■前後のブレンボ製ブレーキキャリパーの位置はFRスポーツのそれを思わせる
ホンダが海外で展開している高級ブランドが「ACURA(アキュラ)」。北米では、スポーツフラッグシップであるNSXも、セダンの最高級モデルである「レジェンド」も、それぞれアキュラブランドの扱いとなっている。そのアキュラでは、かつてよりスポーツ指向のモデルに「タイプS」というサブネームを付けてブランディングしていたが、久しぶりにその名前が帰ってくることが発表された。今後、2年間で少なくとも2モデルにタイプSが追加されるという。その第一弾となるであろう「TLX タイプS」のルックスを想像させるコンセプトモデルが、今回発表された「アキュラ・タイプSコンセプト」である。
アキュラ・タイプSコンセプト TLXタイプSを示唆 モントレー・カーウィーク
最近のホンダが意識しているロングノーズ、クーペ的なルーフラインといったシルエットのも目を惹かれるし、リアスポイラーやホイールなど、ふんだんにカーボンマテリアルを使ったディテールにも目を奪われる。しかし、あえて注目してほしいのは、前後ともブレンボ製4ポットキャリパーが装着されているというブレーキキャリパーの位置だ。いずれも車体中央寄りに置かれているのはマスの集中化を考慮したメカニズムを象徴するものだが、とくにフロントのブレーキキャリパーが後ろ側に置かれているのは注目だ。というのも、通常のFFではブレーキキャリパーは前方となっていることが多い。それはパワートレインの位置関係から操舵系を後方(後ろ引き)に配置するしかなく、その影響でブレーキキャリパーは前方になりがちだからだ。
しかし、このコンセプトカーではフロントのブレーキキャリパーが後ろにある。しかも4ポットという大きなキャリパーがここに置かれているということは、ステアリングギアボックスは前側に置いている(前引き)と考えられる。通常、エンジンを横置きにしたFFレイアウトでは前引きのステアリング配置にするのは考えづらい。実際、ホンダ車でもフロントのブレーキキャリパーが後方にあるのは、NSXとS660、そして電動車両のHonda e(市販予定車)くらいだ。つまり、このブレーキデザインは、アキュラが将来的にリア駆動車をラインナップに加えることを、このコンセプトカーが示している……と思うのは考えすぎだろうか。もっとも、ホンダの過去モデルを振り返ると、FFながらエンジンを縦置きに積んでいたレジェンドなどでは前輪のブレーキキャリパーは後方に置かれていたこともある。後輪駆動でなく、エンジン縦置きのFFプラットフォームを新設するという可能性も含めて、考える必要があるかもしれないが。
いずれにしても、ブレーキキャリパーの位置だけで、アキュラ(ホンダ)の将来的なラインナップ展開に夢を感じさせるコンセプトカーであることは間違いない。仮にエンジンが縦置きに対応できるプラットフォームだとすれば、NSXの3.5L V6ツインターボ+9速DCTを収めることさえ期待できるからだ。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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