英国市場の同クラスを席巻する勢いの人気
フォルクスワーゲンTロックは、英国市場のこのクラスを席巻する勢いの人気がある。いま最も売れているモデルの1台へ、ノミネートするほど。同社のゴルフへ似たプロポーションを持ちつつ、車高を持ち上げ、強い存在感を放っている。
【画像】活発な走りを予感させるデザイン フォルクスワーゲンTロック 競合クラスの欧州製クロスオーバーは? 全149枚
Tロックの見た目には華やかさがあり、エレガントでスポーティ。フォルクスワーゲンらしく、過度に主張することはない。同クラスの中では、動的能力にも長けている。
現行型は初代で、発売は2017年。トヨタC-HRやアウディQ2などが主なライバルとなり、同社のTクロスとティグアンの間に位置する。
パワートレインの選択肢は多岐に及ぶ。英国仕様のエントリー・ユニットになるのが、最高出力109psを発揮する1.0Lガソリンターボ、前輪駆動の1.0TSIだ。
1.5Lガソリンターボ、1.5TSIでは150psへ上昇。2.0Lでは189psと300psの2段階が用意され、その最もパワフルな仕様がTロック Rに載る。2.0Lディーゼルターボも英国では選べ、最高出力は114psか150psに設定される。
2.0Lのガソリンとディーゼルでは、四輪駆動の4モーションが標準。多板クラッチを用いたシステムで、フロント側のトラクションが不足すると、リアへトルクが伝えられる。ドライブモード次第では、四輪駆動状態も保たれる。
トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティックの他、6速マニュアルも一部で選べる。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式。リアはパワートレインに応じて、トーションビーム式かマルチリンク式が設定される。
ロー&ワイドなプロポーション
基礎骨格は、フォルクスワーゲン・グループ定番のMQBアーキテクチャ。全長は4236mmでティグアンより250mm以上短い。適度に小柄なサイズ感が、クロスオーバーとして好印象な見た目を作っている。
トリムグレードは、Tロック Rを除くと、ライフ、スタイル、Rラインの3段階。グレードを問わずダッシュボード上にタッチモニターが据えられ、スマートフォンとのワイヤレス接続機能へ対応するなど、装備は充実している。
スタイリングは、紛うことなきフォルクスワーゲン。ポロやゴルフなどへ通じる、細くワイドなフロントグリルを採用し、ラインナップの連帯感を生んでいる。
ルーフラインはなだらかに後方へ傾斜し、リアピラーは倒れ気味。実用主義ではなく、モダンなクロスオーバー路線が狙われている。全体的にロー&ワイドなプロポーションが、活発な走りも予感させる。
車内空間は、このクラスでは広め。特に荷室は、他を寄せ付けないほど。かといって広さが追求されたわけではなく、インテリアはモダンな雰囲気も漂わせる。
高めの着座位置で、ゴルフよりゆとりを感じる。視線の位置も高いため、前方視界は良好。ドライビングポジションの調整域は大きく、幅広い身長へ対応できる。
リアシート側も、平均的な身長の大人なら問題なく座れる。オプションのパノラミック・サンルーフを装備しても、高さ方向の影響を防いだ点は評価したい。乗員の手前で膨らみが終わり、髪の毛が天井へ触れるのを防いでいる。
2.0TSIがTロックではイチオシ
ダッシュボード上の操作スイッチなどのレイアウトは、フォルクスワーゲンらしく考え抜かれた印象。メーターはモニター式で、センターモニターは8.0インチのタッチタイプ。アンビエントライトが効果的に埋め込まれ、ハイテク感を醸し出す。
インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートにワイヤレスで対応。グラフィックは鮮明で、ナビゲーションの表示も見やすい。
ただし、内装の質感はさほど高くない。最近は、小さなハッチバックでも広範囲にソフトタッチ加工されていることが珍しくないが、Tロックはドアパネル上部ですら硬質なまま。ドアハンドルや足元付近のパネル類にも、もう少しコストを投じても良いだろう。
多彩なパワートレインが用意される英国仕様のTロックだが、109psの1.0L 3気筒ターボエンジンは6速MTのみの設定。0-100km/h加速は11.0秒でこなし、数字以上に力強く感じられるうえ、驚くほど運転しやすい。
2.0Lガソリンターボの、2.0TSIがTロックではイチオシ。多くのライバルを圧倒するパワフルさを披露しつつ、滑らかで洗練されている。速度域を問わず、静かで上品に仕事をこなす。
標準装備の7速デュアルクラッチATは、変速をユニット任せにできるが、シフトパドルを弾いてドライバーがギアを選ぶことも可能。クイックでスマートに変速され、とても好印象だった。
この続きは、フォルクスワーゲンTロックへ試乗(2)にて。
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