大絶賛の後で生じた疑念
2023年11月から国内発売が始まったBMW Motorrad「R 1300 GS」は、これまでのフラットツインGSシリーズとは次元が異なる、劇的な進化を果たしています。実際にそれを体験し、大絶賛のインプレを記して数日後、私(筆者:中村友彦)の中では自分への疑念が生じていました。少し前までは先代の「R 1250 GS」を、いろいろな媒体で大排気量アドベンチャーツアラー界の王様と称していたのに、いくら何でも手のひら返しが早過ぎないか……と。
【画像】あらためてBMW Motorrad「R 1250 GS」(2023年型)を画像で見る(17枚)
ちなみに、2輪、4輪の世界で昔から言われている「最新=最良」という考え方を(原点はおそらくポルシェ)、私は必ずしも正しいとは思っていません。
例えば、ホンダ「CB1100」が2017年型で大幅刷新を図ったときは、本来の軽快さとスポーティさが薄れたことに違和感を覚えましたし、2009年に第2世代のヤマハ「V-MAX」を試乗したときは、やっぱり現代の思想で開発を行なうと、1980年代生まれの初代が備えていた味わいや絶妙なバランスは再現できないのだな……という気分になりました。
そんな私は、新型「R 1300 GS」が劇的な進化を果たしたことを認識しつつも、旧型(先代モデル)には旧型ならではの魅力があるんじゃないか? と感じたのです。
それを探るべく、あらためて2023年型の「R 1250 GS」を借用し、いろいろな場面で乗り込んでみることにしました。
第2・3・4世代の集大成?
近年の2輪の世界で、アドベンチャーツアラーの先駆車にしてリーダー的存在となっているフラットツイン「GS」シリーズは、1980年から展開が始まった第1世代、1994年以降の第2世代、2004年以降の第3世代、2013年以降の第4世代、そして「R 1300 GS」が先陣を切った第5世代に大別できます。
今回試乗する「R 1250 GS」は第4世代の後期型で、2019年のデビュー時には、エンジンの回転数に応じて2種類のカムシャフトを使い分ける革新的な機構、シフトカムが大きな話題になりました。
では、最新型を比較対象とした場合、先代モデルの分かりやすい特徴は何かと言うと、2004年型を起点として熟成を続けて来た鋼管トレリスフレーム、シリンダーヘッド周囲を水冷化しながらも、シリンダーに冷却用のフィンが刻まれている空水冷エンジン、ボリューム感のある外装やマフラーなどでしょうか(新型のフレームは鈑金シェル構造で、フィンを廃したエンジンは完全に水冷化、外装やマフラーはかなりコンパクト)。
もちろん、他にも相違点は山ほどあって、新旧の共通部品は全体の10%に満たないようです。
その事実を踏まえたうえで、フラットツイン「GS」シリーズの歴史を振り返ると、「R 1250 GS」は第4世代どころか第3世代、さらに拡大解釈をするなら第2世代以降の集大成だったように思えてきます(念のために記しておくと、第1世代と第2世代以降は完全な別物)。
なお、価格(消費税10%込み)では2023年型「R 1250 GS」のスタンダードが243万6000円だったのに対して、「R 1300 GS」の同グレードは284万3000円/286万3000円です。ただし新型の価格が約40万円も上昇した背景には、日本仕様の装備の充実化を図ったという事情があって、海外仕様のスタンダードにそこまで大きな差はないようです。
王様のオーラと「漢気」
「そうそう。フラットツインGSって、こうだったんだよな」と、今回の試乗で久しぶりに「R 1250 GS」を体験した私は、しみじみそう思いました。
まず停車状態の時点で、このボリューム感のあるバイクからは王様のオーラ、貫禄や威圧感がビンビン伝わってきますし、ライディング中は巨体を意のままに操っているかのような、充実感を味わわせてくれます。
逆に言うなら、新型はそういった感触が希薄になっているのです。と言っても、車格は決して小柄ではないのですが、軽量化やマスの集中化を推し進め、状況に応じて前後の車高が自動で上下するアダプティブライドハイトコントロールを導入し(日本では主力機種のツーリング仕様が標準装備)、抜群のフレンドリーさを獲得した最新モデルからは、近年のフラットツイン「GS」シリーズの特徴だった王様の気分や、“乗れるもんなら乗ってみろ”という漢気は感じづらいのです。
いや、それはあくまでも私の主観で、一般的な基準では語弊があるかもしれません。
とはいえ、世代を重ねるごとに扱いやすさを高めつつ、既存のフラットツイン「GS」シリーズが、見ても乗っても堂々とした感触を堪能させてくれたのは事実で、そこに価値を見出していた人は、最新型の進化の方向性に疑問を抱く可能性がありそうです。
また、新型の登場で旧型になったとはいえ、乗り味に古さを感じないことも「R 1250 GS」の魅力と言えそうです。
具体的な話をするなら、エンジンはフレンドリーにしてパワフルですし、車体の安心&安定感は十二分です。もっとも前述したように、少し前までは大排気量アドベンチャーツアラー界の王様だったのだから、古さを感じないのは当然のことでしょう。
そんなわけで、今さらながらにして「R 1250 GS」に好感を抱いた私ですが、運動性や快適性、そして多くのライダーが楽しめる敷居の低さという見方なら最新型である「R 1300 GS」のほうが確実に上です。
ただし、近年のフラットツイン「GS」シリーズの特徴だった王様気分や漢気にこだわって、あえて第2世代以降の集大成と言うべき「R 1250 GS」に乗り続ける人は、意外に少なくないのかもしれません。
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