一部改良を受けたスバル「BRZ」を、小川フミオが試乗した。兄弟車である「GR86」との違いとは?
考え方の違い
スバルBRZが、モータースポーツのフィードバックを反映した改良を受け、2024年7月12日に発表された。比較的手ごろな価格で、スポーティなドライビングが楽しめる魅力に磨きがかかった。
BRZは、トヨタのGR86との共同開発車。スバルが基本的な設計を担当していて、2.4リッターの水平対向4気筒エンジンに後輪駆動システムもトヨタと共用。
エンジンやサスペンションの設定など、細かな(だけれど大事な)部分では両社が独自性を盛り込んでいるのも、ファンにとって選べる楽しみとなり、嬉しいことだ。今回の改良版も、“誰もが愉しめる”というBRZの基本コンセプトを守りつつ、要所に手が入れられた。
新しいBRZにおけるおもな改良点は、パワーステアリングのアシスト特性の最適化、ダンパー減衰力特性の最適化、AT車におけるマニュアルダウンシフト制御の許可回転数拡大、そして、MT車に「スポーツ」モードの追加だ。
MT車にはアクティブサウンドコントロール音量切り替え機構が搭載された。加えて、デイタイムラニングライトが採用されたのと、ウインカーレバの操作方式がロック式へと変更されたのも、今回の改良の内容だ。
先述のとおり、GR86とBRZはファイン(細部の微妙な)チューニングが異なり、2社は独自のコンセプトを反映させている。
BRZにしかないスポーツモードはセンターコンソールのボタン操作で起動。より自在に加減速のコントロールができるスロットル特性が得られるのが特徴とされる。GR86では、いってみれば、つねにスポーツモードがオンになっている状態で、そこの考え方にも違いがあるのがおもしろい。
「理想のスポーツ走行をめざそうと、スーパー耐久(S耐)シリーズに賛成しているチームTDAエンジニアリングの知見を活かしたのがスポーツモードです」
と、スバル商品事業本部でプロダクトゼネラルマネージャーを務める小林正明は試乗会場で説明した。今回の改良で、アクセルペダルの踏み込み量に対する加速のリニアリティを重視して実現したのは、モータースポーツで得られた経験を活かしたからという。
「たとえば、エンジントルクの出方も、S耐で詰めていったものです。理想のスポーツ走行ができるようにと、ドライバーが思ったとおりの加速感が得られるように気を配りました」
同時に開発陣が重視したのは、タイヤの接地性を確保することだったという。段差を乗り越えてもしなやかに“足”が動き、バタつかず、乗員が揺さぶられないフラットライドが目指されている。トルクの出かたとサスペンションの設定が同調するようにチューニングをしていったという。
実際に、その言葉にウソはない。と、今回、BRZのSグレード・MT車をドライブして思った。
伸びしろのあるクルマ操舵感は旧型より軽めになったが、微妙な切れ角に応じて車体がきちんと反応してくれるし、高めの速度で大きめのカーブを抜けていくときは、車体がゆっくりとロールする。その動きが絶妙で不安感がまったくない。
GR86と似ているように感じられたのは、加速性のよさだ。どこからでもさっと加速し、多少、ギヤチェンジをサボっても、太いエンジントルクがカバーしてくれる。2速のほうがいいなぁ、と、思うところでも、3速でまわっていき、そのまま出口に向けてさっと加速できるのに感心してしまった。
GR86と同様、ヒール&トーがばバッチリきまるのは、ややセットバックしたドライビングポジションをとったうえ、しっかりブレーキペダルを踏み込んでいったときがいちばん。かかとでもって軽くアクセルペダルをあおると、エンジンはぼんっと吹け上がる。
とくにスポーツモードのオン/オフとでは、キャラクターが結構異なる印象だ。エンジンのスロットル制御を採り入れたことで、ふたつのモードが明確に変わる。もちろん、試乗した富士スピードウェイのショートサーキットでは、スポーツモード一択。小さなコーナ−が連続するセクションでは、軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで、すかさず加速してくれるのを実感。
エンジン回転が上がる速度は早いし、電気的なエンジンサウンドをインストルメントパネルの専用スピーカーから聞かせてくれるアクティブサウンドコントロールが働いて、中音中心の快音という“ごほうび”を聞かせてくれる。この演出もなかなか心にくい。
「こんなに伸びしろのあるクルマだとは、正直、思いませんでした」
今回の改良の結果を自己評価して、前出の小林は笑顔で語っていた。
GR86のときと同様、これでダウンシフト時に車両がエンジン回転を合わせてくれるブリッピング制御(トヨタだとiMT)が搭載されると、さらにいいなぁ、と、思った。そのことを伝えるとスバルの開発陣は、「そこですねぇ」という顔をした。
実際にS耐を走っているBRZにはブリッピング機能が搭載されている(GR86にはない)。したがって可能性がないとはいえない、との答が返ってきた。
実はGRのエンジニアも、GR86も基本開発はスバルの担当なので(細部のチューニングはGRが決めてスバルにスペックシ−トのようなものを渡す)、スバルがブリッピング制御を搭載すればGR86にも使える、と、語っていた。
そんなことも楽しみになる、スバルBRZだった。ラインナップはRが¥3,322,000(ATは¥3,355,000)、今回のSが¥3,509,000(同3,542,000)。加えてSTIスポーツ(¥3,784,000円~)もある。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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