現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 景色なんて眺めている場合じゃない! ドゥカティXディアベルSはとんでもない喧嘩屋だ

ここから本文です

景色なんて眺めている場合じゃない! ドゥカティXディアベルSはとんでもない喧嘩屋だ

掲載 更新
景色なんて眺めている場合じゃない! ドゥカティXディアベルSはとんでもない喧嘩屋だ

クルーザーの姿をしたストリートファイター、それがDucati Xdiavel Sである。エンジンがやたらと回りたがり、バンク角もけっこうある。アメリカンスタイルなのに、二気筒なのに、ドコドコのんびり走ってなんていられない。こんなバイク、ほかにない。TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)PHOTO●山田俊輔(YAMADA “Anita”Shunsuke)/小泉建治(KOIZUMI Kenji)

ドラッグレーサーのパイオニアは日本?

ホンダ・スーパーカブとRC213Vの意外な共通点【東京オートサロン2018】

 クルーザー、もしくはアメリカンと呼ばれるモデルをベースに、近未来的なスタイルと強烈な動力(主に加速)性能を与えられたドラッグレーサーなるカテゴリーがある。市販車においてはヤマハVMAX、カワサキ・エリミネーター、ホンダX4といった日本勢が先鞭をつけ、21世紀に入るとクルーザーの本家ハーレーダビッドソンがV-RODを投入した。けっして主流になることはなく、今となっては上記モデルはすべて姿を消してしまったが、そんななかでも独自のスタイルを確立することで生き残り、進化を続けているモデルがある。

 ドゥカティ・ディアベルと、そのエボリューションモデルとも言えるXディアベルだ。クルーザーらしくマッシブなのに、どことなく体脂肪が少ないイメージで、ひと目でドゥカティとわかるスタイルを持ち、おなじみの90度V型2気筒エンジン、いわゆるL型ツインを搭載するなど、ライバルとは明確に異なるキャラクターによって存在感を放ち続けている。

 筆者はあまりクルーザーというカテゴリーに縁がなかったが、子供の頃からVMAXには畏敬の念を抱いており、エリミネーターも乗ってみたい一台だった。だからクルーザーの一種といえどもドラッグレーサーには少なからず心惹かれるものがあり、スーパースポーツを本業とするドゥカティがつくるクルーザーに興味が湧くのも至極当然なのであった。


クルーザーとは思えぬ40度もの深いバンク角を実現!

 今回、試乗することができたのは、ディアベルシリーズのトップモデルであるXディアベルSである。まず最初に、筆者は四輪メディアの人間であり、ディアベルシリーズに乗るのはこれが初めてであったことをおことわりしておく。

 まずパッと見て目につくのは、ドゥカティならではのトラスフレームと、それに抱かれるL型ツインエンジンだ。そして240mm幅の極太リヤタイヤはドラッグレーサーらしくド迫力である。一方で50mm径の倒立フォーク、ラジアルマウントのブレンボ製ブレーキキャリパーなど、足まわりはまるでスーパースポーツだ。確かにマッチョで強そうだが、研ぎ澄まされていて無駄がない。例えるならパンプアップしたプロレスラーではなく、しっかり体重を絞り込んだ総合格闘家といったところか。

 跨がってみると、さすがにクルーザーらしくシートが低い。シート高は755mmで、身長174cmの筆者だと両足がベッタリ着いて膝も曲がる。そこから足を前方に投げ出すのもクルーザーならではだが、ステップ位置が異様に高いのがXディアベルの特徴だ。その結果、Xディアベルは40度というクルーザーとしてはかなり深いバンク角を得ているのである。

 走り出すと、もうのっけから笑ってしまった。こういう姿勢で乗るバイクって、クラッチをつないだ瞬間からドコドコドコッと、まるで巨人の手に後ろから押されるように力強く加速するものだと頭に刷り込まれていたが、Xディアベルはズババババッと軽く吹け上がってしまうから、弾けるようなスタートダッシュを決めてしまう。

 もちろん低速トルクがないわけではないし、二輪業界の諸先輩方に言わせればドゥカティとしては十分に低回転高トルク型らしいが、いやいやいや、フツーの感覚で言えばこれは十分にスーパースポーツですよ。スーパースポーツが言いすぎでも、ストリートファイターやスポーツネイキッドと言えば多くの人が賛同してくれるはずだ。

回りたがるエンジンをなだめるので精一杯

 海岸沿いの自動車専用道路に入っても印象は変わらない。とにかくエンジンの元気が良いから、スロットルを一定に保ってトルクの波に身を委ねるのは難しい。前走車をどこで抜くか、パトカーや白バイはいないか、そんなことばかり気になってしまうのはまるでスーパースポーツと同じではないか。車線変更時のヒラリとした身のこなしが気持ちいいのもクルーザーらしからぬ。

 この自動車専用道路の出口ランプには少々タイトなコーナーがあって、クルーザーやヘリテイジ系モデルでは油断をするとすぐにステップを擦ってしまうのだが、Xディアベルにはそんな気配は微塵もない。試乗時間が限られていたために叶わなかったが、これならワインディングでもかなり楽しめそうだ。

