3.0L V6エンジンを搭載したFRモデル、充実装備でクラウンセドグロに対抗!
ルックスと乗り味は和製ジャガー的!?
1991年5月、それまで君臨していたルーチェに代わり、マツダの新世代フラッグシップセダンとして登場したのがセンティアだ。直線基調のデザインだったルーチェに対して、三次元曲面が連続する有機的なスタイリングとされたセンティアは、新しい時代の幕開けを感じさせるのに十分なインパクトを持っていた。
それに遅れること5ヵ月、センティアの兄弟車としてアンフィニチャンネルからMS-9がデビュー。相違点はフロントグリルやホイールのデザインなどわずかなもので、基本的にはバッジ違いのモデルだ。いずれも、エンジンは3LV6のJE-ZE型(200ps/27.7kgm)と2.5LV6のJ5-DE型(160ps/21.5kgm)の2種類が用意された。
取材車両は、どちらもJE-ZE型を搭載する前期型の最上級グレード。センティアはエクスクルーシブ、MS-9は30タイプIVとなる。JE-ZE型はHCルーチェに搭載されたエンジンの改良版で、最高出力は変わらないが、最大トルクが向上。その発生回転数も4500rpmから3500rpmへと低められ、実用域における扱いやすさを高めた。
2台が目指したのは、クラウンやセドリック/グロリアなどに代表される日本の伝統的な高級セダンとは一線を画すコンセプト、デザイン、走りだ。その一方で、ほぼ時を前後して登場したシーマやレジェンドなどの“新興勢力”とも対峙しなければならなかった。思えば、国産フラッグシップセダンもなかなか熱い時代だったな、と。
そんなライバル達がひしめき合う中を生き抜くための、決意表明とも受け取れる文言がMS-9のカタログにある。いわく、『プレステージだけでは語り切れない新しい価値』。あたかもクラウンやセドリック/グロリアを挑発するかのようなフレーズが、当時のマツダの勢いを表しているようだ。
まずはMS-9 30タイプIV。販売期間はわずか2年と3ヵ月で、マツダの経営が大きく傾いた時期と重なるため、マイナーチェンジを待たずセンティアに統合されるという悲しい過去を持つ。
ボディ色でインフィニットブルーもしくはシルバーミストメタリックを選ぶと内装色はグレー。最上級グレードのエクスクルーシブはオーストリアのシュミットフェルドバッハ製本革シートが標準となる。前席は運転席4ウェイ、助手席2ウェイのパワーシート。ちなみに、センティアにはないMS-9専用ボディ色としてブラックフォレストマイカが用意されていた。
また、前輪に対して後輪が低速域では逆位相、中高速域では同位相に切れる車速感応型4WSを全グレードに搭載。後ろから下回りを覗くと、リヤサスメンバーには後輪操舵用のステアリングラックが確認できる。デュアルテールマフラーはサイレンサー内にバルブが設けられ、低速時は1本、高速時は2本で排気を行なうように自動制御。静粛性と排気効率を両立する。
続いて、センティアエクスクルーシブ。カタログのトップを飾るまさにその仕様で、20数年の時を超えてタイムスリップしてきたかのような抜群の程度を誇る。
ボディ色は、デビュー当時のイメージカラーであったボルドーマイカ。内装色はベージュ系のトープとなる。カタログを開けば、この組み合わせを延々と見ることができるが、実車ではかなり珍しかったりする。ステアリングホイールとATセレクターレバーはもちろん、アシストグリップまで本革巻き。センターコンソールパネルには本杢があしらわれている。
さらに、この個体には今や激レアアイテムとなった純正オプションやアクセサリーが満載。例えば、ハーフシートカバーとの同時装着も可能な折り畳み式シートバックテーブル。当時のカタログを見ると取り付け工賃込み4万4300円のアクセサリーだ。
また、ソーラーベンチレーションシステム(太陽電池内蔵チルトアップ付き電動スライドガラスサンルーフ)とハンズフリーテレフォンシステムは、エクスクルーシブだけに用意されたセットオプションだったりする。
右Cピラー部のパーソナルランプ(1万5500円)や、スピーカーボード中央のビルトイン式カーエアクリーン(三菱製空気清浄器トープ/5万円)も純正アクセサリー。
外装では、ステンレスの輝きが高級感を一層高めるフロントエアダムスカート(2万2300円)、サイドシルモール(2万4500円)、ホイールアーチモール(1万5300円)、ルーフバイザー(1万3700円)なども、もれなく装着される。
さて、試乗だ。まずエンジンは排気量3.0Lだが、想像よりも低中速トルクが細い印象。もちろん、回せばパワーは出てくるが、フラッグシップセダンのパワーユニットとしては相性が今ひとつのような気がする。
当たりが柔らかくコンフォートな足回りは、そのセッティングが絶妙。道路の継ぎ目や起伏などを越えた時、ピッチ方向の動きは割と大きめに出るが、ロール方向の動きはしっかり規制されている。記憶を辿ってこれまで試乗したことがあるクルマに当てはめるなら、実はその最終型が時期的にセンティア/MS-9と微妙にオーバーラップしているジャガーXJ12(シリーズIII)に近い乗り味だと思う。
ここにもうひとつ付け加えるなら、前後オーバーハングの感じとか尻下がりのトランクリッドとか、センティア/MS-9が醸し出す雰囲気はジャガーに似ている…というのは言いすぎだろうか!?
それと、評判があまりよろしくない4WSだが 、印象は決して悪くはなかった。リヤの独特な動きに慣れるまで腰やお尻にムズムズ感が残るが、全長5mに迫るクルマとしては恐ろしく小回りが利くし、高速道路でのレーンチェンジでは抜群の安定感を見せてくれたからだ。
■MS-9 30 TYPEIV
車両型式:HDES
全長×全幅×全高:4925×1795×1380mm
ホイールベース:2850mm
トレッド(F/R):1510/1525mm
車両重量:1640kg
エンジン型式:JE-ZE
エンジン形式:V6DOHC
ボア×ストローク:φ90.0×77.4mm
排気量:2954cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:200ps/6000rpm
最大トルク:27.7kgm/3500rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRマルチリンク
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR205/65R15
■SENTIA EXCLUSIVE
車両型式:HDES
全長×全幅×全高:4925×1795×1380mm
ホイールベース:2850mm
トレッド(F/R):1510/1525mm
車両重量:1640kg
エンジン型式:JE-ZE
エンジン形式:V6DOHC
ボア×ストローク:φ90.0×77.4mm
排気量:2954cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:200ps/6000rpm
最大トルク:27.7kgm/3500rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRマルチリンク
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR205/65R15
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
ユーノス500とかファミリアもいい
二代目はルーチェの化石みたいな酷いデザインだった。
痛々しくて見てられなかった。