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最新「ミニやクリオ」に挑む5年目 アウディA1 35 TFSIへ試乗 総合力で応えるコンパクト!

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最新「ミニやクリオ」に挑む5年目 アウディA1 35 TFSIへ試乗 総合力で応えるコンパクト!

最新ミニやクリオとの混戦をしのげるか

フォルクスワーゲン・グループのプラットフォームを素材に、秀でた高級感とスポーティな走りを実現させた、2代目アウディA1。登場は2019年で、5年が過ぎた。

【画像】最新「ミニやクリオ」に挑む 2代目 アウディA1 競合クラスの欧州製ハッチバックたち 全119枚

アウディは、1クラス上のコンパクトを古くから提供している。1974年にはハッチバックの50が、1999年には革新的なA2が登場。初代A1は、2010年に発売された。

2代目A2も、それらの強みを継承。ブランドらしいモダンなデザインに、洗練されたパワートレイン、高水準な知覚品質などが与えられている。ベンチマークといえる実力を宿しつつ、価格の競争力も高い。

ライバルは、最新のミニ・クーパー Cやルノー・クリオ(ルーテシア)など。市場規模は縮小傾向にあり、競争は厳しさを増している。A2は、この混戦をしのぐことになる。

現在の英国で提供されるエンジンは、70psを発揮する1.0L 3気筒ターボの25 TFSIから。5速MTか7速デュアルクラッチATを選択できる。この上に、115psへ強化される30 TFSIがあり、MTは6速へ1段増える。

英国の最強仕様が、今回試乗した1.5L 4気筒ターボの35 TFSI。最高出力は150psへ上昇し、低負荷時には、2気筒を休止させ燃費を伸ばす機能も備わる。いずれもエンジンは横向きに載り、前輪駆動となる。

プラットフォームはポロと共有 凛々しい見た目

プラットフォームは、フォルクスワーゲン・グループのスチール製MQB-A0。サスペンションは、通常のダンパーとコイルスプリングの組み合わせ。リアはトーションビーム式で、Sライン・グレードでは、スポーツサスが装備され車高が落ちる。

スタイリングは、直線基調で面の折り目はシャープ。先代より凛々しくなった。Sラインには、専用のサイドシルや、部分的にフェイクのエアインテークへガーニッシュが追加される。少し攻撃的すぎる、と感じる人もいらっしゃるだろう。

ボディスタイルは、現在は5ドアのスポーツバックのみ。全長は4029mm、全幅が1740mm、全高が1409mmと、初代よりひと回り大きい。ポロと同等だ。

アウディらしい高級感 うれしいハードスイッチ

内装には上質な素材が用いられ、ポロとの差別化に努めているが、完全に異なる印象を与えるわけではない。アウディらしい高級感があるものの、丁寧に観察すると、調和を乱すプラスティック製部品もチラホラ見つかる。

登場当初は競争力の高かったインテリアデザインは、新型クーパー Cの登場でアドバンテージが薄れた。運転席からの視界は良好。前席側のアームレストはオプションだ。

上級グレードを指定すると、アルミニウム製トリムや、夜間の充足感を高めるアンビエントライト、快適なレザーシートなどを獲得。説得力が増す。

10.25インチの、メーター用モニターは標準。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応した、インフォテインメント用タッチモニターは8.8インチ。テクノロジー・パッケージでは、10.1インチへ拡大する。

モニターはインテリアへ調和し、グラフィックは美しく、動作は速く滑らか。ロータリーコントローラーは備わらず、走行中の操作は少し難しいかも。

エアコンには、実際に押せるハードスイッチ。トラクション・コントロールやドライブモード用にも残されている。ラジオのボリュームも、クルクル回せるノブで調整できる。ステアリングホイールのリムにも、ハードスイッチ。とても操作しやすい。

後席側は、平均的な大人2名が快適に過ごせるものの、ポロより膝前の余裕は50mmほど少ない。荷室容量は335Lで、ポロより20L小さいが、クーパー Cより100L以上広い。

普段使いで不満ないパワートレイン

それでは、実際に発進してみよう。A2最強の35 TFSIだとしても、際立つほど速いわけではない。とはいえ、3000rpm辺りでターボが効き始め、市街地での利用が中心のコンパクト・ハッチバックとして、普段使いでの不満はないはず。

