※【前編】はオリジナルサイトでご確認ください
ソウルレッド風もマシーングレー風も偶然
ソウルレッドにマシーングレー!? 1本300円のマツダ宣材用ボールペン誕生秘話を追う【前編】
マツダ広報部によると、マツダエースの担当者が宣材用にスラリ300を採用した理由は、言うまでもなく第一にボールペンとしての基本性能だ。
「昨今、宣材品は機能性を重視する傾向にあるらしく、書きやすい・機能性がいい(最後まで使い切れる)などの面から、このボールペンを採用したのとのことです」(マツダ広報部)
確かに、昔メーカーの発表会や試乗会などでもらったボールペンは、まだ新しいのにインクが出なくて書けなくなったり、逆にインクが出すぎてダマになったりするものが少なくなかった。言われてみれば、なるほど最近そういう体験はしていないかもしれない。
赤いボディカラーのスラリ300は、最初にマツダエースの宣材担当者がゼブラから薦められたものとか。ボール径は0.7mm。実物を見ると、何とマツダが新世代商品群の象徴としてイチオシ中のソウルレッドにそっくり! というわけで、赤いボディに「Be a driver.」の名入れを施したスラリ300が宣材用に採用された。ソウルレッドのように見える赤の塗装は特注色ではなく、もともとスラリ300にあったのだ。
2016年になると、匠塗の第2弾としてマシーングレープレミアムメタリックが登場。国内ではアクセラの大幅改良で初採用された。すると、メディア向け試乗会などで配布されるスラリ300にも、ほどなくマシーングレーをほうふつとさせるダークグレーが追加されたのだ。粋な計らいに筆者は思わずうなったが、じつはそこには種も仕掛けもなかった。
スラリ300のカラーラインアップには、このグレーも当初から設定されていたのだ。しかも、カラーバリエーションは0.7mmと0.5mmで異なっているが、ダークグレーは赤と同じ0.7mm。宣材担当者がマシーングレーの追加を前々から知っての仕込みだったら凄いが、どうやらたまたまらしい。書きやすさとソウルレッドそっくりの赤で最初にスラリ300の0.7mmを採用し、マシーングレーが出たらまたもそれによく似たダークグレーが0.7mmにあったという、つまり偶然が重なったのだ。マツダもゼブラも持ってる!
ゼブラ広報室によると、塗装色はスラリ専用に開発したものではないが、同社の従来製品に同じ色はなかったとのこと。また、クルマなどの塗装色はマツダ車に限らずカタカナでやたらと長い名前が多いが、スラリ300はズバリ「赤」、「ダークグレー」と直球勝負だ。
「名入れしたスラリ300のニーズは自動車業界以外のメーカーさんからも多いです。エマルジョンインクを採用しているのは弊社のみで、書き心地のよさからエマルジョンインクのファンの方が多くいらっしゃいます。新色追加の可能性はありますが、予定は現在のところありません」(ゼブラ広報室)
ゼブラのスラリ300が、マツダ匠塗第3段を示唆する!?
とはいえ、スラリ300の0.7mmにはまだ2つのボディカラーがある。「青」と「紫」だ。運命的とさえ言えそうなこれまでの縁を考えると、いずれ現れるかもしれない匠塗第3弾の色も、またこのうちのどちらかだったりして!?
ただし、「マツダのボールペン」に青いボディカラーが加わることはないだろう。というのも、スラリ300の「青」は配布するイベント数の違いでマツダほど浸透していないものの、じつはスバルが採用済みなのだ。スラリ300の「青」は、これまたスバルのイメージカラーであるWRブルーにピッタリ。そして、国内自動車メーカーの中でも独創的なクルマづくりでコアなファン層を持つこの両メーカーが、宣材用のボールペンにまったく同じ商品を選択したことも興味深い偶然なのである。
さて、残る1色は「紫」。近年はファッション系のトレンドカラーとしても注目度が高く、国内メーカーでもコンパクトカーを中心にパープル系のボディカラーを提案する車種が見られる。マツダも以前はデミオなどに採用したものの、現在はカラーラインアップから姿を消している。いつの日か登場するかもしれない匠塗の新色がパープル系だったら、ホントに凄すぎる! というかコワい!!
…と締めくくって原稿を送ったところ、編集担当カキザキからすぐにメールが来た。
「僕持ってますよ、スバルの紫のスラリ」
ガーン、それは筆者ノーマーク! ナゼ、ど~してスバルが紫なのだっ!?
というわけで、「マツダのボールペンの謎」が一件落着したのも束の間、今度は「スバルのボールペン問題」が浮上したのだった。(了?)
〈文=戸田治宏〉
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