5月16日、MotoGP第5戦フランスGPの決勝レースがル・マン-ブガッティ・サーキットで行われ、MotoGPクラスはジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が2連勝を飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は一時3番手を走行する健闘を見せて7位フィニッシュ。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は2度の転倒を喫してリタイアでレースを終えた。
午前中には雨が降っていたル・マン-ブガッティ・サーキットだったが、MotoGPクラスの決勝レースが始まる現地時間14時ごろになると路面もドライになり、気温17度、路面温度29度と、この週末では最も温かくなった。
【順位結果】2021MotoGP第5戦フランスGP Moto2決勝
好スタートを切ったのはジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)で、ホールショットを奪うと先頭でオープニングラップを終える。その後方にはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が続く状況。
さらに7番グリッドスタートの中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)も好スタートを切って4番手に浮上。その後マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)に交わされたものの、ポル・エスパルガロは挙動を乱してポジションダウン。さらにはマルク・マルケスをパスし、4番手を奪還した。
2周目、ビニャーレスが早くもミラーをとらえてトップに浮上。ミラー、クアルタラロがワンパックになってトップ集団を形成する。
4周目、ミラーとクアルタラロが争う間にクアルタラロがふたりを交わしてトップに立つ。このとき、雨が落ちてきたことを知らせるレッドクロスのフラッグが提示。続いてマシン乗り換えを許可するホワイトフラッグが提示された。全ライダーはスリックタイヤでスタートしている。これ以上路面が濡れれば、ピットインし、レインタイヤを装着したスペアマシンに乗り替えることができるのだ。
こうした状況のなか、ビニャーレスは5番手に後退。クアルタラロがトップ、ミラーが2番手、リンスが3番手、4番手がマルク・マルケスという状況。しかし、ミラーは5周目にラインを大幅に外して後退。
6周目、雨脚が強まっていき、多くのライダーがマシン乗り換えのためにピットイン。この間にジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)、さらにはリンスも転倒を喫した。ミルはリタイアとなったが、リンスはピットに戻ってレインタイヤを履くスペアマシンに乗り換え、再び戦線に復帰している。
ドライコンディションでスタートした路面は、すっかりウエットコンディションに変化した。マシンの乗り換えを終え、トップはマルク・マルケス、2番手にはクアルタラロ。そしてミラーが3番手につける。しかし、ミラーとフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、ピットレーンのスピード超過でダブル・ロングラップ・ペナルティが科されている。
4番手には中上がつけ、3番手のミラーと4番手の中上との差は13秒以上という状況。8周目、トップを走っていたマルク・マルケスが12コーナーでハイサイドを起こして転倒。マルク・マルケスはマシンを起こすと、レースに復帰。しかし、大きくポジションを落とした。
9周目、10周目と2回のロングラップ・ペナルティを消化したミラーは、しかし3番手の中上との差が10秒以上あったために2番手をキープ。一方、3番手の中上はなかなかペースが上がらない。後方の4番手には、ヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)が2秒差で迫っていた。
レースが中盤に入った12周目、ミラーがクアルタラロを交わす。クアルタラロはこの周に、科されていたロングラップ・ペナルティを消化してミラーとの差が4秒以上に広がった。一方、3番手の中上とザルコとの差は、14周目には1秒を切るほどになる。ラップタイムもザルコの方がコンスタントに速い。その差はあっという間に縮まっていった。
そして15周目、ついにザルコが中上に交わされる。ザルコが3番手に浮上し、中上は4番手に後退した。中上はペースに苦戦し、さらに5番手のアレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)も中上の背後に迫る。
レースが終盤に近づくにつれ、天候は回復していった。18周目、マルク・マルケスが6コーナーでこの日2度目の転倒。マルク・マルケスはそのままリタイアとなった。
残り周回数は10周を切り、トップはミラー。2番手はクアルタラロ、3番手はザルコ。それぞれほぼ単独での走行である。しかし、2番手のクアルタラロに対し、3番手のザルコはラップタイムが1秒ほど速い状況で、毎周その差を詰めていった。
残り7周、クアルタラロとザルコとの差は1秒を切った。クアルタラロのラップライムは上がらず、その差は歴然。ザルコは残り6周目に差し掛かるメインストレートでクアルタラロを難なく交わし、2番手に浮上。クアルタラロは3番手に後退した。
このころになると路面はかなりドライコンディションに近い状況。トップ3が単独走行でポジションをキープするなか、4番手はアレックス・マルケスとフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、ダニロ・ペトルッチ(テック3・KTM・ファクトリーレーシング)によって三つどもえの争いが展開される。
バニャイアはこの集団の先頭を走っていたアレックス・マルケスをメインストレートで交わし、4番手に浮上。ミラー同様にピットレーンのスピード超過によりダブル・ロングラップ・ペナルティを受けたバニャイアだったが、見事な追い上げでポジションを上げた。
天候により大荒れの展開となったフランスGPのチェッカーを先頭で受けたのは、ミラー。ミラーはクアルタラロを交わしたあと独走体勢を築いて、2連勝を挙げた。
2位はザルコで、今季3度目の2位表彰台を獲得。3位はスペインGP後に腕上がりの手術を受けたクアルタラロ。ザルコ、クアルタラロというふたりのフランス人ライダーが母国グランプリで表彰台に立っている。
4位はバニャイア、5位はペトルッチで6位がアレックス・マルケスだった。中上は一時表彰台圏内の3番手を走行したが、マシンを乗り替えたあとにペースが上がらず、最終的に7位でレースを終えた。
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