■トヨタが5月から全店舗で全車種を取り扱い!
かつて国産自動車メーカーは、複数の販売チャネルを展開していました。しかし、販売店毎の特徴や車種の棲み分けなどが上手く行かなかった結果、2020年3月現在ではトヨタのみが複数の販売チャネルを展開しています。
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そんななか、トヨタも2020年5月から全店舗で全車種を取り扱うことになりましたが、ユーザー側にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
トヨタは、2018年11月、「未来のモビリティ社会に向け、日本の販売ネットワークを変革」というプランを公表。このなかには、これまで4つの販売チャネルでそれぞれ販売していた専売車を廃止し、全店舗で全車を扱い、将来的にはチャネルを統合させていくという内容がありました。
4つの販売チャネルとは、高級車と商用車を扱う「トヨタ店」、年配の人向けのセダンを中心としてきた「トヨペット店」、そして小さめの車両が中心の「カローラ店」、若者向けの車種を揃えた「ネッツ店」と、異なるユーザー層をターゲットにした展開です。
販売系列会社の統合について、トヨタ自動車広報部は次のように説明します。
「販売の体制を『チャンネル軸』から『地域軸』へと見直し、より地域に密着した販売店とすることです。例えば、お客さまの家の隣にトヨタの販売店があっても、今のチャンネル体制ではそこで希望する車種が買えるとは限らず、それでお客さまに不便をおかけすることもあると思います。それを解消できるのが、お客さまのメリットといえます」
トヨタの販売店であれば、どの店舗でも希望する車種が買えるという部分は、大きなメリットです。家から近い販売店を選べば購入時だけでなくメンテナンスのときも便利です。
※ ※ ※
また、トヨタの狙いはそれだけではありません。「クルマを所有しない」という社会に向けた変革でもあり、クルマを取り巻く環境は今後、所有するものから必要な時だけ使うものへと移り変わっていくと予測されているのです。
そんな社会変化への対応として、トヨタ自身が定額制サービス「KINTO(キント)」やカーシェアリング事業を進めています。
例えば、カーシェアリングであればクルマを受け取ったり返却する拠点は多ければ多いほど便利です。そのため、販売店が全車を取り扱えば、定額サービス利用者の乗り換えや返却窓口が増え、販売チャンネルの枠を取り去ることで選べる車種の選択肢も広がるなど、ユーザーのメリットにつながるというわけです。
前出のトヨタ自動車広報部は次のようにも説明しています。
「販売店の見直しで、より地域に密着し、地域社会をより豊かにすることを目指します。具体的には、モビリティサービスを提供する前提として、お客さまの求める商品やサービスをどの店舗でも提供できる体制を整えることが狙いです」
■販売チャネル廃止… ユーザーのメリット・デメリットは?
前述で2020年5月から全店舗で全車種を取り扱いするとしていますが、すでに東京地区の販売会社は2019年4月からチャネルを廃止し統一されています。
約1年経った現在では、ユーザーにとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
東京地区の販売会社は、以前まで「東京トヨタ」、「東京トヨペット」、「トヨタ東京カローラ」、「ネッツトヨタ東京」という形でしたが、現在ではトヨタモビリティ東京になっています。
トヨタモビリティ東京の営業担当者は、統合によるメリット・デメリットについて次のように説明します。
「東京地区において、チャネルが廃止されてから統合されて約1年経ち、お客さまからは認知されています。
そのなかで、各店舗のスタッフにチャネル統合によるメリット・デメリットを聞いたところ、ダントツで『全車種販売になった』ことを挙げていました。
店舗としては、これまで販売店毎で価格や条件面で競合していたほか、自分のチャネルに無い車種はほかのチャネルを紹介していました。
しかし、全車種の取り扱いが出来るようになったことで、お客さまにとっても複数の店舗に行かなくて済むため、時間や労力が掛からず、これまで付き合いがあった店舗から購入ができます。実際に、『同じ店舗で全車種買えるのは良いよね!』という声も頂いております。
また、チャネルが廃止されたことで店舗間の距離が近くなり、試乗車の貸し借りが便利になりました。
今まで旧チャネルの隣の店舗まで20分から30分かかっていたところ、融合しことにより、店舗間の距離が縮まったため、隣の店舗にお客さまと一緒に試乗しに行くことも気軽に提案ができるようになり、商談がよりスムーズになったことは、大きなメリットです」
※ ※ ※
店舗スタッフとユーザーの双方でメリットが多いようですが、統合によるデメリットはないのでしょうか。
前出の営業担当者は、次のように話します。
「お客さま側のデメリットとして、旧チャネルを跨いだ入庫ができないことが挙げられます。これは、旧来チャネル毎にお客さま情報を管理していたため、そのデータ統合ができていないことから、旧チャネルをまたいだ入庫ができないのです。
そのため、今までよりも自宅から近い店舗があるのにも関わらず、入庫店舗を変更したくても変更ができないといった事象があります。
具体例として、旧チャネルで加入したメンテンナスパックやオイルボトルキープを利用されているお客さまは旧チャネルの店舗にでしか作業ができないません。
さらに、トヨタモビリティ東京のメンテナンスパックやオイルボトルキープに加入したとしても、加入した旧チャネルの店舗にしか入庫・作業ができないという事象も出ています」
※ ※ ※
このように、これまで違うチャネルとして展開していたものを統合するには、さまざまなメリット・デメリットがあるようですが、ユーザーからするとメリットの方が大きいかもしれません。
またトヨタは、2020年代の半ばには現在販売している車種を半減させる方向で調整しているといいます。人気ミニバン「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」や「アルファード/ヴェルファイア」といった姉妹車が無くなる可能性もあり、今後の動向にも注目です。
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みんなのコメント
メーカーにとっても重複する兄弟車種を削減できる。
販売店にとっては、経営や販売エリアの重複などで統廃合が進みそうで、戦々恐々となっているのが本音だろう。
気になるのは、顧客データを統合できていない点。ユーザーを利便性の悪い遠方の店に行かすくらいの中途半端な統合ならやめればいい。サービスデータの共有までやって初めて統合と言えるんではないのかな?
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