NV200バネットは全長4430×全幅1695×全高1850mmとプロエースシティヴァーソ・ショートホイールベースよりも全長が26mm長く、全幅が153mm狭く、全高が50mm高い
プロエースシティヴァーソ・ショートホイールベースに比べ全長が123mm短く、全幅が18mm狭く、全高が10mm高いルノーカングー
■トヨタプロエースシティヴァーソ・ショートホイールベース
全長4403×全幅1848×全高1800mm、ホイールベース2785mm
■トヨタプロエースシティヴァーソ・ロングホイールベース
全長4753×全幅1848×全高1812mm、ホイールベース2975mm
■シトロエンベルランゴ(日本仕様)
全長4405×全幅1850×全高1850mm、ホイールベース2785mm
■ルノーカングー(日本仕様)
全長4280×全幅1830×全高1810mm、ホイールベース2700mm
■日産NV200バネット
全長4430×全幅1695×全高1850mm、ホイールベース2725mm
■トヨタノア
全長4695×全幅1695×全高1825mm、ホイールベース2850mm
■トヨタアルファード
全長4945×全幅1850×全高1950mm、ホイールベース3000mm
こうして見ると全長とホイールベースの数値は、ノア兄弟がプロエースのちょうどSWBとLWBの中間に位置しており、アルファードの5m弱の全長や3000mmのホイールベースなどとは差がある(プロエースのSWB/LWDの間に入る感覚が近い)。
このように、ミドルクラスミニバンというカテゴリーにプロエースシティヴァーソはピタリとはまる。
どうしても日本メーカーの商用バンベースのミニバンでは内外装のデザインなどがみすぼらしくなりがちだが、デザインに関しては共同開発モデルとしてフランス流の仕立てによって、プロエースシティはトヨタ車の無骨の印象はある程度抑えられている。
小排気量エンジンで効率よく走らせるという、いかにもヨーロッパ的なコンセプトは共感がもてる。
パワートレーンは1.2L、直3ターボと1.5L、直4ディーゼルターボ
パワートレーンは、ダウンサイジングされたガソリン仕様のエンジンが、“PureTech”と呼ばれるPSA製の1.2L、直3ターボに仕様の異なる2種類を設定。
ディーゼルも2種類設定され、1.5L、直4ターボにチューニングの違いの2種類が用意され、PSAモデルではおなじみの“BlueHDi”と同様のスペックとなる。
■プロエースシティヴァーソのパワートレーン
●1.2L、直3ガソリン:110ps/205Nm+6速MT、130ps/230Nm+8速AT
●1.5L、直4ターボディーゼル:102ps/250Nm+5速MT、130ps/300Nm+6速MT/8速AT
駆動方式はFWDのみで、トランスミッションはガソリン110ps仕様とディーゼル102ps仕様に5速MT、ディーゼル130ps仕様に6速MTを設定。
ATについては、ガソリン/ディーゼルの130ps仕様にPSA製の“EAT8”と呼ばれる8速AT(生産はアイシン・エー・ダブリューが担当)を与えている。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアはウィッシュボーン+トレーリングアームを組み合わせた3リンク式が採用する。
欧州トヨタは右ハンドル仕様も設定しているが、現状は左ハンドルのみを対応する仕向地に供給している。
プロエースシティの内装の設定を見ると、2列シートの5人乗り、3列シートの7人乗りの2種類の座席仕様が用意されている。
また、ほかの兄弟車と同じく両側スライドドアを設定。バックドアは商用バンとは異なり跳ね上げ式の開閉方式を採用。
荷物を取り出す際に便利なガラスハッチを採用するなど、使い勝手では日本車ミニバンに肩を並べるほどの配慮がなされている。
EUの規準に則った「トヨタセーフティセンス」を設定して安全装備も充実させるなど、トヨタ流の“おもてなし”にも抜かりはない。
8インチのタッチスクリーン式ディスプレイや最新世代の3Dコネクトナビゲーションシステム、ドライバーが運転中に視線を逸らさずにナビ、電話、メディア機能を制御する音声認識機能を備える
プロエースシティヴァーソ・ロングボディは3列7人乗りシート仕様。2列目シートはISOFIXアンカー付きで余裕の広さ
愛知県のオートリーゼンでは税抜き435万円で販売中
プロエースシティヴァーソ・ロングホイールベースのボディサイズは全長4753×全幅1848×全高1812mmとアルファードに比べ、全長が192mm短く、全幅が2mm狭く、全高が138mm低いサイズだから日本市場でも充分通用するのではないだろうか
さて、プロエースシティヴァーソの価格だが、並行輸入車は各販売店で売り出し価格が異なり、排ガスなどの予備検査や登録料などのいわゆる“諸経費”を車両本体価格とともに入れ込んで販売価格とする場合もあるので、注意する必要がある。
ちなみに、愛知県名古屋市にある並行輸入車を扱うオートリーゼンでは、販売価格は435万円(税抜き)。これに日本車ディーラーと同様に一般的な登録費用などの20数万円と、最終的に消費税が加わるので、510万円ほどの購入予算を考慮しておいたほうがよい。
愛知県名古屋市のオートリーゼンのホームページ
並行輸入業者の多くで取り扱い車種に関してドイツ仕様がメインとなっているのは、英国向けの右ハンドル仕様がEU離脱による関税などへの影響を配慮してか生産が遅れていることに加え、英国仕様がディーゼル+MTの仕様が主力であり、8速ATの設定がドイツ仕様に存在することが大きく、7人乗りの3列目シートの仕様などを考慮して、ドイツ仕様が選択されているようだ。
欧州生まれの商用版ベースのミニバン、特にフランス系メーカーの製品は独自の魅力を備えてきたことは過去から知られてきた。
いまのところ、このプロエースシティヴァーソをトヨタが正規に販売する可能性は限りなく低い。
利便性と趣味性に溢れたプロエースシティヴァーソのようなMPVがトヨタに存在することに興味を覚えるなら、並行輸入車販売店に一度問い合わせてみるのもいいかもしれない。
3列目シートを畳んだ状態でこれだけの高い積載性を誇るプロエースシティヴァーソのラゲッジルーム
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