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メルセデス・ベンツ電動化戦略の最先端! 注目の市販バージョン「EQS」は正統派と一線を画す!!

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メルセデス・ベンツ電動化戦略の最先端! 注目の市販バージョン「EQS」は正統派と一線を画す!!

 2020年4月15日(日本時間16日)、メルセデス・ベンツは、新型EV『EQS』を発表した。航続距離やバッテリー容量、グレードといった車両スペックは事前に公開されていたなか、モデル発表によって明らかとなったエクステリアからは、『EQS』の名に恥じないクオリティを感じさせる。

 本稿では、全貌が明らかとなった新型EV『EQS』の詳細を確認していくとともに、メルセデス・ベンツの今後の電動化戦略についても触れていく。

ハイブリッド車やアイドリングストップなど…じつはエコじゃなかった事実 4選

文/吉川賢一
写真/Mercedes-Benz

【画像ギャラリー】メルセデス・ベンツ、世界初公開の新型ラグジュアリーEV「EQS」を写真でチェック!!

■EQブランド初のラグジュアリーサルーン『EQS』

 「EQ」とは、電動車に特化したメルセデス・ベンツのサブブランドであり、今回の『EQS』は、CES 2020に登場していたコンセプトカー『VISION EQS』の市販バージョンに相当する。

 ボディサイズは、5216×1926×1512(全長×全幅×全高mm)、標準ボディのSクラスが、5180×1920×1505(※AMGラインは全長5210mm)なので、ほぼほぼ同じサイズのラージタイプセダンだ。

EV専用プラットフォームを初めて採用したモデルになるメルセデス・ベンツ『EQS』。同プラットフォームを使用したモデルは現行「Eクラス」に相当する『EQE』が開発されている

 メルセデスは、EQSを「EQブランド初のラグジュアリーサルーン」という言い方をしており、正統派メルセデス・ベンツの新型Sクラスと、共存させていく意向のようだ。

 EQSは、EV専用に開発された新プラットフォームを採用しており、電動パワートレーンや車体構造、パッケージングなど、従来のS、E、Cラインアップとは完全分離した設計が行われているという。

 「EQS 580 4MATIC +」のバッテリー容量は約107.8kWhで、最大770km(WLTP)の航続距離を達成しており、『EQC』のバッテリー容量80kWよりも30%近く増えている。最大200kWの急速充電にも対応し、最大300km(WLTP)の電力が15分ほどで充電できる。自宅や公共の充電ステーションでは、オンボード充電器を使用して最大22kWで充電が可能だ。

 欧州ではまず、出力245 kW(333ps/ 568Nm)の「EQS 450 +」と、出力385 kW(523s/ 855Nm)の「EQS 580 4MATIC +」の2グレードが設定される。トップスピードはどちらも210km/h。0-100km/h加速は、前者が6.2秒、後者が4.3秒だ。さらに、最大560kW(761ps)のパフォーマンスバージョンも計画されているとのことで、非常に楽しみだ。

 2WDのEQS 450+(後輪駆動)は、リアアクスルに「eATS」という電動パワートレーンが搭載される。4WDの「4MATIC」にはフロントアクスルにもeATSが装着される。前後に駆動用モーターユニットを積むこと自体は、昨今のEVでは珍しくはないが、メルセデスのeATSは一基分の出力がデカい。そのため4MATICでは、2WDの倍に近い、855Nmもの大トルクとなっている。

 サスペンションには、最大4.5度の転舵ができるリアアクスルステアリングを標準装備。オプションで、最大10度まで転舵できるようにもなるそうだ。これによって、全長5mを超えるEQSが、わずか10.9m(標準だと11.9m)という、コンパクトカー並の回転円を描くことができる。ちなみに、後輪車軸の角度と軌道は、中央ディスプレイの運転モードメニューに表示される。