6速MTはクラッチペダルが軽すぎ、ミートポイントが手前すぎる印象。ギア比がロングで、ちょっと勢いが足りない場面も。7速ATは変速が滑らかで、キビキビとした加速を引き出せる。ただし、高めの回転域でシフトアップされるタイミングは把握しにくい。

ブランドらしい活発さを求めるなら、積極的にアクセルペダルを傾け、変速していく必要がある。高負荷時のサウンドは、聞いていて心地良いものではないが。

より強力な仕様もあって良さそうだが、40 TFSIは英国では2年前に終了済み。これにはポロ GTIと同じ200psの2.0Lユニットが載り、0-100km/h加速を6.5秒でこなした。

30 TFSIは3気筒のビートを放ち、滑らかに回転。数字以上に元気に感じられる。反応は正確で、質感に荒っぽさはなく、6速MTとの相性も良いようだ。

自然で正確なステアリング 乗り心地は明確に硬い

シャシーは、ポロより明らかにタイト。短いホイールベースの割に落ち着きがあり、安定性は高い。優れたグリップ力と相乗し、高速域でも不安感のない回頭性を得ている。

ステアリングホイールへ伝わる感触は薄めでも、反応は自然で正確。ミニは少し過敏だと感じるドライバーには、丁度良さそうだ。シャシーの能力が高いだけに、ダイレクト感や重み付けが増せば、運転を一層楽しめるように思う。

スポーツサスが組まれるSラインでは特に、カーブでのアンダーステアを見事に抑制。侵入時にアクセルペダルを一気に戻すと、ラインを内側へ絞れる。リア側が流れることはないが、予想以上にコーナリングへ関与していける。

基本的には安全指向。ギア比がロングなMTでは、トラクションを超えるパワーを展開できるわけではない。ショートなATの方が、ホットハッチのように意欲的に扱える。

大径ホイールを履くSラインの乗り心地は、上質なデザインへ不一致なほど硬め。プラットフォームを共有するポロは、ソフトなサスペンションで市街地でも快適性が高いのだが。高速道路では、風切り音やロードノイズも大きいと感じた。

総合力で応えてきたA1 強みは少なくない

燃費は、7速ATの35 TFSIで、今回の平均が19.5km/Lとカタログ値を超えた。高速道路を穏やかに流せば、21.0km/L前後へ伸びるはず。ガソリンタンクは40Lと大きくないが、満タンで約800km走れる計算だ。

ちなみに、25 TFSIのカタログ値は5速MTで18.5km/L。6速MTの30 TFSIは、18.2km/Lがうたわれる。

英国価格は、約2万2000ポンド(約429万円)から。35 TFSIで望ましいオプションを選ぶと、3万ポンド(約585万円)を超える可能性がある。

ミニではポップ過ぎ、ポロではベーシック過ぎると感じるユーザーへ、総合力で応えてきたA1。2024年にも、低くない訴求力がある。高効率なエンジンに上質なインテリア、落ち着いたシャシーなど、強みは少なくない。

確かにSラインの場合、乗り心地は褒めにくい。内装を観察し始めると、安っぽいプラスティックが見えてくる。MTはギア比が長すぎ、滑らかに回るエンジンも、もう少しパワーが欲しいところではある。さらに、最新のクーパー Cの競争力は高い。

それでもA1は、まだこのクラスの実力派。新型ではないが、クリオや500をお考えなら、検討候補に加えてみてはいかがだろう。

◯:洗練され燃費の良いパワートレイン 表示が美しく反応の良いタッチモニター アウディらしい高級感のあるインテリア
△:ベースグレードの内装は少々物足りない ロードノイズが大きい 乗り心地の良くないサスペンション

アウディA1 35 TFSI DSG(英国仕様)のスペック

英国価格:2万7000ポンド(約527万円)
全長:4029mm
全幅:1740mm
全高:1409mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:7.8秒
燃費:17.0km/L
CO2排出量:120g/km
車両重量:1170kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps
最大トルク:25.3kg-m
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

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