 一方で直線の続く自動車専用道路では、回りたがるエンジンをなだめるので精一杯である。これでアメリカ横断なんてしようものなら、精神的に落ち着かなくてくたびれ果ててしまいそうだ。景色を眺めながらクルージングを楽しむのなら、やっぱりハーレーダビッドソンとか、ホンダ・ゴールドウイングとか、ヤマハ・スターベンチャーとかのほうが向いているんだろう。
 
 ただし都会をヒラヒラと駆けぬけ、気持ちが乗ったら郊外のワインディングまで、といった使い方なら、Xディアベルほど適した相棒もいないかもしれない。刺激に溢れていながら、ポジションはきつくないし、低速トルクもあるから発進に気を遣う必要もない。

 そう考えると、これは新種のストリートファイターなのではないか。ストリートファイターとは、スーパースポーツのカウルを取っ払ってアップハンドル化させるカスタムスタイルのことで、後に市販モデルのカテゴリーとして定着している。歴史が浅い分、定義も曖昧だ。だからXディアベルをクルーザーではなく、ストリートファイターの新しい形と表現してもあながち間違いではないだろうし、このバイクのキャラクターが伝わりやすいかもしれない。

 ストリートファイターを直訳すれば喧嘩屋だが、見た目も乗り味も、ここまでその言葉にピッタリのバイクもないと思ったのである。

ドゥカティ Xディアベル S
ホイールベース:1615mm  車両重量:247kg エンジン形式:L型2気筒DOHCターボ 総排気量:1262cc ボア×ストローク:106.0×71.5mm 圧縮比:13.0 最高出力:112kW(152ps)/9500rpm 最大トルク:126Nm/5000rpm トランスミッション:6速MT タイヤサイズ:Ⓕ120/70ZR17 Ⓡ240/45ZR19 車両価格:274万円

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

マツダの新旗艦『CX-80』、欧州市場に登場…3列シートSUV
マツダの新旗艦『CX-80』、欧州市場に登場…3列シートSUV
レスポンス
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
VAGUE
「交差点の中」で信号が赤に! そのまま進んだらNG?「違反」になる可能性は!? うっかり「立ち往生」防止に覚えるべき交通ルールとは
「交差点の中」で信号が赤に! そのまま進んだらNG?「違反」になる可能性は!? うっかり「立ち往生」防止に覚えるべき交通ルールとは
くるまのニュース
開発者に聞いたホンダGB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!
開発者に聞いたホンダGB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!
モーサイ
大型連休に行っておきたい! 都心のオアシスで絶品フルーツティーはいかが?
大型連休に行っておきたい! 都心のオアシスで絶品フルーツティーはいかが?
driver@web
タフさにこだわった DEEN.J × WERA コラボアイテム「電動グリップフィットドライバー」が発売!
タフさにこだわった DEEN.J × WERA コラボアイテム「電動グリップフィットドライバー」が発売!
バイクブロス
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」1
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」1
グーネット
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開
THE EV TIMES
ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」
ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」
motorsport.com 日本版
三菱自動車、フィリピンで2023年度の販売台数大幅増加。新型トライトンの投入も後押し
三菱自動車、フィリピンで2023年度の販売台数大幅増加。新型トライトンの投入も後押し
driver@web
国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
乗りものニュース
マツダ新型「SUV」世界初公開! 進化した“魂動デザイン”に「カッコよすぎる!」と反響!? 25年に中国で発売
マツダ新型「SUV」世界初公開! 進化した“魂動デザイン”に「カッコよすぎる!」と反響!? 25年に中国で発売
くるまのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
アニメ『MFゴースト』相葉瞬×GT-Rのマンホールカードが小田原城で配布中! GWは小田原でマンホールめぐりだ!
アニメ『MFゴースト』相葉瞬×GT-Rのマンホールカードが小田原城で配布中! GWは小田原でマンホールめぐりだ!
くるくら
斬新デザインの[新型エクストレイル]爆誕!? ヘッドライトどこなの!? 日産本気のコンセプトカー4台イッキ見【北京ショー】
斬新デザインの[新型エクストレイル]爆誕!? ヘッドライトどこなの!? 日産本気のコンセプトカー4台イッキ見【北京ショー】
ベストカーWeb
日本のショップ「RWB」が手掛けたポルシェ「911」の世界的な評価は? 予想より低い約1800万円でした
日本のショップ「RWB」が手掛けたポルシェ「911」の世界的な評価は? 予想より低い約1800万円でした
Auto Messe Web
トヨタ クラウンエステート【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
トヨタ クラウンエステート【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
首都高・アクアラインのGW渋滞、連休後半のピークは5月3日!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
首都高・アクアラインのGW渋滞、連休後半のピークは5月3日!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

57.8146.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.5145.8万円

中古車を検索
ツインの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

57.8146.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.5145.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村