 フロントからリアエンドまでを楕円で繋いだようなルーフラインと、ファストバックにも近いリアデザイン、キャビンがフロントに寄ったデザインからは、EQSがいかに空力学的に優れているかがわかる。実際、EQSのCd値(空気抵抗係数)は「0.20」。新型SクラスはCd 0.22、現行プリウスはCd 0.24なので、EQSの空力特性の凄さがよくわかるだろう。

驚異のCd値(空気抵抗係数)「0.20」を達成した『EQS』。この優れたエアロダイナミクスは環境性能の向上に大きく貢献している

 フロント部分は、その多くがブラックパネルで覆われている。そのブラックパネルの延長線上の左右にあるヘッドライトも、これまでのメルセデスとは異なる新デザインだ。中央にある大きなメルセデスロゴはこれまで通りだが、その周りを覆うように、細かいメルセデスロゴがちりばめられており、輝いているようにも見える。

 また、フロントサイドに空いているエアインレット(この辺りはC、E、Sでも見られた機能的デザイン)は、フロントタイヤまわりの空気の流れを整流し、エアカーテン効果が期待できるはずだ。

 滑らかな面で覆われたリアデザインからも、空気渦による抵抗が極力働かないように、工夫がなされている。アンダーディフューザーの縦フィンも確認ができる。左右連結タイプのテールランプも、存在感がありシャープな印象だ。

■メルセデスの電動化への本気がうかがえるデジタルのクオリティ

 クルマとしての性能、エクステリアデザインと、まさに「パーフェクト」なEQSであるが、インテリアこそが、EQSの「見せ場」かもしれない。前席の目の前に広がる「MBUXハイパースクリーン」は、ドライバー側のAピラーから助手席側のAピラーまでつながっているのだが、3つのスクリーンで構成されているもので、それをカバーガラスの下に納め、1つに繋がっているように見せている。

EQSにオプション設定される「MBUXハイパースクリーン」(MBUX:メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)。全面フラットな表示パネルで、タッチ操作での感触を振動でフィードバックする

 助手席用の12.3インチディスプレイは、助手席に乗った人向けのディスプレイとなる。テレビを見ることもできるが、ドライバーが助手席のディスプレイを見ていることを車載カメラが検出すると、自動的に暗くなるなどの対策がなされている。そうした仕様は、国ごとの法規制に従うことになっているそうだ。

 また、オプションで、フロントとリアにオートドアが装着できる。ドライバーがクルマに近づくと、まずドアハンドルがせり出し、さらに近づくと、運転席のドアが自動で開く。また、MBUX(音声認識)を使用すれば、ドライバーは運転席にいながら、後部ドアを開けることも可能だ。

 EQSは、製造段階でもCO2を削減した「カーボン・ニュートラルな方法で生産」されているそうだ。また、リサイクル糸を使用したカーペットなど、省資源化素材も採用している。さらには、2020年、アマゾンとメルセデス・ベンツ社が手を組み、ヨーロッパでアマゾンが使用する車両に、メルセデスの電気自動車バン「eVito」と「eSprinter」を納入することを合意した、というニュースも流れた。

 メルセデス・ベンツは、「2039年から全乗用車をカーボン・ニュートラルにする」という目標のもと、「アンビション2039」という将来戦略を立てている。まずは2030年までに、同社は販売する自動車の半分以上に電気駆動システムを搭載する計画だそうだ。ここでいう電気駆動とは、ピュアEVとプラグインハイブリッド車のみであるということだ。ハイブリッド車も含む日本とは違い、メルセデスは、本気で変えようとしている。

 筆者は電動化の流れを懐疑的にみているひとりだ。しかし、本当にこの言葉どおり実現できるのであれば、それはすごいことだと思う。EQA、EQBなどの後続するコンパクトEQシリーズを、売れ筋のAクラスやCクラスの代わりになる存在にまで引き上げることができるのか、今後に期待している。

【画像ギャラリー】メルセデス・ベンツ、世界初公開の新型ラグジュアリーEV「EQS」を写真でチェック!!

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