■よく似たスズキの小型クロスオーバー、「クロスビー」と「イグニス」
「軽自動車メーカー」というイメージが強いスズキですが、近年では登録車のラインナップも強化しています。
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いま世界的に人気のボディタイプとなっているクロスオーバージャンルに属する車種も豊富で、「ジムニー」譲りの悪路走破性を実現した「ジムニーシエラ」や、3ナンバーサイズの「SX4 S-クロス」「エスクード」などさまざまです。
そんななか、スズキの小型クロスオーバーとしてボディサイズの近い車種が「クロスビー」と「イグニス」ですが、この2台の違いはなんでしょうか。
クロスビーは、2017年秋の東京モーターショーで参考出品車として発表され、同年12月に発売されました。スズキは、クロスビーについて「ワゴンとSUVを融合させた新ジャンルの小型クロスオーバーワゴン」であるとしています。
四角いボディと車高を高くとったことで、広く使い勝手の良い室内空間を実現したほか、丸いヘッドライトをはじめとした個性的なデザインによって愛嬌のある外観となっています。
ボディサイズは全長3760mm×全幅1670mm×全高1705mmとコンパクトで、見晴らしの良さと合わさって運転しやすい1台といえるでしょう。
一方、イグニスは2016年2月に発売されたクルマです。クロスビーが「ワゴンとSUVの融合」とされているのに対し、スズキはイグニスを「コンパクトカーとSUVを融合させた、新ジャンルのコンパクトクロスオーバー」であると説明しています。
また、2017年時点で日本、欧州、インドなど世界42の国と地域で販売されているグローバルモデルという位置づけです。
ボディサイズは全長3700mm×全幅1660mm×全高1595mmと、全高がクロスビーより低いこと以外は、ほぼ同等のボディサイズです。
そんな2台ですが、直近の販売実績ではクロスビーの方が好調となっています。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会のデータによると、2019年上半期(1月から6月まで)の登録車販売ランキングトップ50において、クロスビーは35位(1万3852台)を記録しています。一方、イグニスはランキングトップ50圏外です。
両車の販売台数にはなぜ違いが出ているのでしょうか。
■クロスビーとイグニス、違いは室内の広びろ感!?
クロスビーとイグニスの販売状況に差がある理由としては、室内の広さの違いが要因として挙げられます。
クロスビーは、ボディの空間効率が高く室内長2175mm×室内高1280mmとなっています。一方、イグニスは室内長2020mm×室内高1250mm。全長は60mmしか差が無いにも関わらず、室内長は155mmもクロスビーの方が広く、室内高にもやや余裕があります。
スズキの販売店スタッフも、「クロスビーとイグニスを比較すると、クロスビーの方が車内の広さが感じられやすいことから、イグニスよりクロスビーが人気となっています」とコメントします。
そして、このふたつの車種に限らず、近年の小型車市場では「室内の広いクルマ」がひとつのトレンドとなっています。
前出の2019年上半期登録車販売ランキングトップ50をみると、9位にコンパクトカーで室内長2180mm×室内高1355mmを実現しているトヨタ「ルーミー」がランクイン(4万5544台)しています。
ルーミーより販売上位のクルマは、いずれも近年流行りのハイブリッドシステム仕様をラインナップしていますが、そんななかガソリン仕様しか持たないルーミーがトップ10にランクインしていることは、かなり好調であるといってよいでしょう。
ボディが共通のトヨタ「タンク」は12位(3万7232台)、ルーミー/タンクのOEM元となるダイハツ「トール」は32位(1万5707台)です。
また、ルーミーのライバル車とされるスズキ「ソリオ」(室内長2515mm×室内高1360mm)もランキング18位(2万4771台)となっています。
コンパクトカーの人気モデルすべてが室内長・室内高の広いクルマという訳ではありませんが、一定数のユーザーが車内の広さを求めていることは明らかです。こういったトレンドがあることが、クロスビー人気を支えているといえるでしょう。
また、前出のスズキ販売店スタッフは、次のようにコメントします。
「クロスビーに搭載されるエンジンが1リッター直列3気筒直噴ターボ+マイルドハイブリッドシステムなのに対し、イグニスは1.2リッター直列4気筒+マイルドハイブリッドシステムを搭載しています。
ターボを搭載するクロスビーの方が加速感が良いことから、そういった点でもクロスビーが好評となっています」
※ ※ ※
近年のクロスオーバーモデルの人気は留まるところを知らず、それを受けてスズキも幅広いラインナップを揃えています。
しかし、モデルによって販売状況に差が出ていることを考慮すると、流行りのボディタイプならなんでもよいかというとそうではなく、設計や搭載される装備の違いによって、売れ行きに差が生じるといえるのでしょう。
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