■全国5万台以上のヤマト運輸の集配者は国産車が主体
市街地や住宅地、高速道路で見かけない日はないヤマト運輸の集配車。軽から大型貨物まで5万台以上にもなるヤマト運輸の車両ですが、ベースとなる車はトヨタ「ダイナ」、トヨタ「クイックデリバリー」、日野「デュトロ」、三菱「ミニキャブ」、ダイハツ「ハイゼット」など、国産車が主体でした。
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しかしヤマト運輸史上初? の輸入電気自動車(EV)をベースとしたクロネコマークの集配車を町で見かける日が訪れるかもしれません。
■見慣れない顔、初めて見るエンブレム、でも荷台にはおなじみの「クール宅急便」
ユーザー車検の下見もあって先日、横浜陸運局(神奈川運輸支局)に出掛けたところ、駐車場にヤマト運輸のトラックが3台停まっていました。
ん? なんか小さい。しかも3台並んで仮ナンバー。見慣れない顔つき…、一体どこの車なのでしょう?
横浜陸運局の関係者も「初めて見ますねえ」と不思議そう。荷台は完全にクール宅急便の仕様になっています。ドライバーの名札入れもあり、ヤマト運輸社内の車両番号もしっかり入っています。貨物室のドアは横と後ろ2か所についており、後部ドアは観音開きとワンボックスと同様のタイプの2種類。よく見ると、ガソリンタンクらしきものはなく、「200V専用」と印刷されたシールが貼られた充電口がありました。どうやら純EVのようです。
■謎のヤマト便EV、ドイツ・DHLの子会社が生産する小型商用車EVだった
車好き仲間のネットワークを駆使して尋ねたところ、初見から15分で車種が判明しました。
生産メーカーはドイツNRW州にある、アーヘン工科大学院発のストリートスクーター社で、車種はその中の「Work L BOX」という小型の商用車のようです。同社は世界最大の国際輸送物流会社DHL(ドイツポストの傘下)の生産子会社で、他にもフォード・トランジットをベースにした大型EVトラックなども含め、2017年は約7000台を生産し、DHL社向け車両として納めています。やがては、DHLの全車両がストリートスクーター社のEVに入れ替わる予定とのことです。
実はヨーロッパを中心に全世界に向けて、同社のEVを売り込んでいる最中らしく、日本へも5月下旬に最高技術責任者であるファビアン・シュミット氏が来日してプレゼンテーションを行っています。
■これまでの、日本製EV集配車とちがうところは?
ヤマト運輸ではこれまでも、トヨタ「ダイナ」のEVトラックや、軽ワンボックスEVの三菱ミニキャブ・ミーブ バンなどのEV集配車を導入してきました。しかし、「Work L BOX」のような小型+冷蔵/冷凍貨物室+EVの集配車は国産車にベース車両がなかったこともあり、存在していませんでした。
「Work L BOX」の強みはやはり、道路幅の狭い市街地や住宅地でも小回りの利く小さめボディであること、それでいて貨物室の左右、後ろにかなり広めの開口部を持ち、それぞれアクセスできるのが便利に使えそうです。
ボディサイズは全長4709×全幅2087×全高2039mm(本国仕様)と全長はおよそ小型車サイズ、全高も車高2.1mなので、一般的なマンションやビルの地下駐車場にも入れるでしょう。貨物室部分の全幅は2mですが、運転席周りの車幅は軽自動車以下。ドライバーの目線も低く、見切りもよさそうなので死角も少なそうです。住宅密集地などで小さな子どもが飛び出してきても瞬時に気づいて対処できるでしょう。
■ベースは3代目フォルクスワーゲン「キャディ」
「Work L BOX」を紹介するスマートスクーター社の公式動画では、開発担当者が以下のように語っています。
「ベースはDHLでかつて使われていた3代目フォルクスワーゲン『キャディ』のシャシー(右ハンドル英国仕様)を流用しています。信頼性が高く、堅牢なボディは高い耐久性を誇り、また狭い道路にもマッチする構造です。
また、大変シンプルな構造なので整備費やメンテナンス費用が掛からないことも特徴です。モーターやインバーターは外部調達して組み立てていますが、小型荷物を宅配することを想定して、運送会社それぞれのニーズに合ったクルマをゼロから作る体制が整っています。
最高速度は85km/h、航続距離はハイパワー版(40kWh)で236kmと、市街地での小口輸送には十分でしょう。貨物室も無駄がなく、隅々にピッタリ荷物を積める設計になっています」(ストリートスクーター社開発担当者)
では実際にこの車は日本で販売されることになるのでしょうか? ストリートスクーター本社にメールで問い合わせてみたところ、「現在、StreetScooterはまだ日本市場でご利用いただくことができません。正式導入が決まっていないため、メーカーとしてはまだ公式な情報を提供することができません。今後、新しいことが決まって発表できる段階になればお知らせいたします」という回答を頂きました。
メーカーの回答からもこちらの3台はおそらく都市部での実地検証用として試験的に導入されるのだと思われますが、これから首都圏は高温多湿の灼熱シーズンを迎えます。「Work L BOX」が開発されたドイツ・アーヘンは年間平均気温9.8℃とかなり涼しい気候で7-8月でも20℃を超えることはほとんどありません。対する東京の7-8月は連日30度超になるケースも珍しくなく、降水量もアーヘンの2倍以上です。
小型の純EVにとってはかなり苛酷な環境になりそうですが、東京の暑い夏を乗り切って無事、ヤマト運輸で本格採用となるのでしょうか?
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